https://kurashi-no.jp/I0018253 【ノコギリソウの特徴まとめ!気になる名前の由来や育て方をご紹介!】より
ノコギリソウと聞いてどんな植物を想像しますか?名前に似合わず可愛らしい花を咲かせますが、その葉はまさに鋸のよう。その名前にも色々な由来があるようです。今回はそんなノコギリソウの特徴を見ていきながら、育て方などをご紹介していきます。
ノコギリソウ(鋸草)はキク科、ノコギリソウ属の草花です。学名をAchillea alpine L.と言い、和名としては別名ハゴロモソウ(羽衣草)とも。日本や中国、ロシア(極東)の標高1000m以上の高地に分布しています。学名のAchillea(アレキア)は古代ギリシアの英雄アキレウスにちなんでつけられたと言われています。
効能が多いノコギリソウ
ノコギリソウはその姿を鑑賞するだけでなく、古くからその薬効が重用されてきました。現在でもハーブ名ヤロウとして多くの場面で活用されています。その名の由来もそういった言い伝えがもとになっています。これについてはノコギリソウ最大の特徴として後ほど詳しくご紹介していきます。
ノコギリソウ名前の由来
学名のアレキアが古代ギリシアのアキレウスに由来するとお話しましたが、これはアキレウスがケンタウロスからノコギリソウの薬効に関する知識を与えられ、トロイ戦争においてノコギリソウから傷薬を調合し兵士たちに与えたという伝説によるものと言われています。これは花言葉にも大きく関係しているんですよ。
日本最古の薬物辞典にも
日本最古の薬物辞典とされる「本草和名」などにもノコギリソウの記載がみられるようです。ここではノコギリソウの古い呼び名である「女止(めと)」と呼ばれていました。これについては詳しく後述しますが、やはりノコギリソウの持つハーブとしての薬効のひとつが由来となっているようです。
ノコギリソウの花言葉
ノコギリソウの花言葉には「戦い」「勇敢」というものがあります。これは名前の由来になった英雄アキレウスにちなむものといわれます。その花の様子とはうって変わった頼りになる男性のイメージですね。
医療に従事する方への贈り物として
ノコギリソウは7月12日、8月2日の誕生花です。ノコギリソウの別の花言葉は「治癒」「真心をもって」。お世話になった医師や看護師の方に鉢植えと一緒に贈っても良い言葉かもしれませんね。
ノコギリソウの特徴
まずは見た目の特徴から。ノコギリソウは多年草で草丈が5cm程度から1mを超えるものまであります。主に北半球の高地に分布する為、寒さに強く蒸れにはやや弱い性質があります。地下茎を伸ばして広く茂り、茎葉が枯れて根の状態で冬を越します。
ノコギリソウの花や葉
ノコギリソウの名前はその葉のふちが細かく切れ込んでいる特徴的な形から鋸を連想して呼ばれるようになりました。開花の時期は6~9月、長く伸びた茎の先に小さな花が固まって咲きます。花の色には白、ピンク、赤、オレンジ、黄色などがあります。花は毎年開花し長く楽しむことが出来ます。
ノコギリソウの種類
北半球の高地におよそ100種類が分布していると言われ、日本にも数種類が自生しています。ここでは主なものをご紹介したいと思います。
セイヨウノコギリソウ
原産はヨーロッパですが、世界中で野生化しています。日本へ入ってきたのは明治時代と言われています。野生種の花色は白、園芸種には赤があります。開花の時期は同じく6~9月頃で、葉の形からサウザンド・ウィード(たくさんのギザギザのある葉を持つ草の意)とも呼ばれます。草丈は60cm~1mになります。この種類はハーブとしても観賞用としても一番活用されているようですね。
キバナノコギリソウ
