融合と分離 聖杯と剣

Facebook・清水 友邦さん投稿記事「融合と分離 聖杯と剣」

女性性と男性性の象徴が「聖杯と剣」です。

社会科学者のリーアン・アイスラーによると剣で切断して分離を促すのが男性原理です。

女性原理を象徴する聖杯とは子宮を表す容器です。

世界中で女性を象徴する装飾がついた土器や壺が発掘されています。

女神を象徴する容器は呪力をもっていて土器を作ること自体が神聖な秘儀でした。

ギリシャの最初のお椀は女神ヘレナの乳房を型どったと言われています。

乳の雨で大地を養い、出産の時に体液を流す子宮は地底から涌き出でる泉であり、水を流す容器と同様でした。

女性と容器を同一視する信仰は地中海沿岸をはじめ全世界に及んでいます。

洞窟や子宮を表す容器は人間の源を表す神話のイメージとして出てきます。

古代ギリシャのエレウシスの地で行われた秘儀参入の儀式、「エレウシスの秘儀」では子宮を擬した聖なるピトス(甕・かめ)が死と再生の容器として用いられました。

パンドラ(万物を与える者)として女神が聖なるピトスに祝福を与えて死者は復活したのです。

のちにピトスは箱と訳されパンドラはネガティブなイメージにされ悪と災いを呼ぶパンドラの箱として知られるようになりました。

古代の土器、壺やかめの製造は、女性の仕事でした。

現在も世界の諸民族の多くの土器作りは女性の仕事だということが知られています。

アフリカのズールー族の伝承では最初の壺は女が作ったことになっています。

「正倉院文書」「浄書所解(天保2年)」によると女性が土師器の製作をして、男性が原料の土を採掘し、はこんでこね、薪を作り、藁を準備し、製品を運んだといいます。(川崎保「縄文ムラの考古学」)

おそらく縄文土器も女性の手によって作られ巫女によって祭儀が執り行われていたのでしょう。

縄文土器は空気も水も通す多孔質なので陶器や磁器と違って直接火にかけても割れません。現代の土鍋と同じく煮物に適していました。 深鉢の底を炉の灰の中に刺して、とろ火で煮炊きが出来ました。 煮炊きによって食物を生み出す土器は食べ物を生む豊穣の大地と命を生み出す子宮に象徴されます。

北杜市考古館の顔面把手付深鉢( がんめんとってつきふかばち )土器は土器胴部正面中央部と背面中央部に人面が付けられています。母親の体から生まれ出ようと顔を出した赤ちゃんを見下ろす母の姿を表現しています。そして顔面把手付深鉢土器の模様は女性器に似ています。

女性と火は深い関係にあります。炉の形は女陰であり、 古代日本の女性の女陰の呼び方はホト、ヒと呼びました。

火は女性の「ソコ」にあります。女陰の「ソコ」を火で焼かれてイザナミは亡くなりますが、その間に食物の神や土器の神が次々と生まれました。

火(ホト、ヒ)をおこして、火を絶やさずにすることは女性の大切な仕事で呪術的宗教行為でもありました。

天皇候補を意味する言葉の日嗣の御子(ひつぎのみこ)は火を継いでいく巫女、すなわち「火継ぎの巫女 (ひつぎのみこ)」だったのでしょう。

アメリカの文化人類学者G・Pマードックの調査によると世界224の民族の男女の土器つくり手の比率は女性が約80%を占めていました。

エクアドルのインディオたちは土器を作る粘土は大地と同じ女性であり女性の魂であると言っています。

南米アンデスの先住民の土器つくりの神話をレヴィ=ストロースが紹介しています。

「むかし、むかし蛇が年老いた夫婦を粘土のある場所へ導き、粘土と砂、あるいは炉床からとった石をあらかじめ砕いたものとまぜる方法を教えた。壺つくりは神聖な業であり、男は蛇を讃える儀礼を行い、宗教歌を歌う土器作りの女に近づいてはならなかった。」

