『つぼみたちの生涯』 花とキノコの不思議なしくみ

ムスカリのつぼみを守る朝日かな  五島高資

The buds of grape hyacinths

rising sun is watching over them

for a bright future         Takatoshi Goto

 https://www.konan-u.ac.jp/lib/wp-content/uploads/2016/03/vol17_02.pdf

【『つぼみたちの生涯』 花とキノコの不思議なしくみ】(中公新書、2000年9月)

理学部教授 田 中 修  より

この「自著を語る」と同じような「この本の著者に聞く!」という欄が、NHK「趣味の園芸」のテキストにある。その取材を受け、「植物の生き方は、わかりやすく、やさしい言葉で語ることができる。

また、植物たちの生きるしくみは、美しい」と、私は話した。この思いが、本書に込めた私の気持ちである。読者から届くメッセージも、お世辞を含めて、「わかりやすくて、感動する」というものが多い。

この書が出版されて、約三ヶ月が経つ。その間、新聞や雑誌に、書評や感想が載った。それらのマスメディアの紹介が、本書の内容を客観的にわかりやすく伝えてくれるだろう。

朝日新聞の「新刊 私の◎○」で、ノンフィクション作家の最相葉月さんが本書を取り上げてくれた。「自分がもうこれ以上生きていけないと知ったとき、花やキノコはつぼみを作り始める。人は物語を紡ぎ始める。そして、長い夜が明けて、花が咲く」と書かれている。

雑誌「実業の日本」では、「本の散歩道」に「草花やキノコの不思議な生態を解き明かす」の見出しで、書評が載った。「サクラやツツジなどの春に咲くべき花が秋に咲くと、われわれは『なぜだろう』と怪しみ、天地異変の予兆ではないかと考えたりする。われわれがこういう現象を不思議に思うのは、『春から初夏に咲くこれらの花木のつぼみは、前年の夏にできる』という事実を知らないからではあるまいか。そのことを知っていれば、『夏にできた、サクラやツツジのつぼみが、なぜ、秋に咲かず、春に咲くのだろう』というように考えなければならなくなる。このように、本書は一つひとつ、花やキノコの不思議なしくみを教えてくれる」という趣旨で紹介された。

科学雑誌「日経サイエンス」では、「新刊ガイド」に、本書は取り上げられた。つぼみの開花が時刻を告げる花時計の話題に焦点を絞り、「花とキノコの不思議に迫る」と書かれている。

テレビのある番組制作者は、サクラの狂い咲きや早咲きの原因に興味を抱いた。番組になるかはまだ不明だが、大阪府立植物園「花の文化園」の協力を得て、冬の間に、満開のサクラの下で花見の宴をする企画が進みつつある。

本書は、六章で構成されている。そのうち、五章が花に費やされ、キノコの話は第六章のみである。ところが、その一章に出てくるキノコたちが多くの人の心を引きつけている。

朝日新聞の「知りたい読みたい」の欄で、「魅力いっぱいの生物であるキノコと、私たちはどうつきあっていくべきなのだろうか。『つぼみたちの生涯』は、自然食ブームの中で、キノコの人工栽培のために、159万立方メートルのオガクズが使われていると指摘する。これは、樹齢20年のコナラ約2839万本に匹敵するという」のように、取り上げられた。

また、ラジオでは、ABC朝日放送の「おはようパーソナリティ道上洋三です」に著者として、ゲストに招いてもらった。トークのテーマは、「マッタケの人工栽培」であった。 私たちの研究室から生まれた、キノコの話題「マッタケとナガイモの関係」は、NHKの「新・クイズ日本人の質問」に出題され、「オガクズにかわるキノコ栽培の素材」は、読売テレビの「ズームイン朝」で、全国に中継された。「光るキノコ”ヤコウタケ”の人工栽培」は、朝日新聞などに写真が掲載された。

私は、キノコより花の方が、研究歴が長い。だから、花に、多くの読者が興味を持って

ほしいと思う。しかし、昔から、「花よりだんご」である。まして、昨今、キノコの薬効

が注目されている。自然食、健康食ブームにのって、「花よりキノコ」は時代の趨勢なの

だろう。 

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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