鑑賞・俳句飄遊

https://ishimota24.seesaa.net/article/503568695.html 【五島高資句集『星辰』】より

五島高資さんの第五句集『星辰』が届きました。

自選の十二句です

人を撃つ人を撃つ人春うつつ

春星へかよふ寝息となりにけり

打水のここより龍の背骨かな

とことはの片蔭や人影の石

富士山の艫綱を解く夕焼かな

泣き顔は認証されず夕焼雲

少年の手話で別れる涼夜かな

かなかなや魂のずれととのへる

水の燃え上がれる銀杏黄葉かな

石を積む月の光となりにけり

銭湯のひとつ消えたる銀河かな

乗り降りもなくドア閉まるレノンの忌


https://ishimota24.seesaa.net/article/500932076.html 【五島高資著『平畑静塔の百句~生命と俳句の同化』】より

2023年09月29日

 ふらんす堂の百句シリーズの新刊です。五島さんの見事な解釈に酔いしれてください。また一緒におさめられている「平畑静塔小論」も読みごたえがあります。同じ医師として、さらに宇都宮をキーワードに多角的に語られています。仲秋の名月の月明かりの下、百句の中から気に入った3句を紹介します。(いしもた星人)

銀河より享ける微光や林檎かむ  『旅鶴』昭和29年

 地球の住所は「局部超銀河団、おとめ座銀河団、局部銀河群、天の川銀河、オリオン腕、太陽系、第三惑星」となる。つまり、地球は銀河の一員として星々から放射される電磁波(光もその一つ)を受け、自らも電磁波を放射している。ところで、ビッグバン仮説によれば、星々はもちろん生命も意識もまた宇宙の彼方から来たことになる。さらには、物体も精神も時空を超える高次元の世界に由来するのかもしれない。ともあれ、星も人も林檎もまた天与の欠片として互いに微かな光で交流しているのである。単なる「受」ではなく「享」とした所以だろう。(22)

みえぬものひかるしぐれのうへのあめ 『栃木集』昭和43年

 この後にも〈たけのふしながくひとつぶづつしぐれ〉という、やはり、平仮名だけの句が並んでいる。自註では両者とも京都嵯峨での作。 佐藤鬼房は「ここに和語感覚特有の、垂直空間に滲む切れ目のない模糊の、抽象情感(雨や光を霊的に伝える)が見える」と評す。「抽象情感」とは、語音と意味が一体化した大和言葉の根元に溯る言霊による詩的共感の謂であろう。掲句では、直感的洞見によって「時雨の上の天」に「見えぬもの」を捉えている。それは、まさに芭蕉が云う「ものの見えたる光」であり、古人が求めた高次の詩境にこそ立ち現れる。(42)

開花竹星は定めの座をつづく   『壺国』昭和49年

 竹は百二十年にして開花し、地下茎で繋がる竹林すべてが枯死すると云う。『壺国』では、掲句の前に〈開花竹揺れて世に古る眺めせし〉という句があり、自註に「〈・・・わが身世に古る眺めせし〉という下の句を使っている」として、老兆を嘆いた古歌と竹の枯死が結びついたと述べている。 天体の寿命に鑑みれば、個体のそれは須臾である。しかし、それはあくまで個体の死であり、種としての生命は連綿と続く。一方、不死のような恒星もまた超新星爆発で壊滅し、その欠片から、また星が誕生する。掲句には生生流転の不可思議が蔵されている。(61)


