句集 四神

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突然ですが、このほど第二句集「四神」を上梓いたしました。四神とは青龍、朱雀、白虎、玄武のこと。東西南北を守護する神獣です。春夏秋冬を司るとも考えられ、方位と時間、いわば時空の象徴として用いられてきました。

 そこで今回。世界をまるごとを描きたいと言う願いを込めて「四神」と名付けてみました。表紙をご覧になればわかる通り、動物や植物、山と川、空と海、大地、宇宙、人間、町、祭り、道具など様々なジャンルの文物が描かれています。2013年から10年以上にわたって私が描いてきた100枚を超える絵、即ち森羅万象で埋め尽くされているのです。いえ、表紙だけでなく、折り返しにまではみ出して配置されているのですが、それは手にとった方だけがわかる楽しみとなることでしょう。

 朔出版・鈴木忍さんとデザイナーの奥村靫正、星野絢香さんは私の大それた望みを理解し、この素敵な本をデザインしてくださいました。図柄、色彩、明暗、大小、寒暖などの様子を考慮して、繊細かつ大胆に絵を配置。私など著者の立場を忘れて虫眼鏡で絵の並びと細部を確認してしまったほど。百聞は一見に如かず。皆様にこのささやかな一冊を手に取って楽しんでいただけたら本望です。蛇足ながらAmazonでも購入可能。


Facebook鈴木忍さん投稿記事

蜂谷一人さんの句集『四神』が刊行になりました!手に取って、まず目に飛び込んでくるのは、カバー全面にちりばめられた多彩なイラスト。

蜂谷さんが10年以上にわたって描きためてきた約250点の絵を用いて、森羅万象をイメージしてデザインしたものです。

ご存じの通り、蜂谷さんは元NHKのプロデューサーで2011年からEテレ「NHK俳句」を担当。以後、「俳句さく咲く!」「歳時記食堂~おいしい俳句いただきます~」等の俳句番組を起ち上げてこられました。

2001年、「BS俳句王国」のチーフ・プロデューサーを務めていた松山時代に夏井いつきさんと出会って作句を開始。以来、句歴は20年を超え、2016年には第31回「俳壇賞」を受賞するほどに。

そんな蜂谷さんの第二句集『四神』には、俳句を動画的視点からとらえたものが少なくなく、

ご本人も「映像的な表現に意を用いた」といいます。

  目をつむる母が真ん中初写真       反り返る力を残し火の目刺

  ぶらんこの裏まで見せて跳びにけり    父の日や無声映画のよく転ぶ

  駄菓子屋に老人多し釣忍         ゆく雲や夏野の我の遠ざかる

  汀より坂のはじまる里祭         露草の野に寝て水となるからだ

  いづこにもなき赤電話秋の暮       湯豆腐のにぎやかにして二人きり

  白菜と犬を荷台に乗せしまま       冬めくやひときは白き爪の月

  手袋を卓に境界線として         初夢の我はピアノを弾いてをり

句集名となったのは、

  石室の四神眠らぬ星月夜

キトラ古墳の石室にそっと足を踏み入れながら、東西南北の壁に描かれた四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)を見つめる作者。

千年以上の間、石室の闇の中で眠ることなく 四方を守護してきた神獣の孤独を照らすのは

やはり壁に描かれた天文図の星月夜。

カメラで追うように視覚ではっきりと捉え、ペーソスの効いた詩的な一句です。

実は、私は蜂谷さんが「NHK俳句」に来られる前におそらく私家版で出されていた「砂のバベル」というポストカードブックを見て、その絵の世界に引き込まれた隠れファンの一人でした。

この度、句集を刊行させていただくにあたり、大好きなイラストレーションをふんだんに使わせていただけたことに感謝しつつ、この一冊を世に送り出します。

多くの方にお読みいただけたら幸いです。

句集『四神』

朔出版:https://saku-pub.com/books/shijin.html

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4911090049?ref=myi_title_dp


https://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/25000/ 【名句のための俳辞苑】より

名句のための俳辞苑   松田ひろむ

 蜂谷一人氏から『超初心者向け俳句百科 ハイクロペディア』(本阿弥書店)をご恵送いただいた。これは辞書風の体裁ながら、学問的な辞書というよりも、読んで楽しいものであった。「ハイクロペディア」は百科事典を意味するエンサイクロペデイア(encyclopedia)をもじったものだろう。

 これは面白いと考え私なりの「俳句辞典」を作ってみようと考えた。「超初心者向け」という蜂谷一人のキャッチもいいが、やはり小生は「名句入門」として書き続けているので、僭越ながら名付けて「名句のための俳辞苑」はどうだろうか。蜂谷一人は、俳人名もあげているが、俳人名になるとこれだけで大変なことになるので、原則として俳人名は外し、またなるべく彼の項目と異なるものをと考えている。すべての用語を網羅するのではなく、読んで意味のあるもの、問題点・疑問点のあるものを中心としたいと考えている。もちろん初心者が読んでも理解できるように心がけたいものである。

蜂谷一人(はちや はつと)

一九五四年岡山市生まれ。さそり座B型。二〇〇一年に松山で夏井いつきに出会い俳句を始める。二〇〇五年より毎年、画と俳句の個展を開催。俳人・星野高士、片山由美子、歌人・栗木京子とのコラボ展あり。NHK俳句テキストの表紙画、共同通信「季の観覧車」の画などを制作。職業はTVプロデューサー。Eテレ「NHK俳句」「NHK短歌」を二〇一一年より担当。『青でなくブルー』が第一句集。見るHAIKUhttp://miruhaikacom/enterで過去の作品を展示中。句集に『青でなくブルー』(芦澤泰偉事務所 、二〇一六年)略歴は句集巻末より抄出、表記一部変更。

 歯を磨くときは直立敗戦日                       一人

 秋夕焼ドードー鳥の来て困る

 神を説く人に並びて暦売                        

 はつなつの雲形定規つきとほる

 寒鯉や炉心に青くしづかな日

 その蜂谷一人の文章をひとつ引用させていただく。

【いのちがけ】 命懸け

 宇多喜代子さんに伺った話です。「泉の底に一本の匙夏了る」などの句で知られる飯島晴子は完璧主義者で、命を削るように俳句に取り組んでいたそうです。ある時、吟行で海女小屋に行き、句材を探して歩き回ったことがありました。海女さんは鬱陶しくなって[ちょろちょろしなさんな。こっちは命懸けで仕事している]と叱りつけたとのこと。自重するかと思いきや、晴子はこう言い返したそうです。「こっちだって俳句に命懸けてるのよ」

 「俳句に命を懸けてはいけない」と、宇多さんは笑いながらおっしゃっていました。「俳句はそういうものではない。久保田万太郎のように余技で作る人もいる。それで良い。あまり真剣になると余裕がなくなる」と。

 晴子は俳句を初めたのが遅く三十八歳のときでした。句会に夫の代理で出席したのがきっかけだったそうです。スタートの遅さを取り返そうとして、命懸けで俳句に取り組んだのでしようか。晩年は病を得て、七十九歳で自ら命を絶ちます。晴子の生涯を知ると「命懸け」の言葉の重さにあらためて気づかされます。

 いかがだろうか。なかなかの名文である。

 ただ、私は「俳句は命懸けでやるではない」も「俳句に命に懸ける」もどちらも否定できないと考えている。また自死された飯島晴子の例は、俳句に命懸けの例としていいかどうか難しい問題もある。


コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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