http://inori.nara-kankou.or.jp/inori/special-interview/kowa05/ 【「和の精神と世界遺産」】より
聖徳宗総本山法隆寺
管長/大野 玄妙
―法隆寺は、日本で最初に世界文化遺産に登録されたお寺です。世界遺産に認定されることの意義と、それがもたらす平和社会について、お考えをお聞かせください。
―法隆寺は、日本で最初に世界文化遺産に登録されたお寺です。世界遺産に認定されることの意義と、それがもたらす平和社会について、お考えをお聞かせください。
大野管長 1993年に法隆寺と姫路城が文化遺産に、屋久島と白神山地が自然遺産に登録されました。文化と自然の違いはありますが、その接点は平和。両方とも、平和がもたらされなければ守れません。受け継いできた遺産を守ろうとするなら、争いを断ち切らなければならないことにすぐ気付くでしょう。
世界遺産となった自国の文化を知り、学ぼうと努力する中で、他国の世界遺産についても理解しようという気持ちが起こります。文化を理解することは、それを育んだ風土を理解すること。平和をもたらすためには対話が必要ですが、相手の文化や気持ちを理解しなければ真の対話はできません。世界遺産登録を機に、世界中が互いの文化や風土を知ろうと思うことで真の対話ができるようになり、それが平和をもたらす一つの材料になると思います。
―平和と言えば、聖徳太子が十七条憲法にうたった「和を以て貴しと為す」が思い浮かびます。太子の説いた「和」の精神を、私たち現代人は日々の生活にどう生かしていけばよいのでしょうか。
―平和と言えば、聖徳太子が十七条憲法にうたった「和を以て貴しと為す」が思い浮かびます。太子の説いた「和」の精神を、私たち現代人は日々の生活にどう生かしていけばよいのでしょうか。
大野管長 この言葉には「忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ」と続きがあり、自然の成り立ちに逆らわず、調和しながらうまく営むことを願っています。現代はものすごく自然に逆らって生きているように思いますが、必要以上に自然を痛めつけてはいけません。
十七条憲法にはまた、「篤く三宝を敬え。三宝とは仏と法と僧なり」とあります。修行をする人は「仏」になることを目指し、達成するための方法や計画が「法」。「僧」は共に力を出し合う仲間です。これは国でも組織でも、全て今の私たちにあてはめて考えられます。同じ目標を持ち、到達するための計画を立て、力を合わせる。最小単位は家族ですが、そうしたことがきちんとできていれば、おかしな家族にはならないと思います。
―太子の説かれた精神は、今の時代にこそ見直されるべきものなのですね。
―太子の説かれた精神は、今の時代にこそ見直されるべきものなのですね。
大野管長 太子が用いられた言葉で、もう一つ大事なものが「和光同塵」です。仏様がその優れた知恵の光を和らげて私たちの俗世間に交わり、その中で人をお救いになることを指します。どこに行っても御仏の光は私たちに注がれているのですが、普段はなかなかそれに気付けません。そこで私は、観光をしてほしいと思うのです。
観光とは本来、御仏の光を求めてあちこちを巡ることを指します。寺や神社に行くと、心がふと洗われるような、心のスイッチが切り替わるような思いがしませんか。それは御仏の光を感じているのです。
奈良には世界遺産をはじめ寺社が多く、そうしたスイッチが入りやすいところが多い。祖先や先人の思いや心に触れてみたいという気持ちを持って参拝していただければ、心を洗い清める役割は十分に果たせると思います。また、そうした場を提供するのが私たちの務めだと思っています。
―法隆寺は日本が世界に誇る「木の文化」の象徴です。世界遺産として守っていくことで未来につなげるものは何かを、最後に教えてください。
―法隆寺は日本が世界に誇る「木の文化」の象徴です。世界遺産として守っていくことで未来につなげるものは何かを、最後に教えてください。
