https://www.irohabook.com/vegetation 【植生と環境の分類|高校生物】より
植物の集まり、またはその環境を植生という。狭い意味での「植生」は主に陸上の植物環境のことで、次の三つに分けられる。
・森林 ・草原 ・荒原
その土地で最も支配的な植物(最も葉を広げている植物、上空から観察して地面を最も覆っている植物)を優占種という。植生は、優占種や気候などにもとづいて分類される。
階層構造
植生には階層構造があり、根・茎・葉が伸びる高さによって
・高木層 ・低木層 ・草本層 ・コケ層 ・地中層などがある。
森林
森林は、比較的大きな樹木が集まっている環境であり、気候と場所によって階層構造と内部環境が変化する。
熱帯地方の森林では、巨大な樹木が日光を求めて高さを競うため、一年を通して地表付近は暗い。「高さ競争」が激しい分、いろいろな高さ、大きさの樹木がならぶ。赤道付近の森林は一般的に複雑な生態系をとる。
一方、針葉樹が支配的な寒冷地の森林などは、最初から気候と日照条件が悪く、生きていける植物に限りがあるため、森林の階層構造は比較的単純になる。
草原
草原は、樹木が豊かに育つための条件が欠けている植生である。特に降水量が少ない地域で発達する。
樹木がほとんどなく、草が広がり、しばしば人間の放牧地などに利用される。
地球上で最も規模の大きい草原はサバンナとステップである。
名称 特徴
サバンナ 熱帯・亜熱帯の乾季がある地帯 アフリカ・中南米で発達 低木がある
ステップ 夏はやや温かく、冬は寒さが厳しい地帯 ロシア南部・プレーリー(北米)で発達
https://www.irohabook.com/ecological-succession【植物の遷移(乾性遷移・湿性遷移)|高校生物】より
植物や動物がいない乾いた土地でも、雨が降ったり、風に乗ってきた種から植物が育つなどして、長い時間をかけて緑化していく場合がある。
土地と植物(植生)の変化は大きく
・一次遷移
・二次遷移
がある。一次遷移は、豊かな土壌がない状態からの変化であり、二次遷移は土壌がある程度豊かになっている状態からの変化である。
一次遷移では、飛来する種が初期の植生になる。一方、二次遷移では、その土地にすでに存在する種が初期の植生になる。
「初期状態」が「最終状態」をある程度決める
土地の初期環境は、その後の植生遷移に決定的な影響を与える。例えば、もともと沼だった土地は、最終的に湿原になっていくが、乾燥しきっていた土地が湿原になるようなケースはほとんどない。
一次遷移と二次遷移、後述する乾性遷移と湿性遷移などの分類は、基本的に「初期状態」によって決定づけられる。
一次遷移
一次遷移は裸地(溶岩台地など何もない土地)から始まる乾性遷移と、沼や湖などの水源から始まる湿性遷移がある。
遷移 出発環境 最終環境
乾性遷移 裸地(溶岩台地) 森林
湿性遷移 沼・湖 湿原
乾性遷移は最終的に森林(陽樹・陰樹の森林)になり、湿性遷移は湿原になる。
下図は湿原の典型的な例。
土地によっては、森林と湿原が連続的に続いている場合もある。
二次遷移
二次遷移は、その土地に種や栄養分があり、一次遷移に比べて緑化速度が速い。二次遷移とみなされる土地の多くは
・放置された農地
・伐採された森林跡地
で、どちらも人工的に生みだされた環境である。元農地は一次遷移の裸地に比べて栄養分を豊富に含み、外部から入ってくる種が育ちやすい環境となっている。
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_forestry/1312【人工林と天然林の違いについて】より
日本の国土は北から南まで豊かな森林におおわれています。
この森林の中には人の手によってつくられた「人工林」と自然に造林された「天然林」があります。
人工林と天然林、その違いとはいったいどのようなものでしょうか?
■人工林とは?
人工林は木材生産を目的として人の手で育てられた「木を収穫するための畑」です。
日本の森林は約2500ヘクタールありますが人工林はその内の約4割にあたる約1,000ヘクタールもの規模があります。
人工林は第二次世界大戦後の荒廃した国土再生のために植えられたものでした。
造林された人工林の木材は建築材として経済価値が見込めたとともに、国土の保全や水源涵養も図る事ができたため、戦後は盛んに植栽が行われました。
人工林では比較的成長が早く、建築用途に適した針葉樹林が多いのが特徴で、30年~50年ほどで収穫(伐採)の時期を迎えます。
■天然林とは?
天然林は日本の森林面積2,500ヘクタールの内約1/2にあたる1,300ヘクタールに相当します。
自然の力で生まれ育った天然の林という意味を持ち、人の入れる里山から山にある神社などの森、人の立ち入れない山奥まで範囲は人工林よりも広範囲に該当します。
例えば里山などで伐採を行っても、自然の力で樹木の種子が発芽し、成長して自然の状態が保たれたとすればそれは「天然林」になります。
人が全く立ち入らず自然状態で長期安定している森林の事は「原生林」と呼びます。
原生林は多様な生物が生存し、豊かな生態系が残っている事から世界遺産の自然遺産として登録されている場所が多く、日本では屋久島や小笠原諸島、白神山地、知床などが世界遺産の原生林として有名です。
■人工林と天然林の違いとは?
人工林と天然林の違いは「人の手によって造林されているか」と「自然に造林されているか」で分かれ、育つ木の種類にも違いがあります。
人工林は比較的まっすぐ早く育ちやすいスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツなど針葉樹林が多く、天然林の場合はブナやコナラなど広葉樹林が多く育ちます。
人工林の場合は植栽から伐採までの間に、下草刈り、間伐、枝打ちなど人が周期的にサポートし、管理しながら計画的に育てていきますが、天然林の場合は人のサポートが入らない状態で伐採される事なく育っていきます。
例えば天然林で山火事や土砂災害などが発生した場合、人の手によって保育や造成を行う場合がありますが、その場合は「天然生林」と呼ばれ、種子やその後の育成は自然に任せるため天然林の扱いとなります。
人工林も天然林も目的や生育過程に違いは日本の国土に必要な森林です。
長い目で見守り、木を消費しながら上手に共存できる事が人にとっても森にとっても自然にとってもプラスになります。
http://gis.biodic.go.jp/webgis/sc-011.html 【自然植生と代償植生】より
現存植生の多くは、本来その土地に生育していた自然植生(原生林など)が人間活動の影響によって置き換えられた代償植生(二次林など)であり、現存植生図の作成にあたっては、植生区分はこれらクラス域の植生について自然植生と代償植生とに区分されている。さらに、河辺・湿原・塩沼地・砂丘などの環境条件の厳しい特殊な立地に生育する植生のように、クラス域を越えて分布する植生(主として自然草原)については、地形や地質的要因で持続する自然植生であるため、特殊立地の自然植生として独立して区分させている。
0コメント