https://www.littles.jp/blog/presentation/2235/ 【俳句作品集『ユプシロン』第1号 出来上がりました!】より
岡田由季、小林かんな、仲田陽子、中田美子の4名による作品集。
最近3年間に詠まれた作品の中から、各50句を収める。
〈目次〉
球根…岡田由季
なぐさみに…小林かんな
風切羽…仲田陽子
一角獣…中田美子
球根の天地を問ひぬ初蛙 岡田由季
きさらぎの丸太は川をつかえつつ 小林かんな
春灯し少し大きな左胸 仲田陽子
月満ちて一角獣に長き骨 中田美子
https://note.com/nag1aky/n/n0f0287fe79e6【俳句を読む:『Υ(ユプシロン)』No.3、津川絵理子句集『夜の水平線』】より抜粋」
ご恵贈いただいた二冊。大変遅くなりましたが、どうもありがとうございました。
頂いた順番にご紹介させていただきます。
◆『Υ(ユプシロン)』No.3
レモンイエローの表紙。年に一度の再会が嬉しい。頁を開くと、四者四様の作品が静かに広がっていて、届くたびにこちらの背筋も伸びる。
以下、感銘句をお一人・三句ずつ(敬称略)。
仲田陽子「レモンの熱」 ブロックの塀途切れたり猫の恋 下描きの線うっすらと山法師 トルソーは胸に白息ためており
中田美子「空白」 筋書きのいくつか混ざる夏の月
帳面の余白に走るすすきかな 秋天の象より伸びる象の鼻
岡田由季「天使幼稚園」 観梅へ誘ふ切手の組み合はせ
胡桃から胡桃以外の音がする 水鳥に会ふときいつも同じ靴
小林かんな「自動水栓」 紫陽花やクリーニングの空き袋
大瀑布眠らない椅子白い椅子 白菜の断面ふたつ天へ向く
中田さんがお書きになる「あとがき」はいつもこちらの胸をはっとさせる。
新しい風を入れてくれる。 屹立した透明な言葉たちに囲まれる喜び。
少し距離のある先輩たちを眩しい気持ちで見ていた十代の頃のような気持ちにさせてくれる一冊。
https://note.com/nag1aky/n/n5e07d7919eac【小さな読点:俳句誌『ユプシロン』No.5
】より
頂くたびに、「今年もそろそろ終わりだなあ」と思います。毎年似ているようで、微妙に違う一年。四人のメンバーが編んだ五十句に寄り添いながら、読者も自分の裡の2022年というページをそっと捲る。
そして、全作品を読み終わった後に読者も自分の気持ちと時間に小さな読点をそっと打って、残り僅かな今年を再び歩き出す。以下、感銘句を一句ずつ(敬称略)。
着る洗ふ誰にも会はぬ夏の服 岡田由季 蟋蟀を追って転校していった 小林かんな
誰も来ぬ聖樹の下に帽子箱 仲田陽子 宿題は行方不明の蟇 中田美子
今年の表紙は鮮やかな赤。写真は色がベタになってしまっていて「THE赤」だけど、
実物は凛としながら微妙なニュアンスの色合いで素敵。
感想は毎度おなじみ「こういう色のフラメンコ衣装を着て踊りたい」。
紺色系統のシージョ(ショールみたいなもの)を羽織れば、丁度、今習っている「タンゴ・デ・マラガ」に似合いそう😊ご恵贈、ありがとうございました💖
https://www.littles.jp/blog/general/5134/ 【「ユプシロン」6号、刊行です!】より
小林かんなさん、仲田陽子さん、中田美子さん、岡田由季さんの4人による俳句作品集「ユプシロン」も、今年で6冊目。各人50句、今号も読み応えのある作品が揃っています。
自選3句をお寄せいただきました。
もぎたてのレタスのような拒否にあう 小林かんな
またの世は君をかき消す夕立に にんじんの太くて書架にトルストイ
気づくまで消失点の桜かな 仲田陽子
スプーンの四角く平ら夏座敷 初夢の父土地勘があるらしき
夏燕光る破片を身にひそめ 中田美子
象使い五人で円座日雷 黄落のあちらこちらに庭師立つ
七月の水を渡りてピカソ展 岡田由季
数へ日の母はさつさと助手席に 土蛙三日続けて遇へば友
惹かれる句がたくさんあり、もっとご紹介したいところですが、是非手に取って、お読みいただきたいと思います。今号の表紙は群青で~!と製作したのですが・・・これは・・・紫?
https://chakolate.blog.fc2.com/blog-entry-930.html?sp 【「ユプシロン№6」】より
今年は私の好きな紫色。鮮やかでハッとする。
4人の50句だけが並ぶ、そして佳句満載のこの句誌は、いつも私を清々しい場所へ連れて行ってくれる。
小林かんな
直しつつ住んで百年桃の花 茅の輪小さし通りすがりの人も容れ
来た道を金魚とともに引き返す またの世は君をかき消す夕立に
仲田陽子
桜餅誇らしげなる招き猫 指細き明朝体の新社員
花は葉に今日か明日かにつく手紙 飲み終えてもう一度鳴るラムネ玉
中田美子
湯豆腐や優柔不断かつ頑固 象使ひ五人で円座日雷
地虫鳴く鼈甲色の眼鏡枠 鍵盤の象牙の黄色鰯雲
岡田由季
桐一葉ビジネスマンのみなリュック 雪の日の一度読まれし新聞紙
お元日犬にも正座あるやうな 土蛙三日続けて遇へば友
https://note.com/mhlemonade/n/n61aefa042e9a 【読む🍋 ユプシロン№6】より
きっかけは定かではありませんが、No.1から拝読しております。
場面の切り取り方、季語の取り合わせ方など、読むたびに新鮮な発見や共感があります。
関西在住の女性俳人4名による作品集 一読後、好きな句を選んでみました。
石叩き-小林かんな
弁当のおかずをさます梅日和 ゆすらうめ襟直し合う出番前
黄金週間暗がりに酢を納め 人形の肩にこぼれて天瓜粉
土地勘-仲田陽子
蝶の昼バウムクーヘン削ぎ切りに 封筒の窓素っ気なく四月かな
緑の夜オリーブオイル受ける皿 短夜をボードゲームの駒進む
象-中田美子
安南のにせものの壺桜咲く 葉桜に像の一族来て戻る
秋の空扉三枚通り抜け 哲学者宅の門前薄紅葉
横向き-岡田由季
誰の手か見分けてゐたる鶉かな 雪の日の一度読まれし新聞紙
七種のあつといふ間に一緒くた ビビンバの彩りに似て春の野辺
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