Facebook「鎌倉手帖2012」ファンページ 投稿記事 からすうり
うずらの卵よりもひとまわり大きなこの実を見つけると、いつも「うわーっ!」と嬉しくなってしまいます^^;
カラスウリを歌った歌を調べてみると・・・
濡れそむる蔓一すぢや鴉瓜 芥川龍之介 堤の木ひょろりと立つなり烏瓜 河東碧梧桐
からす瓜風にふるへば思はれぬ高く尖れる屋根に鳴る鐘 与謝野晶子
ぶら下がってゐる烏瓜二つ 種田山頭火 行く秋のふらさかりけり烏瓜 正岡子規
俳句や和歌は心の動きを表すものだと習ったことがあります。だとしたら、やっぱりみんな烏瓜を見つけた時「うわーっ」ってなるんですね、いろんな方が歌に詠んでいるところをみると^^;
https://miho.opera-noel.net/archives/458 【第八十七夜 正木ゆう子の「烏瓜」の句】より
あっそれはわたしのいのち烏瓜 『静かな水』
正木ゆう子(まさき・ゆうこ)は、昭和二十七年(1952)熊本生まれ。一足先に俳人となっていた兄の正木浩一に誘われて同じく能村登四郎に師事し、「沖」の同人。俳論『起きて、立って、寝ること』で俳人協会評論賞受賞。代表句に〈水の地球すこしはなれて春の月〉がある。
掲句の鑑賞をしてみよう。
烏瓜は、ウリ科のつる性多年草で木々にからみつきながら上へと育つ。やがて夏の夕方から宵にかけて、糸状に裂けた真っ白なレースのような五弁の花が咲く。庭に植える草花ではないので、野山や雑木林に行かないと出会うことはむつかしい。秋になると、赤い夕日の色をした実をつける。小形のカラスウリを見つけたとき「あっそれはわたしのいのち」と瞬間に捉えた正木の、なんとストレートな表現であろうか。この作品を知って以来、私も烏瓜を見つけるや、まるで自分の分身の「いのち」に出会ったかのように叫んでしまう。
〈蓬食べてすこし蓬になりにけり〉〈着膨れてなんだかめんどりの気分〉など、不思議な身体感覚と詩的感性の豊かな言語感覚の作品は、とても真似をすることなどできない。蓬の句からは、色白の正木の顔がほんの少し薄緑色になったように感じられるし、真冬の吟行先で着膨れた正木に会えば、コートやら毛糸の帽子やらマフラーで完璧な防寒服姿は、ころころした「めんどり」になっているに違いない。
正木は、「生命と俳句 — 俳句とは何か」と題された文章の中で、「一句一章が切り取る瞬間」という言葉を使っているが、作品は、確かに圧倒的に一句一章が多い。瞬間を切り取ることで存在を顕現させるタイプの句を好むということであろう。さらに「自己が詩となって時を充填できるのは、今の瞬間においてだけであろう。なぜならそこでしか人は時と交差しないからだ」とも言っている。
母を亡くした直後に詠まれた句を、句集『羽羽』の中から紹介する。
此処すでに母の前世か紫雲英畑 『羽羽』
正木の眼前に広がっている紫雲英畑は、天上の母から眺めればすでに「前世」の光景である。前世と現世を二重写しにして詠んでいる。父が亡くなり母が亡くなり、兄は早逝している。筆者の私もそうであるが、父が亡くなり母が亡くなって初めて、何もかもが剥がれた素の自分を感じた。
https://ameblo.jp/masanori819/entry-12321848095.html 【一日一季語 烏瓜(からすうり) 【秋―植物―晩秋】】より
たそがれといふ抜け道の烏瓜 鎌倉佐弓
能村登四郎に師事。元「沖」同人。1998年から季刊国際俳誌「吟遊」を夏石番矢
(夫)と共に発行し、その編集に当たる。世界俳句協会に会計として働き、「朝日新聞」さいたま版俳句選者。「埼玉新聞」俳句選者。数多くの海外の詩歌祭でも俳句を朗読するなど活躍している。2012年9月より、富士見市で月例の句会潤の会主宰。
吟遊社:埼玉県富士見市鶴瀬西3-16-11
発行人:夏石番矢
編集人:鎌倉佐弓
