竹伐りて星降る道の通ひたる

https://blog.canpan.info/dandan-minoh/archive/101 【第101話 「竹の春」に竹を伐る[2008年09月21日(Sun)]】より

 俳句の季語に「竹の春」「竹伐る」があります。季語は季節と結びついて、その季節を表すと定められている語です。「竹の春」「竹伐る」は「秋」の季語ですが、「竹の秋」は「春」ですから、逆になっています。

 歳時記をめくると「竹の春」には「竹は秋になると緑鮮やかに繁茂するので、この言葉が生まれた」とあり、また「竹伐る」では「木六、竹八といって、竹の性のよいのは陰暦の8月ころで、その頃から陰暦の1月ころまで竹を切る。そのころの竹は最も質が良い」と解説しています。

 この「竹の春」の時期、今年は9月9日から11日までの3日間、質の良い竹を間伐して炭材にするために、名神高速道路茨木インターチェンジ近くの竹林で行いました。

 「竹の春」に行った竹の間伐の話題をまとめてみました。

「竹の秋」

 歳時記の「竹の秋」には、『竹秋』『竹の秋風』などがあり、3,4月ころになると地中の筍を育てるために古い葉が黄ばんでくる。他の草木の秋の様と似かよっているのでいう、と書いています。

 Bamboo home pageの「竹の成長」の中で、「竹の秋ってどんな現象?」をみると、

 「竹類は、紅葉している葉はすでにほぼ1年間の働きを終え、そして枯れ、落葉しようとしている葉です。このような状態の時に竹林の『竹の秋』が見られるのです。竹類はほぼ毎年新しい葉に更新します。その更新時に竹は紅葉します。しかも、ほんの短い期間ですから、その紅葉に気付かないこともあります。しかし、落葉樹のように、すべての葉が一時に落ち、葉のない時期があるのではありません。紅葉している葉の付け根の小枝からすでに新しい葉が針状に伸びています。この新しい葉は紅葉している葉が落ちると同時に開き、同化作用を始めます。したがって、竹類は常緑です」と説明しています

 今年の4月から6月まで毎週水曜日に万博記念公園の竹林の前を通る機会がありましたが、竹の葉っぱが紅葉していることには全く気がつきませんでした。

むしろ4月下旬から出始めた筍の成長の速さに目が向いていました。

竹は1日にどのくらい伸びるか?

 上記の写真では、筍の成長していく過程で竹は1日にどのくらい成長するのか、1週間ごとにデジカメで定点撮影を試みました。しかし、きっちりと計測するならともかく、デジカメ程度では定点での撮影がカメラに収まらず見事に失敗しました。

 その後、大阪自然保全協会主催の「竹林の講義と実地見学」が7月6日京都大学・桂キャンパスで行われ、フィールド科学教育研究センター里域生態系部門・里山資源保全学分野・柴田昌三京都大学教授から、竹林に関する話題を聞くことができました。

 スライド説明で1日の伸長量を書き取りましたが、出典を記録しそこないました。ネットで検索してみると同じ伸長量だったので、上田弘一郎先生の調査が出典だろうと思います。それによると、

  6月20日  21cm  6月21日  91cm  6月22日 121cm

  6月23日 105cm  6月24日  91cm  6月25日 106cm

 ギネスブックに掲載されているマダケの1日の伸長量は121センチ、モウソウチクでは24時間に119センチ伸びたという記録が残っているそうです。

 上記Bamboo home page「破竹の勢い」の中で、「何故そんなに伸びるのか?」には「竹の生長は2カ所で起こる。一つはタケノコの頂点で、そこには成長点があり、そこで細胞分裂して上方に伸びる。もう一つは、一つひとつの節の真上にある成長帯であり、ここで新しい細胞が増えるのであり、むしろ、この方が全体の伸びに強く関係しているのである」。

 その伸び方の説明に提灯を例に挙げて「提灯を引き上げることは、それぞれの蛇腹の部分を伸ばすことである。タケノコも同様に、それぞれの節は提灯の蛇腹に相当していて、それぞれの節間が伸びることによって全体が伸長するのである。つまり、トップの高さはそれぞれの節の伸長量と頂点の伸長量とのト-タルなのである。単純な計算例を言うなら、例えばタケノコに20個の節があり、それぞれの節間が5センチ伸びたとすると、ト-タルでは100センチの伸びとなる」と説明されています。