https://land.toss-online.com/lesson/abfiwhbfemlp3nmm 【俳句を作る、鑑賞する際のポイント107】より

俳句を作る、鑑賞する際のポイントを107あげました。この中から幾つかを観点とすると良いと思います。

1 五・七・五の定型になっている。         2 「下五音」に決めている。

3 季語が使われている(有季)。          4 一句一季語になっている。

5 季重ねになっていない。             6 切字が効果的に使っている。

7 季語の本意を満たしている。   8 外来語のカタカナの拗音は,小さく書いている。

9 ひらがなの拗音は,大きな字で書いている。

10 ひらがなの促音は,大きい字で書いている。

11 「句またがり」が正しくできている。    12 「自由律俳句」を使っている。

13 「無季俳句」を使っている。      14 「取り合わせの句」を使っている。

15 「一物仕立の句」を使っている。    16 「リフレイン」の効果を使っている。

17 「写生の句」の効果を使っている。   18 「幻想の句」の効果を使っている。

19 新仮名遣いと旧仮名遣いを混ぜていない。  20 新仮名遣いだけで書いている。

21 旧仮名遣いだけで書いている。

22 句の内容に合わせて効果的に字や仮名遣いを使っている。

23 外来語をカタカナで表記している。

24 英語やアルファベットを効果的に使っている。  25 数字を効果的に使っている。

26 名詞止めを効果的に使っている。     27 三段切れ(三切れ)を避けている。

28 縁語を避けている。          29 即(つ)きすぎていない。

30 季語の送り仮名が省略している。

31 漢字が続きすぎる際に,送り仮名を使っている。

32 名詞の季語を動詞に言い換えるなど効果的にしている。

33 ルビはできるだけ避けている。     34 ルビを効果的に使っている。

35 ルビの使用は,特殊な読み方に限定している。  36 擬音を効果的に使っている。

37 擬態語を効果的に使っている。     38 「見立ての句」の効果を使っている。

39 誰も使っていないような斬新な比喩を使っている。

40 擬人化をなるべく避けている。     41 「心」はいわない。

42 「淋しい」「悲しい」「想い」はいわない。

43 「うれしい」「美しい」はいわない。  44 視覚以外の感覚を活かしている。

45 聴覚を使っている。          46 嗅覚を使っている。

47 味覚や舌の感覚を使っている。     48 触感を使っている。

49 熱さや冷たさの感覚を使っている。   50 肌触りの感覚を使っている。

51 痛さや痒さなどの感覚を使っている。  52 色彩が際立っている。

53 情愛を込めすぎていない。       54 「表面的な句」を避けている。

55 「一過性の句」を避けている。  56 「忌日(きじつ)の句」を使っている

57 前書きの効果を使っている。   58 季移りを避けている。

59 切字の「や」を効果的に使っている。 60 切字の「かな」を効果的に使っている。

61 切字の「けり」を効果的に使っている。 62 「や・けり」を一緒に使っていない。

63 「や・かな」を一緒に使っていない。

64 「けり」と「かな」を一緒に使っていない。 65 最後の「や」止めを避けている。

66 「上五のかな」を避けている。       67 上五下五の名詞型を避けている。

68 順序を入れ替えてみることをおこなっている。

69 助詞を適切に使っている。        70 助詞を効果的に使っている。

71 言葉を正しく使っている。        72 気取った表現を避けている。

73 月並みな言い回しを避けている。     74 説明しすぎていない。

75 難しい言葉を使っていない。  76 いいたいことが具体的にあらわされている。

77 ていねいに描写している。       78 不要な言葉を省いている。

79 「省略による効果」を使っている。   80 内容をつめ込めすぎていない。

81 理屈をこねていない。       82 中七が上五と下五の両方についていない。

83 漢字を遣いすぎていない。     84 濁音をなるべく避けている。

85 主人公をっきりさせている。    86 感動のありかをはっきりさせている。

87 一つの景を鮮明に描いている。    88 手垢のついた表現を避けている。

89 心に素直な表現になっている。    90 何気ない日常の言葉を使っている。

91 技巧をこらした表現を避けている。  92 言いたいことが一つに絞られている。

93 表現の重複を避けている。      94 「漢字」の効果を使っている。

95 切字を一つだけ使っている。     96 切れ目を効果的に使っている。

97 意味の重なりを避けている。     98 連想可能な言葉を省いている。

99 「色」の効果を使っている。   100 擬音を使わず,音を連想させている。

101 「比喩」を効果的に使っている。 102 「セリフ」を使効果的に使っている。

103 効果的な「新語」である。   104 すでにある句に似ていない。

105 「てにをは」を効果的に使っている。  106 季語と季節感にズレがない。

107 「二つの題材の組み合わせ」の効果を使っている。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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