https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/659662 【俳句はいま 〈浅川 芳直〉 自然や生命への思索 「星辰」「縄文大河」など】より
高浜虚子は「目下汝の好む句は?、と問ふ人があつたら『背景ある句』と答へうと思ふ」と述べた。ここでの「背景」とは、人生に裏打ちされた作者の心持ちなど描写の裏に隠れた価値のこと。特に自然や生命への思索を背景にもつ作品は、読者に訴える力がある。
高野山で結縁灌頂(けちえんかんじょう)を授かったという五島高資の句集「星辰」(角川文化振興財団)には、常人とはどこか違う世界を見る底知れなさがある。〈木の股の水に濡れたる秋の空〉。木が裸の神のようにそびえ立つ。何もない青空...
「星辰」の「背景」は 真言密教 といえそうです。
オンカカカ花の主の菩薩かな 五島高資
花を守る地蔵菩薩や忉利天 五島高資
六道や花を守れる地蔵尊 五島高資
花につかれオンソラソバテイエイソワカ 五島高資
葉に我を忘れてゐたり雨蛙 高資
葉の上の色即是空あまがへる 高資
たまゆらの龗神やあまがへる 高資
曼珠沙華あらやしきまで飛び火する 高資
豆蔦の萌ゆる如意輪観世音 高資
仏足に触れる額や風光る 高資
額衝ける千輻輪や涅槃西風 高資
魚は氷に上り額に光かな 高資
頂に空を枕の寝釈迦かな 高資
燈りたる霊石不動秋深し 高資
涅槃会や金剛不壊のほの明かり 五島高資
閑かさや常楽我浄の涅槃像 五島高資
偈を捧げ坐したる鶴の林かな 五島高資
秋雲のめぐる六道珍皇寺 五島高資
竜淵に潜む空音や珍皇寺 五島高資
地にかよふ色なき風や珍皇寺 五島高資
乾坤の澄める鏡や観世音 五島高資
天翔る大塔青葉祭かな 高資
大塔に雲湧く青葉祭かな 高資
大塔の臍なす青葉祭かな 高資
おんころころ夕日に沈む春の塵 高資
如意輪のうつらうつらや春の風 高資
龍天に登り曼荼羅守りけり 高資
筑波嶺を背に微睡める寝釈迦かな 高資
如意輪や寝釈迦に光る五円玉 高資
頂の空へと鶴の林かな 高資
光陰を褥に石の寝釈迦かな 高資
空風に地水の炎える五鈷杵かな 高資
きざはしを登る日影や空海忌 五島高資
御影供や山門に入る日の光 五島高資
護摩壇に日の揺蕩ふや正御影供 五島高資
https://www.youtube.com/watch?v=9SEs0sv5SJY
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