大野管長 法隆寺の回廊の柱には、傷んだ根元を切り取って新しい木に替える「根継ぎ」や、部材の隙間に木を埋めて繕う「埋木」が施されています。飛鳥から現代まで、柱一本一本に各時代の人々の技、気持ちが染み込んでいる。木を切るのは殺生ですが、千年を生きた木の命を頂いたことに感謝し、愛着を持って守り継いでいくことで、私たちは木に、次の千年の命を与えることができるのです。
この「木の文化」を継承する林野庁「古事の森」事業の一環として、法隆寺ではヒノキの植林を地元の小学生と行いました。植えた木がきちんと使われるのか、何百年も先のことですから保証はありません。けれども、一番大事なことは、文化財を守るんだという意思を持って子供たちが植えてくれたこと。この精神性こそ次代につなげ、大切にすべきものだと思っています。
プロフィール
法隆寺 管長 大野 玄妙(おおの げんみょう)
1947年、大阪府生まれ。72年 、龍谷大学大学院修士課程修了。3歳から聖徳宗総本山法隆寺に住み、小学3年生で得度。93年、聖徳宗宗務所長・法隆寺執事長・法隆寺昭和資財帳編纂所長に就任。法起寺住職、法隆寺住職代務者、聖徳宗管長代務を歴任、99年から聖徳宗第6代管長、法隆寺第129世住職。
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2018/01/ultimate-love-fa46.html 【究極の愛・ラブを!(Ultimate LOVE!)】より
(Click here to see English version "Ultimate LOVE".
Sn3u0014b子供達が健全に成長し、幸せな人生を送ることが出来るように、そのための24のキーワードをLOVEの文字に当てはめ「究極のLOVE」として集約しました(下記をご覧下さい)。
子供たちの道徳教育の参考になれば幸いです。
青色文字をクリックすると解説記事などがご覧になれます。(リンクさせて頂いたサイトの記事がその後に作成者によって修正や削除されることなどがあります。ご了承ください。)
価値観は時代とともに変化します。
子供たちそれぞれの個性と才能を生かす教育、多様性を受け入れる寛容の精神を養う教育が肝心です。
「いじめ」を防止する教育は必要ですが、「いじめ」や「登校拒否」を無くするためには「他の人の立場を理解し、多様性を認める寛容性と和の精神を教育することこそ肝心です。
現代の「和」の精神は戦前の「封建制度的な和」でなく、「平和憲法に基づく民主主義制度における和」が大切です。戦前の全体主義的・国家主義的画一教育に逆流させてはなりません。
絶対主義的画一的教育は「いじめ」の温床になるでしょう。
そればかりか、「国のためには戦争をすべきである」というアナクロニズムに陥る恐れがあります。
武器・技術が進歩し、核兵器のある現代では、局地戦争が核戦争を引き起こし、人類・地球の破滅をもたらすリスクがあります。
道徳教育で大切なことは、児童があくまでも自発的に物事を考え、自分の考えを主張すると同時に他者の考えにも耳を傾けることを学び、自己と他者、自己と社会との関わり合いを考え、自分の能力や個性を自分のためばかりでなく、社会に役立つようにするバランス感覚、合理的な思考能力などを培うことでしょう。
道徳教育を教科にして、「道徳嫌い」を生む恐れのある「一方的な成績評価や序列評価をすること」には反対です。小学校教育においては、評価は子供の自尊心を生かし、やる気を出させるのに効果のある個別評価、教育効果を評価するための範囲に限定すべきでしょう。
(本との出会い)<母と子・優しさと厳しさと>をご覧下さい。
平和な社会が維持されることを祈りつつ書いた「究極のLOVE]は下記の通りです。
・「L」は Love(愛する)・Learn(学ぶ)・Liberty(自由・権利)・Legality(合法性)、Laugh(笑う)・Life(生活・一生・命)です。
・「O」は Optimism(楽観・楽天主義)・Originality(個性・独創性)・Objective(目標・客観的)・Obligation(義務・義理)、Opportunity(機会・好機)・Organization(組織・団体・組織化すること)です。
・「V」は Vitality(活力・元気)・Vision(ビジョン・先見性)・Venture(冒険・思い切ってする)・Value(価値・評価)・Volunteer(ボランティア・自発性)、Viewpoint(観点・視点・切り口)です。