東アフリカのナンディ族の男たちは女たちが壺を作っている小屋に近づきません。

見てはならないのです。もし見てしまった壺を男が手にとって火にかけたなら男はかなず死んでしまうと信じられていました。女性は生死を司る霊力を持っていたのです。

命を生み出す妊娠・出産・育児はまぎれもなく女性の仕事です。

ところが、男性原理が優位な社会になると女性の服装、役割、仕事などに厳しい宗教的制裁をくわえられて女性の行動は制限されました。

女性原理が行き過ぎると子供を飲み込む母となります。

子供を束縛する母親に憎悪と反発が息子に生まれます。

男性原理の神話には憎悪する男神によって地母神が抹殺されて闇の中に排斥されてゆく過程が記されています。

慈愛の女神は男を惑わす邪悪な魔女にされました。

そして性の交わりは、男性による征服を示し、女性への性暴力の多くが正当化されました。

男性原理が優位な社会の起源神話は男の創造者が男に命を与え男の後に最初に罪を犯した女エバが作られています。

母なしで男性だけによって世界ができたのです。

女は穢れた不浄な存在であり、男よりも劣った存在とされキリスト教の教義の父なる神、子なるイエス・キリスト、聖霊の中に女性は含まれていません。

子宮を象徴する壺つくりは命を生み出す神聖な秘儀であり、男性が関わることはタブーでした。

大地そのものが女神の巨大な子宮であり、そこからあらゆる命と人間が生まれています。

女神の乳房から流れ出る乳が泉や川でした。ガンジス川もセーヌ川も古代の川や泉の名前はすべて女神です。

チェロキー・ショーニー族は母なる大地を「われらの祖母にして偉大な創造者」と呼んでいます。

母系社会を築いていた古い時代の創造神は女神でしたが男性原理が優位の時代になると男性の神に取って代えられてしまい女神の記憶は失われてしまったのです。

父神と息子たちによる 一神教の神話は母殺しの過程を物語っています

そしてユダヤの神秘主義はもう一つの神話を伝えています。

人間の罪によって天上の父神から女神は切り離されて闇の世界を放浪しました。

人間の善き行いによって女王は王のもとに帰還します。

王と女王は融合し宇宙は調和した光に包まれて世界の創造が完成します。

女性原理は融合し、男性原理は母子の一体からの分離を促します。

知恵の実を食べて楽園から追放されたアダムとイブですが、この神話は分離する前の人間の魂は永遠の楽園で暮らす不死の存在であった事を示唆しています。

世界はアイン・ソフ(無限)から誕生し、魂はアイン・ソフ・オウル(無限の光)中でアイン・ソフ(無限)に帰還します。

数千年にわたった男性支配の社会体制は21世紀になると終わりを告げて世界の潮流は女性原理と男性原理が融合した世界へと流れています。


「天麻那舞」

日本の藝能は「舞(まひ)」と「踊(をどり)」に別れていて、飛び上がる跳躍運動が「踊(をどり)」で「舞(まひ)」は旋回運動であると民俗学者の折口 信夫(おりくち しのぶ)は述べています。

舞いは神懸りに導くまでの動きであり、踊りは神懸りしてからの動作を正気で繰り返すところに発生すると説いています。

シャーマンを表す「巫(ふ、かんなぎ)」という漢字は、上の横線が天を、下の横線が大地を表します。

天と地をつなぐ縦線は生命の樹、宇宙樹を表しています。

そして、あらゆる生命が生まれる生命樹の両側に人を置いています。

巫の人の字は踊る人を象徴しています。

舞をして心と体が一つになると大地から螺旋状にエネルギーが上昇して来ます。

そのエネルギーはトラウマを解放するので恐怖を伴うことがありますが、恐れずに日常的な意識を超えた力に明け渡しをすることで、人は自我を超えた世界に気がつきます。

生命樹を中心に舞い踊ることによって、神や精霊の世界に入るのです。

そのことを 巫 と言う字は表しています。

古代において、女性は神聖な存在でした。

卑弥呼の時代の女性は神の声を聞き、託宣を行なう女性リーダーでした。

神事芸能の祖はアメ(アマ)ノウズメ(天宇受賣命、天鈿女命)です。

古事記の記述では、マサキノカズラ( 真折の葛)を頭飾りに、ヒカゲノカズラ(日陰蔓、常緑のシダ植物)をタスキにして、小竹の葉を手にもつ草装の出立ちでした。

植物に精霊が宿るのです。

古代は神事を遊びといい禊祓いを執り行う巫女のことを遊女(あそびめ)といっていました。

現在では遊女といえば売春婦と同意語になっていますが本来は諸国を歩いて神社や寺社で神事芸能を演じる女性集団のことでした。

春をひさぐ女性が増えてきたのは嫁取り婚が出てきた平安時代の中期ごろからです。

男性が女性のもとに通う妻問婚から婿取り婚へ、そして男性原理が優位になって嫁取り婚になり現代の家父長制(かふちょうせい)となって男性を主人と呼ぶようになったのです。

女性は使用人でも奴隷でもありません。

古代の女性はトベ・トジとよばれ部族のリーダーであり家の主人だったのです。

古代の母系社会は母から娘へ財産が受け継がれたので女性は経済的に自立していました。

経済のために性を売る女性はいませんでした。

母系から父系に変わり男性が経済的な支配を強めると女性の経済的自立は弱まってきたのです。

生活が困窮し暮らしのために性を売る女性が増えてくるとやがて遊郭が現れて経済的に自立できない女性たちは大規模な売春組織に飲み込まれて行ったのです。

遊部 ( アソビベ )という鎮魂の神事を司る役職は女性の比自岐和気 ( ヒジキワケ )が代々受け持っていましたが、のちに、神事の役職は女性にはふさわしくないとされて、その家系の女性を娶った男性の円目王(つぶらめおう)が行なうようになりました。

