https://www.kodomonokagaku.com/experience/23377/ 【雲の観察マスターになる-自由研究スペシャル】より
雲は見上げるだけで観察できる身近な自然。気温や風、地形の影響を受けながら変化していくので、自然観察のテーマにぴったりです。
特に、夏は雲の観察のベストシーズン。わた雲がにゅうどう雲に変化したり、台風が過ぎたあとには多彩な種類の雲が現れたりして、「雲の展覧会」と呼ばれるほど。
雲の観察マスターになれば、雲の量や動きから天気の変化を予測できるようにもなります。観察方法の基本とウラ技を習得して、この夏、すごい自由研究に挑戦しましょう!
注意
観察するときは、太陽光や大雨、雷などに充分注意しましょう。
観察マスターへの道 ❶ 雲の種類を知るべし!
観察の基本は「10種雲形」
雲は、その形と雲ができる空の高さで10種類に分けられます。それらを「10種雲形」と呼びます。形は主に、すじの形、かたまりの形、横に広がった形があります。
雲ができる空の高さは高い方から、上層(5000~1万3000m)、中層(2000〜7000m)、下層(地表~2000m)と3つに分類できます。
まずは基本となる10種雲形を習得しましょう。しかし、実際の空にはいろいろな種類の雲が混じっていて、10種の雲を簡単に区別できないことも多いもの。同じ種類の雲でも、よく見るとみんな違っていて、10種の雲をさらに詳しく見ると、波状雲(さば雲)、レンズ雲(笠雲)、かなとこ雲などのいろいろな形もあります。
積雲が積乱雲に発達したり、巻積雲が高積雲になったりと、雲形は刻々と変化していきます。雲の観察で大事なことは、こうした移り変わりを捉えること。雲がどっちに動いているか、形がどのように変化しているかを知ることです。観察するときは1回だけでなく、しばらく見続けるか、少し時間が経ってからまた見るかしてみましょう。
※以下のカッコ内の名称は雲の別名。
巻雲
けんうん(すじ雲)
上層にでき、筆で描いたようなすじの形が特徴。まっすぐなこともあれば、くるくると巻いていることもある。小さな氷の粒からできているので、白く輝く。
巻積雲
けんせきうん(うろこ雲)
上層にでき、小さな雲のかたまりがたくさん浮かんだもの。高度が高い冷たい空にあるが、小さな水の粒からできていることが多い。
巻層雲
けんそううん(うす雲)
上層にでき、うすく広がった真っ白な雲。小さな氷の粒でできているため、雲を通した太陽の光は明るい。巻雲が巻層雲になったり、巻層雲が巻積雲になったりもする。
高層雲
こうそううん(おぼろ雲)
中層にでき、空に広がったやや厚い灰色の雲。太陽の光がわずかに見えることがあり、おぼろ雲とも呼ばれる。上層の雲が広がった後、雨が降る前によく見られる。
高積雲
こうせきうん(ひつじ雲)
中層にでき、かたまりの形の雲。たくさん集まっていて、雲の下の方がちょっと灰色になっている。ひつじが群れをなして動いているように見えるので、ひつじ雲とも呼ばれる。
乱層雲
らんそううん(あま雲)
中層にできるが、雨とともに、下層まで下がってくる。空が暗く感じ、しとしとと雨が降り、気温が低いと雪になる。空全体に雲が広がり、強くない雨が降っていたら、多くの場合が乱層雲。
層積雲
そうせきうん(うね雲)
下層にでき、もこもこした雲のかたまりが、横に伸びたり広がったりしたもの。青空を隠したと思ったら、急に晴れることもあり、天気予報をくるわすことが多い。くもり雲とも。
積雲
せきうん(わた雲、にゅうどう雲)
下層にでき、わた菓子のようなかたまりの雲。晴れて気温が上がった日中にできやすい。上昇気流で中層まで広がっていくと、にゅうどう雲と呼ばれ、さらに高くなると積乱雲になる。
層雲
そううん(きり雲)
下層の低い位置にできる霧のような雲。霧が地面から離れて層雲になることもある。朝に冷えた場所や、冷たい水のある海や湖、川の近くにできることが多い。
積乱雲
せきらんうん(にゅうどう雲、かなとこ雲)
下層にできた積雲が、上層あたりまで成長してふくらんだ雲。大きな積雲と同様に、にゅうどう雲と呼ばれる。雲のてっぺんが横に広がると、かなとこ雲とも呼ばれる。
観察マスターへの道❷ 雲は高さで読む
高さによってできる雲は違う
イラスト/山崎フミオ