・「E」は Effort(努力)・Enjoy(楽しむ)・Ethic(倫理・道徳)・Equity(公平・公正)・Endurance(忍耐・持続)・Each(個・個人・自己)です。
・Love(愛)
親子の愛、男女の恋愛、夫婦の愛など人に関する愛のみならず、動物、自然、故郷、住んでいる町や国、平和、自分の仕事など全てが対象です。まず自分を愛し、自分のしていることを愛し、その結果が他者への愛、すべてのものに対する愛につながることが理想です。
・Learn(学ぶ)
教師や反面教師として、全てのことから学ぶことが出来ます。
身近な両親、兄弟姉妹、友達、先輩・後輩、先生などから直接学ぶことが沢山あります。書物や新聞・ラジオ・テレビ、インターネットなどで地域と時代を超えて様々なことを学ぶことができます。また、自分自身や他人の失敗や成功の実例から学ぶことも大切です。
・Liberty(自由・権利)
基本的人権として思想・言論・信教の自由などが憲法で保障されています。しかし、自由の権利を乱用すると、自由を失う恐れがあります。常に権利と義務、個(自分自身)と全体(社会・国)、公平・公正の原則とのバランスを考慮することが肝要です。多くの若者が選挙権・参政権の行使を放棄していることは幸福を追求することを放棄していることになるのではないかと危惧しています。
・Legality(合法性)
誰でも自由に考えて行動すれば良いのですが、それが法律に適っていることが前提です。法律は人々の生活を守り社会の秩序を維持するためのものですから、日常生活で余り難しく考えることは無いでしょう。しかし、何か特別のことを始める時にはそれが合法的かどうかチェックすることも必要でしょう。
・Laugh(笑う)
「笑う門には福来たる」(「Laugh and get fat.」「Fortune comes in by a merry gate.」)です。
泣きたいときには泣くとよいでしょう。でも、辛い時でも笑顔を忘れずに前向きに過ごして行けばきっと良い時も来るでしょう。
・Optimism(楽観主義)
「人間万事塞翁が馬」(Joy and sorrow are today and tomorrow.)、「人生は山あり谷あり」、「努力をすれば何とかなる」、「人事を尽くして天命を待つ」と楽観的に考えることです。いわゆるプラス思考・ポジティブシンキング(positive thinking)を実践することです。
・Originality(個性・独創性)
世界に一人しかいない自分という貴重な存在を活かしましょう。単なる「猿真似」や「迎合」ではなく、人それぞれに出来ること・天性・個性を生かして、学んだことを更に発展させ実践することです。現代は多様性の時代です。様々な個性が集まって全体の調和が生まれることが理想です。
・Objective(目標・客観的)
将来何をするか自分の目標を定める際に、それを達成することが可能か、楽観的に考えると同時に、冷静に客観的に評価しておくことも大切です。高い目標を掲げることは良いのですが、目標は高ければ高いほど成果の高望みをしないでstep-by-stepで一歩ずつ前進することです。
・Obligation(義務・義理)
「世の中は持ちつ持たれつ」、「お互い様」です。自己の権利を主張するばかりでなく、義務もあることを認識して他者の権利・立場も認め、自他のバランス(Give-and-take)を考えることが大切です。
・Opportunity (機会・好機)
「好機逸すべからず」です。英語のことわざには「Now or never.」とか「Everything has its time.」などがありますが、機会をとらえTPO(時と場所と場合)を考えて適切な行動をすることが大切です。
・Vitality(活力・元気)
何事もやる気と元気がなければ達成出来ません。精神的にも肉体的にも健康を維持することが大切です。「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。時には無理が必要なこともあるでしょうが、頑張りすぎないで、自分の出来る範囲でやれば良いでしょう。
