秘密結社 世界を動かし続ける沈黙の集団

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★あらすじ

人類文明四千年の歴史を通して、秘密結社は絶えず存在した。時には支配者を倒して国家を変革し、時には作家や芸術家にインスピレーションを与え、神に対する人々の考えを変えることもあった。

● パリサイ派

ユダヤ教パリサイ派の人々は、サドカイ派が救済を実現するために生け贄を重視したのに対し、あらゆる行いによって神を喜ばせるべきと考えた。聖典トーラーに献身的に従って日々の暮らしを送っていた。故に、聖典に対して議論をすることが多く、イエス・キリストとも大いに議論をした。後にそれが“イエスともっとも対立したグループだった”と解釈されてしまったのだ。「魂は不滅である」や「最後の審判後の復活」など、キリスト教の教義との共通点も実は多かった。

● テンプル騎士団

イスラーム教徒から聖地エルサレムを奪還しようとした十字軍の遠征。第一回目は大きな成功を収め、聖地に四つの十字軍国家を生むことができた。その聖地を守るために軍事力を持つ宗教団体「騎士団」が発生していった。その一つがテンプル騎士団だった。聖地に巡礼にやってくるキリスト教と巡礼者を保護するのが彼らの役割だ。だが、テンプル騎士団は、今で言う銀行制度を創りだし、経済力も持つようになっていった。

彼らの運営は秘密裏に行われていた。そして、彼らに多額の借金をしていたフランス王フィリップ四世によって濡れ衣を着せられ、逮捕された幹部が火あぶりにされた。だが、それによって彼らの存在はますます神秘性を帯び、“秘密結社”として認識されるようになったのだ。

● スカル・アンド・ボーンズ

十九世紀の終わりから二十世紀にかけてのアメリカ。大学に通うことができたのは、将来、国の重要な役割に就くことを嘱望されたエリートたちだけだった。そのエリート意識から、そして社会に出てからの人脈形成のため、彼らは大学内に秘密結社を造り出す。その中でも有名なのがスカル・アンド・ボーンズだ。コネティカット州ニューヘブンのイエール大学で作られたその組織には、後に公的にも私的にもトップの地位に昇った者が多い。2004年の大統領選を争ったジョージ・W・ブッシュとジョン・ケリーは共にボーンマン(スカル・アンド・ボーンズのメンバーはこう呼ばれている)だった。

★基本データ&目次

作者 ナショナル ジオグラフィック

発行元 日経ナショナルジオグラフィック社

発行年 2018

ISBN 9784863134249

第1章 古代の秘境

オシリスの秘密教団

デルフォイの神託

ユダヤ教パリサイ派

・・・

第2章 中世、近世の秘密組織

暗殺教団ハシャシーン

イエズス会

フリーメーソン

イルミナティ

・・・

第3章 近代・現代の陰謀論

イタリアン・マフィア

クー・クラックス・クラン

シオン修道会

・・・

★ 感想

ナショナル ジオグラフィックの“別冊”シリーズの一冊。他の書籍と同様に、写真を中心とした概説が一つの項目に対して数ページずつ割かれている。知っている人にはお馴染みすぎるレベルの内容で、物足りないだろう。ただ、その分、数は多く掲載されているので、中には知らないものもあるはずだ。「秘密結社の見本帖・カタログ」的なものだと思って読めば良いのではないかと思う。逆に言えば、これくらいは知っていないと「秘密結社フリーク」にはなれないかも?!

なお、基本的には“欧米寄り”の選択だが、その歴史に関係したからだろう、イスラームのアサシン集団であった「暗殺教団ハシャシーン」や、中国の「洪門」や「三合会」なども取り上げられている。

古代の秘教として取り上げられているものは、現代までに生き残れなかった、遠い過去に消えてしまい記録が残っていないものが多いようだ。単純に“人気がなくなった”ために消えたものもあれば、異端として弾圧されて消されたものもある。どちらにせよ、今となっては秘密のベールに包まれた存在となってしまった訳だ。きっと、当人たちは自分たちのことを“秘密結社”だとは思っていなかっただろう。もしかしたら、彼らが主流で、カトリックの方が異端となったかも知れないのだから。

逆にフリーメーソンやイルミナティは、仲間意識を高めるためだろう、メンバーだけが知ることのできる儀式や教義などを確立していった。他と違うことは、帰属意識を高め、それ自体が存在意義にもなりうるものだ。そして、積極的に秘密を作ろうとしていたようだ。

一口に“秘密結社”と言っても、その定義は広がりがあり、色々なタイプの団体・グループがある。ずらっと色んなタイプの秘密結社を並べることで、そこから見えて来るものもありそうだ。そんな謎解きをしようと思うと、新たな謎が出てきて、それこそ“秘密結社同士を結ぶ、究極の組織がある”なんて想像を膨らますこともできそう。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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