政府が市民を信頼して

https://www.asahi.com/articles/ASP5P65HTP5PUTFK023.html 【オードリー・タン氏語る 「政府が市民を信頼して」】より

鬼原民幸2021年5月21日 18時54分

立憲民主党の会合にオンライン参加する台湾のオードリー・タン氏=21日、国会内、鬼原民幸撮影

 台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相が21日、立憲民主党の会合にオンラインで参加し、新型コロナウイルス対策について語った。封じ込めに成功したと評価された台湾だが、現在は再び感染者が急増している。タン氏は「数カ月以内に台湾製ワクチン開発が追いつくだろう」と述べ、収束は可能との見通しを語った。

 台湾はデジタル技術を駆使した域内住民の接触確認を徹底し、世界的にもコロナの封じ込めに成功したと評価されていた。ただ、今月に入って感染者が増加し、当局は全土で小中高校を原則休校にしたほか、企業にテレワークを要請するなど対策に追われている。

 タン氏は「マスク着用の徹底や密集を避けることで、まずは現在の防疫レベルを維持する必要がある」と説明。現状ではワクチンの数が足りていないものの、数カ月以内に台湾製ワクチンが完成すれば、封じ込めは可能だと強調した。

 一方、出席者から「どうすれば日本の対策がうまくいくか」と問われ、タン氏は「まずは政府が市民を信頼することが重要。そこが欠けていると、市民は何事も上から押しつけられているように感じる」と語った。デジタル技術を生かすためには「使用目的を限定し、個人情報の使途を明確に線引きすることが大切だ」と指摘した。(鬼原民幸)


https://www.ys-consulting.com.tw/news/96098.html 【《新型肺炎》台湾製コロナワクチン、7月末から供給可能に/台湾】 より 作成日:2021年5月14日_記事番号:T00096098

 蔡英文・総統は13日、台湾のワクチンメーカーが開発を進めている新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、第2相臨床試験が終わりに近づいていると説明し、7月末から供給が可能になるとの見方を示した。その上で、ワクチンの接種者が増えれば増えるほど、台湾全体の防護力が高まるとして、接種を呼び掛けた。14日付自由時報が報じた。

 衛生福利部(衛福部)食品薬物管理署(TFDA)の呉秀梅・署長によると、台湾のワクチンメーカー、高端疫苗生物製剤(メディゲン・ワクチン・バイオロジクス)は5月初旬に被験者に対する2本目の投与を終えており、6月初旬に効果を確認した後、TFDAに報告書を提出する。専門家による審査を経て緊急使用許可(EUA)を取得すれば7月中の供給開始が可能となる見込みだ。

 一方、聯亜生技開発(UBIアジア)のワクチン開発はメディゲンに比べ1カ月ほど遅れているという。ただ同社も7月中には接種可能になるとの見方を示している。


https://www.asahi.com/articles/ASP1F4HSPP18UHBI01N.html?iref=pc_rellink_03 【傷めなかった民主主義、抑えた感染 オードリー・タン氏】より

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聞き手 台北・石田耕一郎2021年1月14日 10時00分

 新型コロナウイルスを流行初期のうちに抑え込んだ台湾で、その成功を支えたのは行政のデジタル化と官民の協調だった。そう語るのは、感染対策の中心人物の一人で、抜群の頭脳を生かして社会改革に取り組んできた唐鳳(オードリー・タン)さんだ。日本のコロナ対策だけでなく、国のあり方についても考えさせられる。

 ――新型コロナウイルスの感染者が中国で見つかって1年が過ぎました。台湾が感染拡大を抑え込めた理由は何でしょうか。

 「社会と行政と経済界との協力、と私たちは言っています。全社会的なアプローチと呼ぶ人もいます。例えばマスクです。30歳以上の人々は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を覚えていて、マスクは手洗いとともに感染防止に効果的だと知っていました。行政は健康保険カードを使ったマスク配給制度を作りました。コンビニがマスク配給場所として名乗りを上げてくれました。誰かが主導したわけではなかったのです」

 ――3者の中では行政に大きな権限や影響力があります。人々は受け身になりがちでは?

 「私はそう思いません。マスクが不足していたころ、行政は『風通しの良い地下鉄車内でマスクは不要』と説明しました。でも人々はマスクを着け続けたので、私たちは考えを改め、マスク増産に尽力しました。行政が権威的な指示をしていたら、こうならなかったでしょう」

 ――マスク不足の時期に民間のアイデアを採用し、ネット上にマスク供給地図を作りましたね。

 「台湾には『勝てないなら一緒にやろう』という考えがあります。大気や水質の観測、災害時の救助活動でも共通しており、官民の信頼関係が基礎にあります」

 ――中国もコロナ抑止に成功したとされていますが。

 「中国の手法は台湾と全く異なります。台湾は感染症対策部門の職員が、肺炎の流行をネットで発信していた武漢の李文亮医師(後に死去)の情報に気付き、即座に防疫を強化しました。憲法に規定がある緊急事態を宣言せず、都市封鎖もしていません。民主主義制度を傷めず、穏やかな方法で中国と同じような結果を得ました」

 「一方で、李医師の情報は武漢の人々に届きませんでした。もし中国で言論の自由が確保されていたら結果は違っていたはずです。感染拡大を受け、中国は武漢の封鎖という手荒な手段をとらざるを得なくなったのです」

 ――携帯電話の位置情報や街の防犯カメラで対象者の行動履歴を調べる台湾の防疫手法自体は、中国と似ていませんか。

 オードリー・タン 1981年生まれ。小中学校で不登校を経験。高校に進学せず、IT業界を経て2016年から民間登用の閣僚。トランスジェンダーを公表している。インタビュー後半では、デジタル技術が人々を結びつけた結果生まれた憎悪の増幅にどう向き合うか、についても語ってくれました。

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