https://doshin-cc.com/lect/detail/49825 【俳句で感じる四季の移ろい季語の魅力を読み解く】より
俳句は五・七・五の十七音の中に季語で構成する日本固有の定型詩です。
季語とは季節を表す言葉で作者が読み手に伝えたい風景や思いをイメージしやすくする効果があります。
俳句は江戸時代に始まり現代に至るまで多くの俳人が日本の美意識や文化を表現するため様々な情景や心情を詠んできました。この講座では俳句の歴史や作り方などを幅広く紹介します。特に季語については四季折々に使える教材資料「季語抜粋集」を基に充実した内容になっています。
俳句に興味のある初心者・熟練者の方どなたでもぜひご参加ください。俳句の世界を一緒に楽しみましょう。
<カリキュラム(予定)>
(基礎編) ①俳句の歴史 ②具体的な句作法 ③句会と吟行の方法
(実践編) ①提出句の添削 ②句会への参加
https://www.sakigake.jp/special/2020/haiku/article_12.jsp 【季語の情感を楽しむ】より
〈トランプを切る指先がもう女〉(秋田市の山田澪子さん作)は、昨年の県川柳大会の秋田魁新報社賞の作。少女の指先に大人の女らしさを見出したところに川柳らしい着眼を感じます。同じ場面を俳句に詠んだら、たとえば〈トランプを切る指先も夜長かな〉や〈トランプを切る指先や秋の風〉のように、季節の情感を詠みこみます。
川柳も俳句も俳諧という江戸時代の庶民文芸から発達した詩形です。俳句のルーツは季語を伴う発句(ほっく)です。川柳のルーツは季語の有無を問わない(より自由度の高い)付句(つけく)です。そのような歴史的経緯から、俳句では約束事として季語を詠みこむことになっています(ただし、例外的にすぐれた「無季」の作品も存在します)。
季語を使うためには文字数のやりくりが必要ですし、そもそも季語が何かを知っていなければならない。季語があるので俳句は敷居が高いと思っている方も少なくないと思います。そこで今回は、季語の入っていない作品に季語を入れる添削を試みます。
省略した言葉を別の言葉で言い換える
観覧車子供の頃は空近く
京野純さん(秋田北高2年)の作。観覧車を見ると、子供の頃に遊園地で遊んだことを思い出す。記憶の中の空は何となく近かったような気がする。季節を特定しなくても、無季俳句あるいは川柳としても十分に魅力的な作品です。
ここでは俳句の約束事にしたがって季語を入れてみましょう。「天高し」という秋空や、寒々とした冬空、ギラギラとした夏空は「空近く」と合わない。空が近いという感じは、多分、春でしょう。
手っ取り早く「春」を入れると〈観覧車子供の頃の春の空〉となりますが、「近く」が消えてしまいます。「近く」を残すなら〈観覧車子供に春の空近く〉となりますが、この案では、子供だった頃の思い出という意味が消えてしまいます。〈思ひ出の春空近し観覧車〉(新仮名なら「思い出」)とすれば形は整いますが、何となく物足りません。そこで
観覧車に子供の我や春の空
としてはどうでしょうか。「近く」は消えますが、回想の中で子供だった自分が観覧車に乗って空に近づいてゆくのです。「観覧車に」は六音ですが、字余りは気になりません。
さまざまな構成を考える
居間に椅子陣取っていた祖父の墓
大谷詩穂さん(能代松陽高2年)の作。墓参り(初秋)の句です。「陣取っていた」という生前の姿が想像され、軽いユーモアも感じられます。足腰の弱った祖父は自分専用の椅子を、畳の間に持ち込んでいたのかもしれません。
墓参りを季語に使うときは、歳時記にある「墓洗ふ」「墓掃除」「墓参」などを用います。「居間に椅子を置いて陣取っていた祖父の墓に参った」という内容ですが、「陣取って」は消せそうです。居間と椅子と祖父を残し、下五にたとえば「墓洗ふ」を入れれば句になります。
居間に椅子を置きける祖父の墓洗ふ
あるいは
居間の椅子にありける祖父の墓洗ふ
(「ける」は過去・回想を表す助動詞「けり」の連体形)とすれば形は整います。
居間の椅子にありける祖父や墓洗ふ
と、中七を「や」で切ってもよいと思います。ここで発想を変えてみましょう。ありし日の祖父が座っていた椅子が今も居間にあるとすれば
今も居間に祖父の椅子あり墓洗ふ
も考えられます。
季語を含めた一句の構成をいろいろ考えるのも案外楽しいと思います。
さあ、あなたも投稿してみよう!