小アジア、コーカサスの原産で明治に入り観賞用として導入されたと言われます。その名の通り黄色い花が特徴で、1m前後に育つ大型の種類です。開花時期は6~9月で、よく花壇の周りに野生化したものを見かけるとこがあります。葉の形は鋸と言うより羽根状に切込みがあり少しソフトな印象ですね。
オオバナノノコギリソウ
他の花と比べて開花する花の数は少なめですが、花色は白で八重咲の一輪ずつが大きい園芸品種です。北海道から東北には変種としてエゾノコギリソウが自生しています。7~8月頃が開花時期のようですね。他のノコギリソウより大きい花なので加工して活用されることも多いようです。
ノコギリソウの園芸用途
ノコギリソウは鉢植えにも花壇などの庭植えにも向きます。切り花としても人気があり、花束にも良く使われます。
ドライフラワーにも
ノコギリソウ、特にセイヨウノコギリソウはドライフラワーに向くと言われます。花言葉と共に贈り物にもよさそうですね。
ノコギリソウの育て方
ノコギリソウは育て方が比較的容易な草花とされ、あまり手がかかりません。寒さや暑さにも比較的強く、植え替えなどにもあまり時期や土を選びません。
栽培環境や置き場
日当たりが良い少し乾燥気味の場所が好きな植物です。本当に手がかからないのでやせ地や荒れ地で放っておいても大丈夫なくらいですが、蒸れることに弱いので風通しと水はけには注意した方が良いでしょう。真夏のベランダは温度が上がり過ぎる為、明るく風通しの良い日陰に移すなどをすると良いでしょう。花壇なども日が当たり過ぎ高温になるなら日よけネットが有効です。
水やりや肥料
乾燥気味の土を好むため、花壇など庭植えの場合は水やりも肥料もほとんど必要ありません。あまり肥料が多いと倒れやすくなったり、茎や葉が茂りすぎて病気になりやすくなる心配も。窒素分が多いと花つきが悪くなるようです。鉢植えの場合にも湿度に注意し、土が乾いたらたっぷりと与えるようにしましょう。肥料は植え付け時に元肥を、場合によって春・秋に追肥をすると良いでしょう。
病気や害虫
病気にはうどんこ病や灰色かび病などがあります。湿気に弱いのでこうした病気にかかりやすくなります。茎葉が傷みやすくなるので水はけや風通しを良くするように注意して下さい。こうしたことで予防することが出来ます。ノコギリソウの種類によって病気の耐性も違います。害虫は少なく春先のアブラムシに注意する程度のようです。
ノコギリソウの増やし方
ノコギリソウは比較的育て方が容易なことが分かりましたが、増やすにはいつ、どんな方法が良いのでしょうか。
株分け・挿し芽
ノコギリソウはあまり発芽率が良くないようなので、株分けが確実でいいでしょう。適した時期とされる3~4月、9~10月に刈取り、根を掘って芽を確認します。1つの株に4~5つの目がつくように分けましょう。5~6月には挿し芽で増やすことも出来ます。地面際から伸びた芽を8cm程度の長さに切ります。土に挿す部分の葉は落とし、鉢に挿します。土は赤玉土がよいでしょう。
植え替え・植え付け
そのままでも良く育ちます。ただ花壇などで長い期間栽培すると株の成長が衰えてきますので植え替えをしてあげると良いでしょう。目安は3年に1回くらいです。株分けに適した時期に植え替えも同時に行うとよいでしょう。
ノコギリソウの活用方法
ノコギリソウは観賞用としてだけでなく古くからハーブとしての効能が伝えられてきました。一般にヤロウと呼ばれるセイヨウノコギリソウがこれにあたります。ここからはノコギリソウの活用方法をご紹介していきます。
ヤロウの歴史
ヤロウは属名の由来にもなったアキレウスがトロイ戦争で傷ついた戦士の手当てに利用したことが伝わっていますが、諸説あるようです。実際その薬効については古代ギリシア時代には止血剤として知られていたことが分かっています。中国でも生薬として整腸のため利用されていたこともあるようです。ヤロウは植えると近くの植物の病気や害虫予防に役立つ植物として花壇などに好んで植えられてきました。