・Vision(ビジョン・先見性)
「憲政の神様」と言われた尾崎行雄は「人生の本舞台は常に将来に在り」と言っています。自分は何をしてきたか、今何をすべきか、自分の将来の目標は何か、自分の人生のどの時点でも、常に過去・現在・未来という流れの中で自分自身と社会の将来を見据えて考え・行動することが理想です。
・Venture(冒険・思い切ってする)
慎重に考えて行動することも大事ですが、難しいと思うことでも時には思い切ってやって見ることも必要でしょう。成功するか否かは自分の才能や努力のみならず運に左右されるものです。最もうまく行く場合と最悪の場合とを考え、腹を据えて思い切って行動すると良いでしょう。
・Value(価値・評価)
価値観は人によって異なりますが、自分にとって何が大切か、何をしたいか、それは自分のためだけではなく、親のためや人のために役立つことになるか、と考えながら目標を立て・行動することが大切です。
・Volunteer(ボランティア・自発性)
何事でも自分のしたいことをするときは苦労が苦労でなく、楽しくなります。最近はボランティア活動をしている若者も沢山いることはありがたいことです。自分が出来ることを自発的に行い、自分のみならず人のためにもなり、世の中に役立つことができれば最高です。
・Effort(努力)
天賦の才に恵まれていても努力をしなければその才能を生かすことは出来ません。ささやかな才能であっても努力することによって、それを伸ばすことが出来ます。大切なことは他者との比較や序列・勝ち負けそのものではなく、それを励みとして自分自身の天分を育てる努力をしているかどうかです。
・Enjoy(楽しむ)
努力も色々工夫しながらすると、苦労でなく楽しみとなります。楽しみながらすると努力を続けることが出来ます。少しでも努力の成果が出ると楽しくなります。すぐに成果が表れなくても長い目で見れば必ず成果が出て来るものですから、それを楽しみに努力を続けることです。
・Ethics(倫理・道徳)
技術が高度に発達し専門化している現代社会においては個人や組織が倫理を大切にして活動することが不可欠です。最近の世相をみると、長い間に築いた信用を倫理観の欠如から一瞬に失い、自滅するだけでなく社会に大きな弊害をもたらしている例が少なくないことは残念なことです。
・Equity(公平・公正)
才能や努力の成果を生かすには考え方や行為が公正であることが大切です。どのような場合でも公正かどうかという観点でチェックすることが望まれます。公明正大な振舞いをすることによって明るい気持ちが維持できます。明るい気持ちは必ず幸福を呼び込むでしょう。
・Endurance(忍耐・持続)
豊かな現代社会においては何でも簡単に出来、手に入るので誘惑が多く、我慢することが難しくなっています。
ITやSNSが発達し便利になっていますが、スマホによるゲームの氾濫や不適切な交流サイトなど、子供の教育や十代の若者の新たな社会問題になっています。
「三つ子の魂百まで」、「継続は力なり」です。大きくなってから抑えることは難しくなりますので物心が付き始めた幼い時から我慢することのしつけもしておくと良いでしょう。
上記のことは、ご存知のことばかりでしょうが、それをLOVEという親しみやすく大切な一語に集約して覚えやすくしたのが味噌です。LOVEを実践する人々が増え、住みよい社会が日本から世界に広がることがチュヌの主人の念願です。
幸せな一生を過ごすには、一個人としての「自分」と「組織」の一員としての「自分」とのバランス、「個」と「全体」の「関わり合い」を考え、「過去」をベースに「未来」を見据え、「現在」に「視点」を置いて、よく考え、行動することが大切です。そして、視点を「自己→家族→市民→国民→地球人」など、様々な視座に置いて相対的に考えることです。
「自分一人ぐらい・・・」とあきらめるのではなく、「自分一人でも・・・」と前向きに考え行動することです。「一人一人の思いや行動」が組織・社会・国を動かしていくのですから。
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