巻雲や巻積雲ができる上層は、高さが5000mから1万3000mほどの範囲です。富士山(標高3776m)よりもずっと高く、上層の雲は、ジェット機が飛ぶ高さ(高度約1万m)にあります。小さな氷の粒でできているものが多く、氷の粒によってまっ白に輝いて見えます。
高積雲や高層雲ができる中層は、高さが2000mから7000mほどの範囲。高い山と同じくらいの高さで、富士山でよく見られる笠雲も中層にできた高積雲です。小さな水の粒からできていて、雲が太陽を隠すと光が弱まるため、中層の雲は灰色に見えることが多いです。
層積雲や層雲ができる下層は、地表から高さ2000mくらいまでの範囲です。低い山や東京スカイツリー(高さ634m)などは下層の雲がかかることがあります。雲が空を覆うと太陽の光は見えず、地面が暗くなります。
それぞれの雲がつくる雨にも特徴があります。層積雲や層雲などの下層の雲からは粒の小さい、ごく弱い雨がたまに降ります。中層に広がった雲から雨が降っても、比較的弱い雨です。積雲・積乱雲などの下層から中層や上層まで広がった雲からは、粒の大きな雨が降ります。
高度と雲の形の関係。積雲や積乱雲は上昇気流によって中層や上層まで縦方向に成長していく。
高さを知るポイント
ポイントその❶ 影や飛行機を見る
雲の高さを知る方法の1つとして、雲の影に注目してみましょう。太陽が地面につくりだす雲の影は、雲の形や大きさをよく表します。小さな積雲だと、校庭や大きな公園で雲の影を見ることができるでしょう。雲が動く速さを空で測るのはたいへんですが、影の動きから推測することができます。
高い雲の影が低い雲に映ることも見逃してはいけません。観察者から見てずっと上空、高度2000m以上に現れる中層や上層の雲も、その影を見れば手に取るように雲の高さを比較することができます。
手前の雲の影を見れば、雲の動く速さがわかる。
さらに、ジェット機にともなう飛行機雲の影も活用できます。高度約1万mを飛ぶジェット機は、その下の雲に飛行機雲の影をつくります。薄い雲の場合、飛行機雲と影の両方が見えるときは、さらに高さの違いがわかりやすくなります。飛行機が飛ぶ高さをリアルタイムで知ることができるウェブサイトもあるので、そうした情報から雲の高さを推定することもできます。
ジェット機で雲の高さがわかる。
ポイントその❷ 朝夕は雲の色づき方を見る
朝夕は太陽の光が低い位置から雲に当たるので、色のつき方から雲の高さの違いがわかります。夕焼け雲の場合は、まず高度が低い雲から色づき、だんだんと高い雲も色が変わっていき、最後には高い雲だけが赤くなります。
地球は丸いため、太陽が地平線のかなたに沈んでいっても、高い空には光が当たり、高い雲だけが赤く色づきます。つまり、夕焼け雲の色づく順番から、下層、中層、上層の雲の高さの違いを判別できるのです。
また、朝夕は太陽の光が低い角度から当たるので、雲の影が遠くまで伸びます。太陽の高度が下がり地平線付近にあるとき、雲の影はそれより高い雲に下から当たります。こうした影からも上下の違いがわかります。
大きな積乱雲の影が、さらに上空にある薄い雲に伸びているようなおもしろい現象も見られるのでチェックしてみましょう。
低い雲(写真中央)が先に夕焼けになる。
高い雲(写真後方)は最後に夕焼けで赤くなる。
雲を撮影してAIが雲形を判定! スマホアプリ「くもろぐ」を使いこなそう
雲識別アプリ「くもろぐ」は、スマートフォンで撮影した雲が10種雲形のどれか、AI「KMOMY」が判定してくれます。スカパーJSATと神戸大学大学院(システム情報学研究科および海事科学研究科)などが連携し、海上気象観測の自動化を目指したAI研究開発の一環で誕生した技術です。その技術を活用して、子供から大人まで、手軽に雲を識別できるスマホアプリとして登場しました。
10種雲形は、はっきり種類がわかるものもあれば、区別がつきにくいものもあり、観察で迷うことが多くあります。雲の観察マスターの基本は自分の目を使った観察ですが、手軽に雲形を判定できるくもろぐをあわせて使って、判定の精度を上げていきましょう。
注意
アプリの利用にあたって、画像、画像に含まれる撮影日時、画像に含まれる端末の位置情報などの取得に同意する必要があります。こうした情報は、AIの識別精度の向上などに活用されます。また、スマートフォンでのアプリ利用のために、各種権限の許可などが必要なので、必ず保護者といっしょにアプリを使いましょう。
くもろぐ便利機能
①この雲なあに?