https://www.iyobank.co.jp/sp/iyomemo/entry/20180222.html 【俳句にチャレンジ
今の気持ちを五・七・五に】より
(提供元:えひめリビング新聞社)
俳聖・正岡子規を輩出した、ここ愛媛県は俳句に親しむ人が多く、最近では若い年齢層にも人気が広まっている。俳句の魅力は、何と言ってもペンと紙さえあれば、誰でも作ることができる手軽さと、自分の身の周りに広がる自然や出来事すべてが題材になること。リビングカルチャー教室・俳句講座講師・俳誌「花」主宰の有光令子先生に、初心者向けの楽しみ方をお聞きした。
感動を文字にしてメモする
とっかかりは出来映えにこだわらず、自分が感動したことを素直に詠んでみること。
考えるのではなく、見たこと、感じたことを忘れないうちに、形(文字)にすることから始めよう。
朝夕の通勤途中や、家事の合間でも「わあ、きれい」「あれ、今日はなにか違う」と、気づいたことを、単語でいいので、書き残しておく。普段からメモ帳と鉛筆を持ち歩くようにしよう。
歳時記を友達にする
俳句の約束事は、基本的には五・七・五の定型詩に、季節の言葉『季語』が入ること。季語の数は五千を超えるといわれ、例えば『春の雪』ひとつを見ても。春雪、淡雪、綿雪、春吹雪、牡丹雪などいろいろある。
俳句を始めるなら、まずは『歳時記』という季語を集めた本を手元に用意して、自分の感動を託せる季語を選んでみよう。
歳時記には季節を表す言葉があふれていて、日本語の持つ美しい響きや、豊かさ、奥深さも楽しめる。
歳時記
★春(2・3・4月)
春浅し、余寒、猫の恋、霞、猫柳、梅見、闘牛、雛祭り、山笑ふ、啓蟄、椿、水温む、蜆、杉の花、花曇、磯遊び、バレンタインデー、囀(さえず)り、春の海、汐干狩、風光る、蝶、風船、遍路、春惜しむ
★夏(5・6・7月)
牡丹、更衣、新緑、若葉、紫陽花、薔薇、花水木、薪能、祭、風薫る、新茶、黴(かび)、玉葱、琵琶、昼寝、燕の子、蛍、麦の秋、蝉、花火、金魚草、夏木立、網戸、半夏生、噴水、ラムネ
★秋(8・9・10月)
桐一葉、月、星月夜、盆の月、十三夜、十六夜、流星、蜩(ひぐらし)、鳳仙花、花野、法師蝉、西瓜、新涼、芒(すすき)、桔梗、萩、蟋蟀、芋、鰯雲、秋高し、爽やか、肌寒、初紅葉、茸、新米、新酒、案山子、運動会、秋祭、在祭
★冬(11・12・1月)
初旅、新年、初日、初霜、鷹、初時雨、山茶花、七五三、小春、冬日和、枯葉、短日、水鳥、初氷、息白し、梟、枯木立、冬ざれ、冬芽、風呂吹、葱、白菜、熱燗、咳、去年今年、凩、風邪
五・七・五に季語を入れて作ってみる
「こんにちは」「さようなら」「おやすみなさい」など五音と七音は日本人が慣れ親しんでいるリズム。感動した時の言葉を、リズムにあてはめてみよう。1音・2音少なくても多くても大丈夫。
この時に、景色が見えてくるような言葉を選ぶことがポイント。最初は五音の季語を選んでから、詠んでみるのもいい。
例)秋の季語 いわし雲(いわしぐも)で
(添削前)あと2日宿題せかすいわし雲
※「せかす」という言葉では情景が浮かびにくい
(添削後)宿題の写生仕上がるいわし雲
※夏休みの終わりに間に合った宿題の絵が思い浮かぶ句に
投句に挑戦する
俳句を楽しみ始めたら、自分の作品がどんなものか腕試しをしたくなるもの。思いきって投句してみるのもおすすめ。
松山市には、昭和41年の「子規・漱石・極堂生誕百年祭」の記念事業をきっかけに、観光俳句ポストが約90カ所に設置されている。散歩やお出かけの途中に、一句ひねって投句してみよう。
また、インターネットで俳句を投稿できるサイトもある。隔週で新しいお題が出て、選者が優秀句を選んで紹介している。
花園町にある松山市観光俳句ポストと正岡子規誕生邸址
出会いが広がる句会
俳句は一人で楽しむのも良いが、仲間がいると更に楽しくなる。自分の作品を他の人にも共感してもらいたいと思ったら、『句会』に参加してみては。
句会では最初に、集まった人たちが書いてきた句を無記名で短冊に書いて提出する。次に参加者の俳句を手分けして清書し、回し読みし、気に入った句をそれぞれが選句用紙に書き写す。その後、和気あいあいとした講評タイムで楽しく交流を深めよう。俳句は句会で学び、句会で育つと言われる。
俳句で心にゆとりを
俳句を始めると、今まで何気なく見ていた風景が、生き生きとして映り、新鮮な発見が増える。
時間に追われる毎日も、たった5分間でもノートに思いつく言葉を書くことで自分の時間が持て、自然や植物に眼差しを注ぐ心のゆとりができる。旅先で見た風景や料理の感激を、その時の気持ちまで残すことができる。病気や別れなど辛い出来事も、俳句にすると、客観的に自分を見つめ直すことができ、心が楽になる。などなど…。
俳句の楽しみ方は人それぞれ。さあ、あなたも早速、今の気持ちを五・七・五にしてみてはいかがだろうか。
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