https://yakusoutohana.shop-pro.jp/?pid=151268425 【チェリーセージ (Cherry sage) Salvia greggii】より
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
シソ目Lamiales
シソ科Lamiaceae サルビア属(アキギリ属)Salvia
別名:オータムセージ
和名:アキノベニバナサルビア
利用 :観賞用
名前の由来:薬用ハーブとして親しまれているセージの仲間で、葉をもむとサクランボの
ような香りがすることからの名
原産地はメキシコ。パイナップルセージとよく似た赤い花で区別がしがたいが香りが異なるのと、筒状の花は2~3cmと短く先端の唇形が大きいのが特徴。パイナップルセージは筒状部分が4cm程で長い。花色も赤だけでなくオレンジや白、紅白の2色など様々。パイナップルセージより、耐寒性があり関東以西では屋外でも冬を越せる。春になると、枝を刈込み勢いの良い枝をのこすと生育がよく花付きも良くなる。育てやすいのでかだんに日本では本種をチェリーセージと呼んでいるが本来のチェリーセージは英名のサルビア・ミクロフィラ(salvia microphylla)を指す。
コモンセージなどの薬用としての用途はなく主に観賞用に花壇などに植えられる。
参考文献
・ヤマケイポケットガイド4 ハーブ 亀田龍吉著 (山と渓谷社)
・ハーブ栽培 宮野弘司・宮野ちひろ監修 (成美堂出版)
https://note.com/takechika/n/nd57e53f145e0 【琳琅 第四号より、「逍遥」2】より
思わず頬を緩めてしまったのは、公園を出てしばらく南に下ったあたりで、児童六人を引き連れた保母さんと出くわしたときだ。
妙齢の保母さんが路肩のチェリーセージに目を止めて、この葉っぱね、すっごく良い匂いがするんだよ、優しくつまんで嗅いでみて、と子どもらに促している。子どもたちは自分の指と同じくらいの小葉をつまみ、おそるおそる鼻先を近づける。するとたちまち笑顔がわき上がってきて、何度も何度も葉をつまみに短い指を伸ばすのだ。相当気に入ったのか、なかには葉っぱを何枚かつんでポケットにねじ込む園児もあった。
その光景にほっこりさせられたのもそうだが、この保母さんは若いのに、なんて豊かなことを子どもに教えているのだろうと感心させられた。
そんなチェリーセージを、今日も今日とてつまんでみる。清々しい芳潤な香りを堪能し、ふと同じ香草の仲間でローズマリーのことを思い出した。
宮沢さん家の玄関先には鉢植えのローズマリーが植わっていたはずだ。その道中、区画で貸し出している畑の縁には、たしかアップルミントが群生していた。今日は香り高い香草を巡る散歩でもしてみようか。
ダム湖のある西へ爪先を向ける。途中川沿いの細道を進んでいくと豆腐屋があって、昔はできたての豆腐がタイル張りの水槽にぷかぷかと浮かんでいた。だが最近はめっきり店のシャッターも開かず、月に一、二回くらいしか店主とも顔を合わせなくなってしまった。
そろそろ廃業かな、と店の行末を憂いていた店主ともかれこれ二十年の付き合いだ。ここのところ、店の窓から川の鯉に餌をまく姿も見ていない。餌をもらえず飢えているのか、通りかかっただけの私を見上げるようにして鯉が水面から額を出した。パクパクと催促するように口を動かしている。
「すまんがいまはなにもないよ」
言いおいて進むと、ほんの二、三○メートル先の公園からこちらに手を振る子どもの姿があった。おじちゃーん! と元気な声で叫びながら遊具の上から手を振っていたのは、目的地としていた宮沢さんのところのハルちゃんだった。
「おーい!」
右肩が上がらないので左腕を振って応えると、なぜかハルちゃんも振る手を左手に替え、なお勢いよく振り返してくる。補助輪がとれてどこへ行くにも自転車に乗りたがるというハルちゃんは、今日も自転車でここまで出向いてきたのだろう、公園の入り口にはかわいらしいピンク色で塗装された子ども用自転車がちょこんと停められていた。
公園に踏み入ると、男の子がもうふたり遊んでいた。ハルちゃんよりひとまわり身体が大きい程度の子たちで、その顔はそっくり瓜二つだ。いや、マスクをつけているからそっくりに見えるのだろうか。既製品のマスクではどっちがどっちと判断するのも難しそうだ。
「ハルちゃん、こんにちは」
「こんにちは! 今日はね、あたしお姫様なの。これお城」
地球儀のような丸いジャングルジムの中からハルちゃんが手招きをする。さすがに乗り込んでいくには狭すぎるので、軽くその遊具を回してあげたら、ハルちゃんはキャッキャとはしゃぎながら上の段へと登っていった。
「ユウくんがマリオでね。コウくんがルイージ」
どうやら一緒に遊んでいるらしい男の子のどっちかがユウくんでマリオ、もう一方がコウくんでルイージらしい。私の息子が徹夜してまで遊んでいたスーパーマリオブラザーズのゲームは、どうやら孫の代でも人気シリーズらしい。
「おじちゃん今日はなに散歩?」
「今日はね。良い匂いを巡る散歩だよ」
「あたしもしたよ、良い匂い。あのね、うちの近くのお団子屋さんがね、昨日が最後だからってパパと行ったの」
団子屋の匂いか。きっと橋田さんのところだろう。醤油の焼ける良い匂いがする。あそこのみたらしは称揚すべき一品だ。
しかし、毎日焼き台に立つ橋田さんは、うちは草団子を売りに始めた店なんだから、みたらしばっかりじゃなくて草団子も食べてもらわないと、なんて言って、団子を買いに行く度に一本一一〇円の草団子を勝手につけてよこすのだった。
そんな団子屋も時勢の煽りを受けて、昨日で店を閉めたという。ハルちゃんに団子の入った袋を手渡すときの橋田さんの顔が目に浮かぶようだ。長年焼き台にあぶられて顔の赤くなった好々爺は、一昨日までとは意味合いの違う焼き台の火落としを、いったいどんな気持ちで終えたのだろうか。
「流行りものとは言え、やるせないねぇ」
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