https://kigosai.sub.jp/001/archives/4558 【黄水仙(きずいせん)仲春】より
【解説】
江戸時代に渡来した南ヨーロッパ原産のヒガンバナ科の多年草。観賞用として庭などに植えられ、切花としても用いられる。三、四月ころ、細長い葉の間から茎を立て、その頂点に黄色い花を咲かせる。
【科学的見解】
キズイセンは、ヒガンバナ科の多年草で、観賞用として庭先や公園などに植栽されている。近縁種として、同じく花冠が黄色のラッパズイセンが知られているが、ラッパズイセンは花冠の中の副冠がラッパ状に飛び出ているため、本種と形態の差異で容易に区別することができる。(藤吉正明記)
【例句】
黄水仙に尚霜除のありにけり 長谷川零余子 (ホトトギス)
咲き疲れひれ伏しにけり黄水仙 松本たかし「松本たかし句集」
甘皮のなかにつぼみて黄水仙 長谷川櫂「果実」
https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496091462.html 【陽光を吸うて耀う黄水仙】より
陽光を吸うて耀う黄水仙( ようこうを すうてかがよう きずいせん )
「水仙」の花は、冬から春にかけて、庭や公園、学校などの花壇でよく見かける。特に、白い花弁の真ん中に黄色の副花冠がある「日本水仙(にほんずいせん)」は、日本的な清楚さがあり、どちらかという冬に似合う花で、冬の季語にもなっている。
一方、少し遅れて咲く「黄水仙(きずいせん)」は、花弁も副花冠も黄色で、春の陽気をいざなうような花容をしており、春の季語になっている。本日の掲句は、そんな黄水仙を見て詠んだ句。
中七の「吸うて耀う」は擬人的な表現だが、意が通じるかどうかは些か心許ない。
因みに、「黄水仙」については、過去に以下の句を詠んでいる。
一面に陽気広げて黄水仙
この句の着想も掲句とほぼ同じで、黄水仙の色に陽気を感じて詠んだ。
ところで、黄色は色の三原色の一つであるが、下記の通り、これから段々とこの色の花が目だってくる。(一説では春の花の50%が黄色だと言われている。)
菜の花(なのはな)、万作(まんさく)、三椏(みつまた)、山茱萸(さんしゅゆ)
土佐水木(とさみずき)、連翹(れんぎょう)、山吹(やまぶき)、蒲公英(たんぽぽ) など
これらの花が何故黄色を選んだのか知る由もないが、おそらくは、花粉を運ぶ虫たちにとって視認性(見やすさ)の高い色だからだろう。
また、黄色は温暖色で開放感を与え、行動を活性化するとも言われている。虫たちとても多分同じなのではないだろうか。
黄水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の多年草。原産地は地中海沿岸で江戸末期に渡来したとのこと。花期は3月~4月。
花には6枚の花被(萼と花弁)があり、中心にカップ状の「副花冠」がある。その中には1本の雌蕊と6本の雄蕊が上下2列ありしっかりとガードしている。
参考句は、黄水仙を詠んだものをいくつか掲載した。(過去に掲載したものを除く。)
【黄水仙の参考句】
黄水仙雀はいつも遊び好き (星野麥丘人)
汽罐車を呼び寄せている黄水仙 (高野ムツオ)
日暮れまで日は遊びおり黄水仙 (折笠美秋)
行商女手籠は安房の黄水仙 (秋山朔太郎)
富士臨む駿河の海や黄水仙 (都築泉)
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