眼の奥に海山きざす鶲かな 五島高資

https://www.yamareco.com/modules/yamainfo/ptinfo.php?ptid=16 【鳥海山(ちょうかいさん) / 出羽富士、秋田富士、新山】より

"鳥海山"

鳥海山は山形県と秋田県にまたがる火山で、山頂部は山形県に属しています。いくつものピークで構成されており、最高地点は標高2236mの新山です。

"荒埼灯台:日本海越しに鳥海山を望む"

日本海まで裾野を広げた独立峰で、その秀麗な姿から「出羽富士」と称されています。また、秋田県では「秋田富士」、山形県では「庄内富士」と呼ばれることもあるようです。

日本百名山の一座であり、選定者の深田久弥(ふかだきゅうや:1903-1971年)は「山容秀麗という資格では、鳥海山は他に落ちない」と紹介しました。

"行者岳付近:東鳥海の外輪山を望む"

鳥海山は約70~55万年前に始まった火山活動で形成されました。有史以降も噴火を繰り返しており、気象庁の常時観測対象に指定されています。

山体は2つの成層火山から成り、古い火山は「西鳥海」、若い火山は「東鳥海」と大別されます。両火山とも二重式火山で、外側の火口縁である外輪山と、カルデラ内に新たにできた火山の中央火口丘を持ちます。

"新山"

最高峰の新山は東鳥海の中央火口丘にある溶岩ドームで、1801年の噴火により生まれました。

"鳥海湖と山頂部"

「鳥海湖(別名:鳥ノ海)」は西鳥海の火口跡に水が溜まりできた火山湖です。その地形は約15万年前に造られたと推測されており、今では鳥海山のシンボル的存在です。

畏れ崇められた荒ぶる山

"七高山山頂:信仰をうかがわせる石碑群"

壮麗な姿と噴火の脅威は、人々に畏敬の念を抱かせ、古くから崇拝の対象とされています。そして火山活動の爆発は、山に宿る大物忌神(おおものいみのかみ)の怒りだと考えられてきました。鳥海山が噴火するたびに、朝廷は大物忌神の神階を上げこれを鎮めようとしました。

中世は修験道が栄え、多くの山伏が山に入りました。登拝口はいくつもあり、各々で修験が発展しました。ただし、拠点ごとに考え方が異なるため信徒らは論争も起こしていたようです。

"鳥海山大物忌神社 吹浦口の宮"

新山山頂の直下には「鳥海山大物忌神社(ちょうかいさんおおものいみじんじゃ)」があります。山の上にありながら、伊勢神宮に倣い20年ごとに式年遷宮を行い、本殿を建て替えています。また、麓の吹浦(ふくら)と蕨岡(わらびおか)にも里宮が鎮座しています。

鳥海湖を望む御浜には「鳥ノ海御浜神社」が鎮座しています。

"賽の河原"

山中には「賽の河原」「舎利坂」など信仰に由来する地名が残ります。

山名もしかりで、「荒神ヶ岳(荒神岳)」「文殊岳」「行者岳」などいくつも挙げられます。

日本海を間近に望む

"新山山頂"

新山や隣り合う七高山の山頂は、大きな岩がごろついており、あまり広くありません。

"新山より庄内平野と日本海を望む"

眺望は折り紙付きです。月山や、岩木山、八幡平、早池峰山など東北の名峰に、庄内平野や飛島、佐渡島も見えます。

"御室参籠所"

新山にほど近い鳥海山大物忌神社には「御室参籠所」が併設され、夏季のみ開いています。境内には「鳥海山頂美術館」も建っており、芸術鑑賞を満喫することもできます。

"影鳥海"

御室参籠所に宿泊すれば、早朝に現れる「影鳥海」を狙いやすくなります。御来光を受けた鳥海山の影が、日本海にピラミッドのように浮かびます。

花の百名山

"チョウカイフスマ"

鳥海山は花の百名山の一座です。様々な高山植物が自生しており、その種類は200を超えるとされています。

"チョウカイ"を冠する名の「チョウカイフスマ」や「チョウカイアザミ」は、鳥海山の固有種です。

"ニッコウキスゲと雪渓"

夏はニッコウキスゲが見事です。鳥海湖や雪渓とも相まって、美しい風景を展開します。

万年雪が見られる山

"残雪期の千蛇谷"

鳥海山は日本海側気候のため積雪が多く、春はバックカントリースキーも盛んです。

"心字雪渓"

夏でも雪はよく残り、雪渓歩きも楽しめます。

湯ノ台口からの登路に現れる雪渓は、「心」の字に見えることから「心字雪渓(しんじせっけい)」と呼ばれています。

"出壺(湧水池)"

また雪解け水も豊富です。北西麓では、あちこちで湧いた水が流れ出し「獅子ヶ鼻湿原」を形成しています。ここは国の天然記念物に指定されており、大小の湧水池や奇形のブナが成す景観は神秘的です。

湧水池は酸性度が高く、「熊の水の飲み場」の通称を持ちます。この別名は、クマをはじめとする動物達が、病気予防や傷口の殺菌に利用しているという風説に由来します。

"鳥海マリモ"

酸性度や低温の条件から、池に生息するコケ群落はクッションのような球状です。世界的にも希少とされ、「鳥海マリモ」と呼ばれています。

"あがりこ大王"

ブナの奇形木は「あがりこ」と言われます。なかでも「あがりこ大王」は日本最大級で、幹回りは7.62mあります。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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