ひあふぎやかはたれ星を戴ける

http://blog.livedoor.jp/rh1-manyo/archives/50415197.html 【< #1558 斎小枝に 御籤を結ぶ 人のあり ・・・】より

 この正月、帰省していた娘に誘われるまま、話題の映画『君の名は。』を観てきました。なるほど途中から引き込まれていくストーリー展開になっているし、噂通り絵もきれいでした。しかしこれを観た大きな収穫は、私のブログについて謎がひとつ解けたこと。ある日突然、3年前にアップした#329の万葉歌が私のブログの中でのアクセス数最上位に出てきたのです。それがこの映画によるものだとわかりました。映画の中で「誰そ彼(たそかれ)」の言葉について教える授業のシーンがあったのです。まさしく「君の名は」のキーワードだったので、たくさんの人が検索してくれたのですね。

暁(あかとき)の かはたれ時に 島陰を漕ぎにし船の たづき知らずも

  ~他田日奉直大理 『万葉集』 巻20-4384

暁の薄明かりの時に島陰を漕ぎ去った船がなんとも心細く思えることよ

 「誰そ彼」は黄昏の語源で夕ぐれ時、相手の顔が判別できない薄暗闇をいうのに対し、その反対に夜明け前を指すのがこの歌にある「かはたれ」です。漢字で書けば「彼は誰」。私も#985の歌の中でこの言葉を使わせていただいておりますが、夜明け前も同じく人の顔が判別できない「あなたは誰」状態の時間です。さて、この歌の他田日奉直大理《をさだのひまつりのあたひとこだ》は現在の千葉県銚子あたりの国造《くにのみやつこ》(地方行政と司法の責任者)でした。夜明け前、自分の領地から防人を乗せた船が行くのを不安げに見守っていたのでしょうね。


http://blog.livedoor.jp/takenoji/archives/12097775.html 【たそがれどき かわたれどき】より

 きょうは夕方に髪を切りに行き、夕焼けがきれいだったので多摩川まで出向き、絵のような空に溜め息をつき、秋を感じる風に吹かれ、しばらくたそがれていました。

季節はうつらふ。そして、秋はさびしい…( ´_ゝ`)

 さて、このような日暮れの時間帯を“たそがれどき”といいますが、漢字では本来「誰そ彼時」と書きます。漢字で見ると意味が見えてくるから昔の人の感性は素晴らしいです(^-^)/ 日が暮れてきてあたりがだんだん薄暗くなってくるとすれちがう人の顔もぼんやりしてきます。

「あれ? あの人は誰だろう?」という感じ。

古文を訳すように言うと、

「薄暗くてはっきりいたしません…。あなたは、どなたですか?」

という感じ(笑)。

情緒がありますね~。綺麗な日本語の一つです。

「誰そ彼時」は日暮れをさしますが、明け方をさす言葉もあります。現代ではほとんど使われなくなりましたが“かわたれどき”といって、漢字では「彼は誰れ時」と書きます。意味は、同じです。日暮れの薄暗い時間帯を「たそかれどき」。日の出の薄暗い時間帯を「かわたれどき」と言います。同じ薄暗い時間帯ですが、朝と夕を使い分けるあたりがさすがです。

 高校時代、古文の先生が“たそがれ”と“かはたれ”について、こんなことを言っておりました。(うろ覚えですが^^;)

平安時代の貴族の男は気に入った女が出来たら日暮れの暗さにまぎれて女の部屋に忍び込む。そこで女が「誰そ彼?」(誰なの? あなたは…)。

契りを結び、日が昇らぬうちに去って行った男を想い一言つぶやく。「彼は誰?」(彼は誰だったのかしら…)

 当時、ピュアな高校生には刺激的な話でしたので今でも覚えています。実際はもっと生々しく語られましたしね(笑)

追記.

一つ思い出しました。

時間帯の話では“おうまがとき”というのがありました。こちらは漢字で「逢う魔ヶ刻」と書きます。漢字から察するに、魔物に出逢う時間帯をさします。鬼や魔物が跳梁跋扈した時代にはそれにぴったりの時間帯があったのですね~。


https://weathernews.jp/s/topics/201910/310225/ 【「彼は誰時」って何?黄昏時との意外な接点】より

「秋は夕暮れ」と枕草子で書かれているように、秋は、夕暮れの時間が印象的な季節です。

夕暮れ時のことを黄昏時(たそがれどき)とも言いますが、これは夕焼けで薄暗い中、景色が黄金色に輝く時間帯を示す言葉です。

この黄昏時の語源は

誰ぞ彼(たれぞかれ)

たそがれ

黄昏時

日が暮れて薄暗くなり相手の顔の見分けがつきにくく「あなたは誰ですか?」と問いかける時間帯ということで「たそがれ」になったのだと言われています。

漢字で「黄昏」と書くのは、当て字のようです。

明け方は「かわたれ時」

box1

同様に、明け方の事を「かわたれ時」と言うのをご存知でしたか?

語源とされているのは、黄昏時と同じように、

彼は誰ぞ(かわたれぞ)

かわたれ

かわたれ時

こちらも人の顔が区別つきにくい時という意味で、漢字で書く場合は「彼は誰時」と書きます。

元々は、「黄昏時」「かわたれ時」共に、夕暮れ・明け方のどちらでも使えたようですが、今は夕暮れが黄昏時、明け方がかわたれ時と使い分けされています。

夕方は誰ぞ彼が語源、明け方は彼は誰ぞが語源。

ちょっと混乱してしまいそうですが、どちらも趣のある美しい言葉ですね。




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