2003年から毎年、国内外の質の高い句集と俳句選集に、吟遊俳句賞を出している。審査は吟遊社代表の夏石番矢による。受賞者には、審査員による毛筆書きの賞状、賞金、副賞などが授与される。表彰式は、吟遊同人総会の席上。発表はインターネットと「吟遊」誌の毎年秋に発行される号。過去の受賞作者の出身は、6カ国以上にわたる。また2014年から毎年、「吟遊」誌面発表俳句に対して、吟遊・夏石番矢賞を出している。
【傍題季語】
王瓜(からすうり)、王章(たまずさ)
【季語の説明】
ウリ科の蔓性多年草の実。秋になると林中の木々や藪にからんだ蔓に実がなる。赤く熟して、葉が落ち尽くしたあともぶら下がっている。種子は結び文の形をしているので玉章(たまずさ)の名がある。
ウリ科の多年生の蔓草であるカラスウリは、本州、四国、九州から台湾、長江以南の中国各地にかけての、藪地や山麓に自生している。
漢名は王瓜または土瓜と記され、その果実、種子、根は、それぞれ王瓜実、王瓜仁、土瓜根(王瓜根)と称され、陶弘景の『名医別録』(紀元500年頃)以来今日まで、漢方薬としても民間薬としても応用されている。
【例句】
騒しく引かれて烏瓜の蔓 後藤夜半 口の中ねばつく烏瓜ひとつ 田中裕明
なかぞらのものともならず烏瓜 安東次男 烏瓜赤き日向の山へゆく 森澄雄
何にでも化ける力の烏瓜 宇多喜代子
【名前の由来】
カラスウリの名前の由来は、カラスが好んで食べるからだとして「鳥瓜(からすうり)」と書きますが、カラスの好物ではないようです
秋に果実が朱色で木の上に長く残る様から、カラスが食べ残したのだろうと、カラスウリの名前がついたといわれています
夏の夜に、10センチもあるレース飾りのついた美しい花をひっそりと咲かせるのは夏の風物詩になります。
夕闇の中で咲いた、カラスウリの花は夜明けと共にしぼんでしまいます。
また、秋になると山野の雑木林、竹やぶ、垣根に朱赤色のやや細長い卵形の果実がぶらさがり、遠くからでも目に付きますが、これがカラスウリの果実です。
中国から伝わった朱墨の原料である辰砂(しんしゃ)は、鶏卵ぐらいの大きさのものもあり、その色は緋色(ひいろ)で鮮やかです。
これから唐朱瓜(からしゅうり)と呼ばれるようになったとされています
古くは、カラスウリの根のデンプン質を昔は、テンカフ(天花粉)の代用として汗知らずに用いました
【効能等】
果実を王瓜と呼び、薬性苦寒で、中国では手の少陰心経と足の少陰腎経に以上があるものに用いられ、消渇や黄疸、胃潰瘍、乳汁不足などに4~9グラムを煎用する。
民間では、赤熟した実を酒に浸してすり潰したものを、しもやけ、ひび、あかぎれに外用する。
生のまますり潰した汁を使うこともある。
種子は、王瓜子、土瓜仁といい、日本ではその形が結び文に似ているので、多未豆左(たまずさ・玉章)と呼ばれ、また黒味の強い褐色の種子は大黒天のようであるので、お小遣いがたまるように財布に入れる習慣があった。
https://kigosai.sub.jp/001/archives/3484 【烏瓜(からすうり)晩秋】より
karasuuri【子季語】 王瓜、王章
【解説】
ウリ科の多年草。山野に自生する蔓草。夏に白いレースのような 花を咲かせ秋に実をつける。実は卵形で、縞のある緑色から熟し て赤や黄に色づく。
【科学的見解】
カラスウリは、ウリ科のつる性多年草で、本州東北以南から沖縄までの山野に普通に生育している。若い果実は縞模様となるが、成熟すると朱色から紅色の鮮やかな実となる。種子は、小槌または蟷螂の頭のような形をしている。また、冬になると根が塊状になるところも特徴の一つで、果実とともに生薬として利用されてきた。(藤吉正明記)
【例句】
竹藪に人音しけり烏瓜 惟然「惟然坊句集」
まだき冬をもとつ葉もなしからす瓜 蕪村「夜半叟句集」
くれなゐもかくてはさびし烏瓜 蓼太「蓼太句集初編」
溝川や水に引かるる烏瓜 一茶「文政九年句帖
行く秋のふらさがりけり烏瓜 正岡子規「季語別子規俳句集」
夕日して垣に照合ふ烏瓜 村上鬼城「鬼城句集」
枯れきつて中の虚ろや烏瓜 長谷川櫂「果実」
0コメント