雲の画像をアプリに読み込ませると「巻雲」、「高積雲」など、10種雲形のどれか判定できる。「あの雲の雲形は?」と、みんなで雲クイズをしてみるのもおすすめ。
②わたしの雲
識別された雲の撮影日時や場所などを記録できる。毎日の雲を記録した雲日記をつけたり、旅行に行ったらきみだけの雲紀行をつくってみよう。
③みんなの雲を見る
他の人が撮影した雲を見られる機能。珍しい雲やかわいい雲などレア雲に出会えるかも?
くもろぐ使いこなしヒント
ヒントその1 ズーム機能を活用するべし
空に1種類だけの雲がある場合は少なく、いろいろな雲が違う高さにあるのが普通です。くもろぐを使うときは、1種類の雲だけをうまく写真に入れないと、正しく判定できないこともあります。カメラのズーム機能を使って、判定したい雲を画面の中にしっかりととらえましょう。
判定したい雲がおさまるようにズームする。
ヒントその2 形の違いや時間変化を楽しむべし
同じ雲形でも、環境によって微妙に形が違うなど、雲は多彩な姿を見せます。地域によっても雲の生まれ方や形は変わるので、いろいろな写真を識別して、雲について広く知るとよいでしょう。時間とともに雲の種類が変わっていくことがありますので、その経過を記録するのもおすすめです。
https://b-engineer.co.jp/chokomana/j-h-s-student/jiyukenkyu/1131145-2/ 【雲には種類がある!雲の形を観察しよう】より
「自分の知識で天気が予測できたら生活の中でとても役に立ちそう」
「自然現象に関して子どもたちが興味を持ってくれたら嬉しいな」
「空や雲についての知識が深まれば天気予報の見方も変わるのかしら?」
子どもたちの自由研究のテーマについて考える時、保護者の皆さんの中には、日常で活かせ、なおかつ実験する際に準備物を新たに用意しなくても良いテーマが、魅力的に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、準備物を新たに必要としない「雲の観察」をテーマに自由研究を進める方法を紹介していきます。
本記事を読むことで、雲が天気にどのように関わっているのか、また雲の動きや量で天気を予測していけるのかなど、理科の授業や日常生活の知識として今後、活かせるような学びができるでしょう。
保護者の皆さんと子どもたち、そのどちらもが日常とリンクできる、この「雲の観察」という実験を、本記事を参考に行ってみてください。
雲にはどんな種類があるか観察してみよう
空を見上げると、大きな雲から薄い雲まで様々な形をした雲が浮かんでいると思います。そんな雲ですが、そもそも雲とは水や氷の粒でできており、その粒たちが形を変えながら、空を流れ、動いています。
晴れた日の雲を観察すると、季節によって見られる雲が違うでしょう。夏の場合は、もこもことした大きな雲「積乱雲」がよくできます。短時間で大きくなったり消えたりするので、観察しやすい雲になります。
また、雨の日の雲を観察すると、雲の厚さや色の濃さで雨の降り方が変わるでしょう。雨の降り始めや止むタイミングの雲を観察するのも、変化がわかりやすくオススメです。
雲を観察する際には、あらかじめ天気予報で天気を調べておくと観察しやすくなります。空の様子を子どもたちと一緒に見て、写真を撮ったりイラストを描きながら、雲の動きやその時の天気などを観察し記録してみてください。
実験に必要なもの・環境・準備
用意するカメラはカメラ機能が付いたスマートフォンでも大丈夫です。面白い形の雲や空の状況になった時に写真を撮りますが、カメラがない場合はスケッチブックやノートに雲の様子をスケッチしてください。
