山椒の木

https://agripick.com/1951 【木の芽・花・実の収穫を楽しむ!山椒(さんしょう)の木の種類&育て方】より

食欲をそそる青々しい香りと味が食卓を豊かにしてくれる山椒。葉や実の収穫を楽しむことのできる山椒の木の植え付け、剪定、挿し木などの育て方は、この記事をチェック!枯れる、害虫による食害などのトラブルを避けるためにも、山椒の木の種類や育て方のコツをしっかり確認しましょう。

果樹 スパイスになる植物

葉は独特の爽やかな香り、実はピリッと辛い山椒の木。昔から日本で愛されてきた香辛料を、庭で育ててみませんか?栽培しやすい山椒の木の種類、育て方、収穫方法や食べ方も紹介します!

日本古来の香辛料!山椒の木を栽培しよう

青々と山椒の葉が茂る

山椒は「ハジカミ」「ナリハジカミ」とも呼ばれ、野山にも自生している山野草です。縄文時代の土器にも山椒の種が付着しており、 古くから日本人に利用されていたと考えられています。葉は彩りや香り付け、実は佃煮や香辛料として使われており、和食には欠かせない香辛料です。

実、葉、花、全て料理に使える!

実、葉はもちろん、花、若葉、幹の皮も料理に使えます!ほとんどすべての部分を余すところなく利用できるのが嬉しいですね。実は小粒ながら、体内の水分バランスを調整してくれるカリウム、抗酸化作用のあるといわれるセレンなど、栄養がぎゅっと詰まっていますよ。

山椒の木は、鉢植えでも栽培できる

また、山椒は鉢植えでも栽培できます。地植えに比べて実の数は少なくなりますが、薬味として少量使うものなので、鉢やプランターで栽培しても収穫量を物足りなく感じることは少ないはず。

雄株と雌株がある

山椒には雄株と雌株があります。実を付けさせるには、雄株と雌株を受粉させる必要があるので、それぞれ一つ以上用意して近くで栽培しましょう。葉だけを楽しむだけであれば、雄と雌をペアで育てなくても大丈夫です。

栽培におすすめ!山椒の木の種類

栽培用の山椒は「朝倉山椒」や「ぶどう山椒」です。栽培用の山椒の種が野山で芽を出して大きくなったものは「野山椒」と呼ばれ、新芽や実を食べることができます。

食用ではなく薬用として民間利用されてきた「犬山椒」や、山椒の接ぎ木台として使われることがある「冬山椒」もありますが、個人が育てることはほとんどありません。

朝倉山椒

香りが強い栽培用の雌木です。受粉用の雄木と一緒に育てれば、実の収穫が楽しめます。とげがほとんどないため、植え付けや収穫などの作業がしやすく、家庭菜園で人気!野生の山椒よりしっかりしたサイズの実がたくさんできます。

ぶどう山椒

朝倉山椒から派生した種類です。和歌山県の有田川町を中心に栽培されていて、朝倉山椒より少し大きな実がぶどうの房のように付きます。とげはありますが、小さくて数も少なめです。

過湿に弱い山椒の根の弱点をカバーするために、根腐れ抵抗性台木を使用しています。水はけが悪い土壌でも枯れにくい!

中国山椒「花椒(ホアジャオ)」と山椒の木の違い

中国の四川料理に欠かせない「花椒(ホアジャオ)」も、朝倉山椒やぶどう山椒と同じミカン科サンショウ属です。花椒は山椒よりもさらに辛く、実だけを麻婆豆腐などのスパイスとして使います。葉や花は利用しません。

(略)

http://acorn.okamura.co.jp/topics/column/2019/08/20/sansho/ 【【赤鬼のつぶやき C.W.ニコル】 サンショウ(Japanese pepper tree/Zanthoxylum piperitum)】より

 北長野で暮らすようになってから、季節が来ると森を散策しながら青ザンショウの実を摘むのが習慣になりました。サンショウの実をしばらく噛んでから冷たい湧水を飲むと、柑橘系のピリッとした刺激が水になんとも言えない風味を与えてくれるのです。私にとっては、まるでシャンパンのごとき甘美な味わいです。

 サンショウは高さ3、4メートル程度の落葉低木で、葉柄から続く葉軸の左右に羽を広げたような小さな葉をつけます。日本料理に彩りを添える、おなじみの“つけ合わせ”です。英語では別名‘prickly ash’(トゲだらけのトネリコ)と言いますが、中にはほとんどトゲのないものもあります。また、サンショウには雄株と雌株があり、実を結ぶには両方が必要です。

 サンショウは年に一度、萌木色の小さな花を咲かせます。それが食材としてもたいへんに風味豊かで、わが家では花の季節になると、サンショウの花を加えた特別なスキヤキを作ります。最高のごちそうです!

 さて、2013年のこと、英国から甥のジェームス・ニコルが東京を訪れました。短い滞在でしたが、ふたりで会った際、甥は「ジン・ブーム」の到来を予言したのです。ジェームスは日本(と、そこに暮らす伯父)が大のお気に入りで、ジンに日本らしい独特の風味を加えるのに何かいい植物はないかと訊かれました。ジンづくりに欠かせないジュニパーベリーとの相性がよく、その風味を引き立ててくれるものでなければなりません。

 私は、「ぜひ青ザンショウを試してごらん」と答えると、黒姫のアファンの森で摘んだサンショウの実をジェームスに託したのです。

 その後2年ほど、何種類か香りのいいハーブの組み合わせを試してみて、遂に「ニコル家のジン」が完成しました。クラフトジン『こころ』として、ロンドンで醸造され、英国やヨーロッパなど世界各地で販売されています。

 青ザンショウの実には、他の食材の風味を引き立てる不思議な力があるのです。この10年あまり、ヨーロッパの名だたるシェフが、実ザンショウを使って素晴らしい料理を生み出してきました。サンショウの実は、どんな食材とも合い、なんとアイスクリームにまで使われています!

 日本では、いにしえの縄文時代(紀元前1万年~紀元前200年)から、サンショウは調味料や伝統薬として用いられてきました。日本では、葉や実だけでなくサンショウの木も、昔から食材をすりつぶす「すり鉢」や「すりこぎ」に使われてきました。

 17世紀に韓国からサンショウの木が輸入され、兵庫県北部の但馬地域で栽培されるようになりました。今では、大粒の実と豊かな香りが特徴の「朝倉ザンショウ」として知られています。やがて明治時代(1868~1912年)に入り、日本でも大規模な生産が始まりました。この先、サンショウは世界中で広く使われるに違いありません。今こそ、日本におけるサンショウの木の栽培を改めて奨励するいい機会ではないでしょうか。

 昨年、ある友人がブータンから持ち帰ったという乾燥実ザンショウを分けてくれました。日本のサンショウと似ていますが、得も言われぬ独特の風味があり、とても素晴らしいものでした! こうした新品種の栽培への取り組みは、食品やサプリメント、アロマオイルなどの分野で地方における新たな家内工業の可能性を開くものではないかと期待しています。

C.W.ニコル

2019年7月

写真提供:C.W.ニコル・アファンの森財団

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