 柴田先生の講義では「細胞分裂だけでなく、風船みたいに圧力がかかっている」という説もあるといわれていました。

整備された竹林と整備されていない竹林

 「竹林の講義と実地見学」では、午後から周辺の竹林で整備されていない竹林と整備された竹林(京都土の塾)を見学しました。

 写真2上段はこの付近に広がっている竹林の全体を写しました。かつては筍の産地として竹林の整備もされてきましたが、旧住宅都市整備公団が大規模な住宅団地計画で買い取られ、その後のバブル崩壊などで京都・洛西地区の竹林が永年放置されてきました。

 写真2中段は整備されていない竹林の中へ入っていきました。薄暗くなんとも不気味な感じがします。これでも30%は間伐したそうですが、鬱蒼としています。写真2下段は「京都土の塾」が「たけのこプロジェクト」を立ち上げ、整備された竹林です。

 整備されていない竹は全般に太い竹が多いのに比べ、整備された京都土の塾の竹林は細いのです。

 柴田先生は「放置された竹は生存競争で勝った竹がぐんぐん伸びるのに比べ、整備されると竹はストレスであまり大きく太らないのだ」と説明がありました。

 「植物がストレスを感じる」という話は、以前「トマトなどの水耕栽培でモーツァルトの音楽を流して収穫を上げている企業の話題を調べたことがありますので、別の機会に取り上げたいと思っています。

「竹の春」の竹林の中

 8月23日の雨の降る日に、茨木市内の竹林へ事前調査に出かけました。かつての炭やきでは障壁を設けていなかったので、炭材は70センチとしていました。障壁を設けると収炭率があがり、窯内の空気の流れも良いと判断し、障壁のレンガの厚み等を差し引いて炭材の長さを60センチとしてきました。

 今回はその中間を取って炭材を65センチにしました。65センチ×3=195センチが現地から運び出す竹の長さです。

間伐した場所からトラックに積みこむ場所までの約300メートルの間はリヤカーで小運搬すること、車の駐車場所など詳細に地主さんと話し合い、9月9日から3日間間伐作業をすることにしました。

 事前調査のとき藪蚊がやたらに多いことが気になりました。間伐作業の3日間、朝夕は涼しい好天でしたが、竹林に入ったと同時にびっくりするほど藪蚊がいっせいに集り、蚊取り線香をくゆらしてやっとおさまりました。注意すべきことは、作業中は腰に携帯用蚊取り器を取り付けていましたが、枝払いなどの力仕事で、蚊取り器が開いて火が地面に落ちたことが3日間で3回ありました。線香は湿気の少ない枯葉だったので火は消えていませんでした。みんなで手分けして大事に至らずに済みました。これだけ多い蚊の発生源は竹の切り株に溜まった雨水だろうと思われます。

 写真3は気持ちの良い晴れた空を見上げて青々とした竹の葉っぱの茂った様子を写しました。まさに竹の春といった感がしました。この竹林では3年ほど前までは手入れをしていたそうですが、今では密集し肉厚の太い竹をたくさん間伐できました。

竹を伐る

 この竹林では今後筍を取るために、間伐では4,5年経った竹をできるだけ根元から切ることにして、作業の効率を考えてチェーンソー2台で間伐しました。

 数本重なり合った竹が多くあったので、写真5のようにそのうちの年数の経った太い方を伐るようにしました。   

 間伐3日間とも14人ほどが参加しましたが、間伐し、寸法に切りそろえ、寸法測定や枝払い作業が追われっぱなしになりました。1.95メートルに切りそろえた竹を1回70本ほど積み込み、4回半運びました。これで、約300本×3の炭材が確保できました。

竹を詠んだ俳句

 竹と季語を調べたので、竹の春、竹の秋を詠んだ有名人の俳句を探してみました。

  唐門の赤き壁見ゆ竹の春       高浜虚子

  初冬や竹伐る山の鉈の音       夏目漱石

  竹の春水きらめきて流れけり     成瀬桜桃子

  観覧車より東京の竹の春       黛まどか

  竹の春いつもの位置に父の椅子   角川春樹

 ネットでwww15.ocn.ne.jp/~kamido/haiku/takenoharu.htm「竹の春、竹の秋という季語」を読むと、「竹の春や竹の秋はとても強い心象の季語である。そのため、その前後に具象をもってこなければなかなか俳句にならないように思える。これらは、これだけで味わえそうな雰囲気のある季語であり、他に何をもってきても全体として味わいのある俳句にはならないように思えるのである。とても難しい季語である……才能のない人はあまり手を出さない方がよさそうである」と書いていました。  

              

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