スケッチする場合は、鉛筆だけでなく、クレヨンや色鉛筆などを用意し、色を付けて観察することをオススメします。
観察する際に、時間や気温、場所などをメモしておくと考察する際に役に立ちます。単体の温度計を持っていない方は、デジタルの置時計内に温度や湿度が一緒に表示されているものが家にある場合、それを使用してください。
図書館やインターネットを利用して雲や天気が調べられる準備も必要です。図書館で図鑑等を借りてくる場合は、自然科学や百科事典等のコーナーを探してみてください。
また、蔵書検索のパソコンを設置している図書館もあります。そこで「天気」や「雲」といったワードで、検索してみてください。関連した本が見付かるでしょう。
インターネットを利用して天気や雲を調べる場合は、検索ワードに「雲 観察」「天気 自由研究」といった内容で検索してみてください。
また、天気を調べる際には、天気予報だけでなく天気図、指数情報などがあります。様々な情報から天気を調べてみると良いでしょう。以下に例を挙げておきます。
カメラ
スケッチブックまたはノート
鉛筆やクレヨンまたは色鉛筆
温度計(置時計内に表示されているもので可)
雲や天気の図鑑(インターネット検索でも可)
実験の方法・手順
雲を観察し、写真撮影やスケッチをする
日付、時間、天気、気温、場所を記録する
その日の雲についての感想、考察等をまとめる
まず、観察したい雲や場所を見付けたら、写真を撮るかスケッチしてください。その時、日付や時間、天気、気温、場所などもメモしておきます。
その日のうちに、どんな形に見えたか等の感想や、その時の天気との関係性、今後の予測についても考察しておくと、最後にまとめやすくなります。
また、雲の変化がわかりやすいタイミングで観察するのもオススメです。例えば夕立ちの時などは、短い時間で大きな雲の変化を観察できます。
雲を観察する際には、毎日実施し、同じ場所、同じ時間に観察するのが良いでしょう。比較がしやすくなります。その際に、気温も一緒に記録し、30分ごとに4回ほど連続して記録すると、雲の動きがよくわかります。1週間は観察を続けてください。
実験からわかること
雲を観察していくと、たくさんの種類があることに気付くでしょう。図鑑等で調べるとわかりますが、大きくわけて10種類ほどあり、自分たちが観察した雲はどの種類の雲にあたるのか調べてみましょう。
今回、私が観察した雲の中には、「積雲(わた雲)」という雲が見られました。これは、空の低いところに出る、わたのような雲です。
青空に浮かんでいる積雲について調べてみると、基本的には、朝にでき始め、時間とともに大きくなり、夕方に消えてしまうというパターンを繰り返すようです。
この積雲は、上空に冷たい空気が入って不安定になると垂直に成長し、成長した頭の部分の形が崩れて広がるようになると積乱雲になります。積雲が大きくなり積乱雲になると、その下では、大雨、落雷、突風などが起こります。
積雲を見た際には、その後の変化を注意して見ておくと、天気の予測ができるようになるでしょう。
今回撮影した積雲は、雨を降らせることもなく、その日は1日を通して穏やかな天気でした。さらに時間をかけて観察を継続した場合、積雲が消えるところまで観察できたことでしょう。よって、先に雲についての知識を得てから、観察するという手順で自由研究を進めるのも良いかもしれません。
また、今回の観察では、「巻雲(すじ雲)」も観察できました。これは空の高いところにできる細いすじのような雲です。
場所、時間、気温などによって、観察できる雲は様々です。ぜひ、お庭やベランダから、雲を観察してみてください。
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