http://mohsho.image.coocan.jp/joryokuju170615-18.html 【萬葉集に見られる「常緑樹」を賛美する歌について】 より
参考図書;新潮社;新潮日本古典集成「萬葉集」
このページでは、「黄葉」に対する「常緑樹」を歌う歌を列挙してみました。
1.萬葉集に見られる「黄葉」のもつ意味の整理
すでに記述したように、まず、「黄葉」は、モミチ、モミチバと読み、もみじする草木全般、すなわち、葉が赤や黄色に「色づく植物、草木、樹木」や「色づいた枝葉、色づいた葉」、そして、それらに彩られる「山の風景、景色」など意味するようです。
つぎに、動詞としては、モミツと読み、もみじする、赤や黄色に「色づく」意味になるようです。
さらに、一部には、「過ぐ」の 枕詞として、人が「亡くなる」の意味が見られます。
このように、万葉集では、およそ以上の3つの意味を持つ言葉の「黄葉」を「もみち、もみちば、もみつ」と読み、色彩的には赤も含む「もみじ全般」を代表して、「黄葉」という文字で表記されているように考えられます。
さらに、もみじのもつ変化しやすいイメージの中には、美しく変化するイメージ以外に、
移ろいやすい、無常、はかない、心変わりするなどのニュアンスが含まれます。
これらの不安定なイメージとは反対に、永遠性、神々しさ、変化しないイメージを持つ
常緑樹を讃える歌が萬葉集に見られます。
常緑樹には、常緑広葉樹と常緑針葉樹がありますが、このページでは、松、杉、檜、栂などを挙げました。( 以下略)
https://fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/fsm/data/26sugi.html 【す ぎ】より
和名:杉(すぎ)
学名:Cryptomeria japonica D. Don (スギ科)
万葉:すぎ(杉).
日本固有種.秋田や高知には天然の純林がある.また屋久島には約数千年を経たものもある.ヒノキと並んで最も広範囲に植林される常緑高木.
古(いにしえ)の 人の植ゑけむ 杉が枝(え)に 霞(かすみ)たなびく 春は来(き)ぬらし
作者不詳 『万葉集』巻十1814
あの杉は、昔の人が植えたんだろうな。その枝に霞がたなびいているよ。そうか…もう春が来たらしいよ。
万葉集には「神杉(かむすぎ)」、「斎杉(いはいすぎ)」など神聖な場所にそびえる特別な杉として歌った歌が多くみられます。
本州の北端から、南は屋久島まで生える、日本の特産種です。各地に天然記念物に指定されている巨木があります。とくに屋久島の縄文杉は有名です。
スギは、建築材、家具材として最も広く利用され、とくに材の香が日本酒の風味をよくするということで、酒樽にはなくてはならない材料です。(建築材)
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http://blog.livedoor.jp/rh1-manyo/archives/47926907.html 【1239 古の 人の植ゑけむ 杉が枝に ・・・】より
【旧 一月廿日 友引】雨水・霞始靆(かすみはじめてたなびく)
今年はインフルエンザの患者数が過去10年間のうち2番目に多いそうです。たしかに街ゆく人のマスク姿が目立ちます。最近はスッピン隠しにもマスクが使われているせいか、電車の中でお化粧に及ぶご婦人が少なくなったようにも思えます。そして次なるマスクの出番はスギ花粉。これから本格的に猛威をふるいそうな気配です。ところで、スギの花粉症というのは海外にはないそうです。というのも、スギの学術名はクリプトメリアヤポニカ。ヤポニカとは日本のことで、スギは日本固有の植物なのです。古代から木材としての用途が広いため、一生懸命人々が植林してきたのですが、後世にこんな副作用が出てくるなんて、ご先祖様には想像もできなかったでしょうね。
古《いにしへ》の 人の植ゑけむ 杉が枝に
霞たなびく 春は来ぬらし
~作者未詳 『万葉集』 巻10-1814 雑歌
いにしえの人が植えたという杉の枝に 霞がたなびく春が来たようです。
万葉集からの一首ですが、ひょっとしたらこれ、霞ではなくて花粉が飛んでいたのではないかとも思ってしまいます。それにしても、「いにしえの人が植えた」と万葉人が言っているのですから、杉の植林はそうとう昔から行われていたのですね。
https://www.kahoku.co.jp/special/spe1174/20200221_01.html 【うたの泉(1178)古(いにしへ)の人の植ゑけむ杉が枝(え)に 霞たなびく春は来ぬらし/『万葉集』 柿本人麻呂歌集】 より
昔の人が植えた杉の木、その木立から霞(かすみ)が立ち上っている、春が到来したようだ、という意味です。日本には杉の山が多く、自生したものや植林されたものがあります。鹿児島の屋久島の縄文杉は長い年月を生きてきた大木。昔から杉に神が宿ると考えられ、神社でまつられてきました。また、建築材や酒だるなどに利用され、信仰とともに暮らしを支えてきた樹木で、秋田杉、奈良の吉野杉、京都の北山杉が有名です。『万葉集』巻十より。
(梅内美華子)
https://www.kobe-np.co.jp/news/odekake-plus/news/detail.shtml?news/odekake-plus/news/pickup/201612/9766129 【お正月は松ではなく「門杉」です 春日・兵主神社】より
スギで作った正月飾り「門杉(かどすぎ)」が兵庫県丹波市春日町黒井の兵主神社の石柱に設置された。昨年亡くなった前宮司が同神社とゆかりの深い近衛家にちなみ発案。その遺志を引き継いだ氏子らが境内のスギやナンテンで約2メートルの門杉を作り、一足早く迎春ムードを醸し出している。
同神社は交通安全や健康の神と知られ、公家や武家からあがめられていた。また摂関家である近衛家に厚く信奉され、戦国時代の左大臣近衛信尹(のぶただ)は同神社に数多くの寄進をしたという。
門杉は、信尹が歌を詠む際に杉の一字名を用いたことにちなみ、同神社の前宮司、故河上輝彦さんが2014年に初めて企画。「門杉を神社の名物にしてほしい」という遺志を引き継ぎ、今年も氏子総代らでつくる参与会のメンバーなどが境内の森にあるスギや竹を使って手作りした。
クマザサやウメなども市内で調達。石柱から本殿へ続く道は、神社近くの氷上高校で栽培された葉ボタンで飾り付けた。
設置作業を手伝った同神社の和田利一顧問(84)も「きれいに飾り付けできたので気持ちを新たに新年が迎えられる。河上さんも喜んでいると思う」と話した。(尾藤央一)
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