ヤロウティー~消化器系不調に
ヤロウはヨーロッパでは消化吸収を助けるハーブとして有名です。中国でも昔から生薬として利用されています。ヤロウティーは消化不良・食欲不振の改善、胃痛などにもその効果を発揮すると言われています。
ヤロウティー~解毒や解熱
ヤロウは発汗・利尿を促すと言われ、むくみに効果が期待されます。合わせて毒素の排出にも有効のようです。血管拡張作用もそれに一役買っているようですね。抗菌作用もあるので尿路感染症にも有効と言われます。発汗や利尿は解熱のためにも必要な作用ですしミネラルやビタミンを含んでいる為、風邪の手当てにも良く利用されるようです。
ヤロウティー~女性の不調に
前にご紹介したように古く日本ではノコギリソウのことを「女止」と呼んでいました。その頃から女性の不調に対しての効能が知られていたのでしょうか?ヤロウに含まれるフィントステロールには書生ホルモンと似たような作用があるのではと言われています。月経についてのトラブルや更年期症状の軽減に効果が期待されたりもするようです。その他止血や鎮痛作用も月経トラブルには役立つのではと言われます。女性に嬉しいハーブと言えますが、妊婦さんには子宮の収縮作用があると言われているのでお勧めできません。
アロマとして
ヤロウの精油は「ブルーヤロウ」と呼ばれ青色をしていて、心身のリラックスに使うことも出来ます。鎮静効果が高いとされるヤロウは不安・緊張・神経疲労などストレス緩和に利用されます。それらに由来する不眠・感情抑圧を和らげる香りと言われますので、仕事や人間関係のストレスを感じる時や煮詰まってしまっているときなど利用してみてはいかがでしょうか。
スキン・ヘアケアとして
ブルーヤロウはカマズレンと言われる抗炎症作用のある成分を含んでいます。それ以外に抗アレルギー、抗ヒスタミン作用もある為、ニキビなどのケアにいいされています。ハーブティーを化粧水代わりに利用する方法も。シミ予防にもいいそうです。また収れん作用があるのでオイリー肌にいいのではないでしょうか。これは頭皮にも同様で、また精油は頭皮の強壮作用もあると言われますので日々のケアに加えるのもいいかもしれませんね。
お守りとして
こうした効能だけでなく、世界各地では占いやお守りとして利用されていたようです。スコットランドでは占いやお守り魔除けなどに、アイルランドでは天気予報代わりに、イギリスでは恋占いにとヤロウには神秘的な力があると信じられてきたようです。魔除けのお守りとして結婚式のブーケに使われることもあったそう。
ノコギリソウまとめ
いかがでしたか?ノコギリソウの特徴や種類とその由来や花言葉、育て方などから活用方法まで幅広くお伝えしてきました。お役に立つ情報はあったでしょうか?
古くから親しまれてきたノコギリソウ
こうしてみてくるとノコギリソウは太古の昔より人々の生活に身近な植物であったことが分かります。薬が無い時代、ノコギリソウ最大の特徴であるハーブとしての効能を地域は違えどヨーロッパや中国の人々は最大限に活用していました。またその育て方は簡単で手間いらずであったことも現在まで広く活用され続けた理由かもしれません。
観賞用としても幅広く
観賞用としても花壇つくりや鉢植え、切り花やドライフラワーといろんな場面でその魅力を発揮しているノコギリソウ。名前は知らなくてもどこかで見たことがある方は多いでしょう。花言葉は一見勇猛ですがそのハーブとしての効能から由来する癒しの花言葉も贈り物としていいかもしれません。
これからが開花時期の盛り!
育て方は実に簡単で手間いらず、花壇だけでなく鉢でも育てられますからどこでも手軽に楽しむことが出来ます。お種類も多いのでお好みに合わせて選んでみましょう。これからが開花時期のノコギリソウ、皆さんも楽しんでみませんか?
0コメント