母系から父系に変わると祭司長が女性から男性に変わったのです。

男性原理の律令制が輸入されると巫女は正式の官職ではなくなり、宮廷神祇官の男性神職の下にされてしまいました。

鎌倉から室町時代を過ぎると遊女(あそびめ)、傀儡女(くぐつめ)、白拍子(しらびょうし)は不浄であると神事から女性は追放されてしまいました。

社寺や霊場、祭場などへ女人が禁制となって修行が男性主体となりました。

神楽も男性だけが踊るようになったのです。

男性が女の面をつけて踊るのは女性が祭祀の主導権を握っていた時代の痕跡でした。

それは女性原理から男性原理が優位になったことを意味しています。

6月30日、夏越の大祓の日陸前高田の月山神社で、翌日は花巻の瀬織津姫を祭神とする早池峯神社で村上舞那 さんと全国の舞手の皆さんによって麻を用いての舞「天麻那舞」のご奉納が行われました。

岩手県は瀬織津姫を祭神としてまつる神社数が全国で一番多く36社あります。

瀬織津姫は禊祓いの神として祝詞に出てきますがその大祓祝詞に「大倭日高見国(おおやまとひだかみのくに)を定めまつりて」と国の名前が出てきます。

大倭は今の奈良県で「日本書紀」に東(あづま)の夷(ひな)中に日高見国(ひだかみのくに)有りとあるように奈良より東北の地域は朝廷に服従しない日高見国でした。

本州で一番最初に朝日が当たるのが早池峰山です。

岩手は中央を貫いて日高見川(北上川)が流れる日高見国です。

東北の蝦夷(えみし)は九州・近畿から見ると日の出の東の方向にあるので日の本(ひのもと)と呼ばれていました。

高い太陽を見る国という意味の日高見国(ひだかみのくに)という記述が「日本書紀」と「釈日本紀」に出て来ます。

日本は統一国家ではなく大倭と日高見の二つの国があって日高見国は独自の文化と言語をもって千年以上も独立を保っていたのです。

瀬織津姫は大祓詞にミソギを司る祓戸大神(はらえどのおおかみ)として登場しますが古事記、日本書紀には全く出て来ないので謎の女神と言われてきました。

瀬織律姫の名前が出てくる古文書はごくわずかで「大祓詞」と「倭姫命世記」ぐらいしか見当たりません。

瀬織津姫は神道最高の祝詞に祓戸大神として最初に出てきます。

大祓とは人間の罪と穢れの一切を祓い潔める事で、神道ではこれを大事な宗教行事としています。

アマテラスもスサノオもまたイザナギが行った禊によって生まれています。

古代の日本では天災や疫病は憎しみや怨みをもった怨霊のしわざと信じられていました。

菅原道真(すがわら の みちざね)は藤原時平(ふじわら の ときひら)の讒言により流罪になって恨んで死にますが、流罪に関わっていた藤原時平の弟の藤原忠平(ふじわら の ただひら)は菅原道真を祀る北野天満宮を建立したので怨霊は藤原時平の子孫に祟ることになりました。

怨霊は時平の子孫たちを次々と死に追いやりました

おかげで藤原忠平は政治の実権を握り、摂政関白の職を独占するようになりました。

古代の鎮魂は運命を握る重要な神事だったのです。

古代では勢力争いに敗れて祓われた神を鎮魂する必要があったのです。

鎮魂法はタマシゾメ、ミタマフリ、タマヨバヒとも呼ばれています。

現在知られている鎮魂法は川面凡児(かわつら ぼんじ)の禊の行法や明治の中頃の薩摩の神道家本田親徳(ほんだ ちかあつ)の鎮魂帰神法と大正から昭和にかけての神道家田中治吾平(たなかちごへい)による鎮魂法が知られています。

本田親徳の鎮魂帰神法は神霊を神主に転霊することを言っているのでシャーマニズムでいうところの憑依(ポゼッションpossession)です。

田中治吾平の神人一体境は人間が生きながらにして神となることを意味しています。

そのことを「本霊」(もとひ)や「直霊」(なほひ)になるといいます。

こちらの鎮魂の意味は憑依ではなく自己の本質に帰ることです。

自己の本質の上に罪が覆っています。

その罪を消滅させて自己の本質に戻す重要な女神が瀬織津姫なのです。

日本が全体性を取り戻すには闇に光が当たり、隠された真実が明るみになる必要があります。

世界は男性原理優位から男性性と女性性の統合の時代が始まっています。

いまだ家父長制の亡霊のような政治体制になっている日本ですが

女性性の象徴の女神である瀬織津姫が表にあらわれてきているのは日本が危機状態にあるからだともいえます。

ミソギによって罪(思い込み)を払うことができれば自己中心的な自我から自由になります。

あらゆる命は母なる地球という同じハラから生まれた兄弟姉妹とみなす、深い一体感が生まれます。

舞手は無心になって聖地で舞うことで思い込みを祓い内なる女神をよみがえさせるのです。

天と地と人をつなぐ舞 天麻那舞

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コズミックホリステック医療・現代靈氣

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