https://sorahirune.blog.fc2.com/blog-entry-202.html 【[202]おもしろや今年の春も旅の空】より
「おもしろや今年の春も旅の空」は、西暦1689年(元禄2年)の芭蕉の句。奥の細道へ、そのとき、病弱の芭蕉には、句「おもしろや今年の春も旅の空」のように、赴く心に、進行方向に、勢い・意気地があった。
1.句
おもしろや今年の春も旅の空
2.語句・語意・品詞分解
※おもしろ(面白):形容詞(ク活用)「おもしろし(=たのしい・すばらしい・興味深い)」の語幹。
※や:〔間投助詞〕…よ。
※今年(ことし):〔名詞〕今年。
※の:〔格助詞〕…の。
※春:〔名詞〕春。
※も:〔係助詞〕…も。
※旅の空(たびのそら):〔連語〕旅先。旅先の土地。
3.現代語訳
おもしろや今年の春も旅の空
=《いやこらまた》おもしろ(たのしい)や(のなんの)、今年の春も(今年の春も)旅の空(旅の空だ《ぜい》)《うはは》
=いやこらまた楽しいの何の、今年の春も旅の空だぜい、うはは。
=楽しいの何の、今年の春も旅先にいます。
4.付記
日本経済新聞紙面から手元に、2000年8月21日の、日本経済新聞。
その「文化」欄に、「いくらかかった?奥の細道」(戸垣東人氏)という、興味深い研究記事がある。
それによると、2400km旅の費用は、1日1人当たり1万円ぐらいとのこと。芭蕉と曾良の2人旅。深川の芭蕉庵を売却したお金(礼金などを差し引いた残りのお金)とか、門弟や富める商人からのもてなしなどもあり、わりあい恵まれた旅だったようです。
おわびと訂正
「2400km旅の費用は、1人当たり1日13両2分(2000年当時の物価で162万円)ぐらい」となっていました。
これは、1人当たりの、2400km旅の全費用で、俳文学を研究されている戸垣氏の友人の試算額でした。
今日、最近のブログ記事をチェックしていて、えっ、と、なりしまして。
大変失礼しました。おわびして訂正いたします。
2018年12月10日
奥の細道
奥の細道は、芭蕉が四十六歳の時、元禄二年(西暦1689年)三月二十七日、門人河合曾良を伴ひ江戸を出発し、奥羽地方を旅行し、北陸道を経由して同年九月三日美濃国大垣に着き、同月六日伊勢に向かって大垣を立つまでの紀行文である。日数約百五十日、行程約六百里(約2400km)である。
出典:奥の細道の新研究:詳解口語訳 大藪虎亮著 公文館 1933年 国立国会図書館近代デジタルコレクション インターネット公開(保護期間満了)
http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/basho/haikusyu/tabi.htm 【おもしろや今年の春も旅の空】 より
(去来文)
(おもしろや ことしのはるも たびのそら)
元禄2年正月、去来にこの句を送って『奥の細道』への出発を暗示したとされているが、その書簡は未発見。
おもしろや今年の春も旅の空
「・・海浜にさすらへて、去年の秋江上の破屋に、蜘蛛の古巣をはらひて、やや年も暮、春立る霞の空に、白川の関こえんと、・・」(『奥の細道』序文より)というわけで、今年の春も旅の空で過ごしそうだ、というのである。芭蕉は実際、元禄2年3月27日奥羽長途の旅に出立した。
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