岩生植物

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/39047 【岩を溶かして成長する植物が発見される】より

■ブラジルの岩地に生息する植物が、根の先に密集した毛から酸を分泌して岩を溶かし、リンを吸収することが判明

■低リン条件で育つ植物は、リンをわずかな土や砂から得ることが知られていたが、岩自体から得る植物が発見されたのは初

■この特性を農作物に持たせることができれば、岩や砂の多い土地で効率的に農作物が作れるようになる可能性も

「植物の成長には、土が不可欠」という常識が覆されつつある。

ブラジルの山岳地帯に、根に生えた鋭い毛から岩を溶かす酸を分泌しながら、重要な栄養素であるリンを吸収する、なんともたくましい植物が生息していることが明らかになった。

私たちが考えている以上に栄養に乏しい環境は多様性にあふれており、植物がそこから糧を得る方法も実に多岐にわたるようだ。

研究を行ったのは、ブラジル・カンピーナス州立大学の植物生態学者パトリシア・ド・ブリット・コスタ氏ら。論文は雑誌「Functional Ecology」に掲載されている。

Specialized roots of Velloziaceae weather quartzite rock while mobilizing phosphorus using carboxylates

https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1365-2435.13324

わずかなリンを求めて毛がわっさ〜!

研究チームは、国の面積の1パーセントにも満たない、土が少なく岩だらけの草地(ポルトガル語でcampos rupestresと呼ばれる)で、ブラジルに生息する維管束植物の15パーセントに相当する5,000種以上もの植物がどのように育つかを調べた。

これらの土地には土がほとんど存在せず、植物が通常必要とする栄養がほぼ探知不可能なレベルだ。

ノミと金槌で植物を掘り起こしたところ、植物の根が岩の内部に貫通し、少なくとも深さ10センチまで到達していることが明らかになった。

Credit: G.S. TEODORO ET AL/FUNCTIONAL ECOLOGY 2019

ウェロジア科に属する2つの植物(Barbacenia tomentosaとBarbacenia macrantha)の標本30点を顕微鏡と薬品で調べると、根の先にびっしりと鋭い毛が生えていて、そこからリンゴ酸とクエン酸を分泌していることが分かった。これらの酸が岩を溶かすことで、植物の成長に不可欠なリンを吸い上げているというのだ。

根は、岩の割れ目に沿って張っているのではなく、自らの進行方向を岩に彫り込んでいる。これらの構造は、所属の科にちなみ、vellozioid rootと名付けられた。

「岩そのものを溶かす」という新戦略

世界各地の低リン条件で育つ植物は、クラスター根(短い根が密に生じた試験管ブラシ状の構造)やダウシフォーム根(長い根毛が密に生じて房状となった構造)を進化させてきたが、これらはあくまでもリンをわずかな土や砂から得るのであって、岩自体から得るわけではない。

これに対して、Barbacenia tomentosaとBarbacenia macranthaが用いるのは、「岩そもののを溶かして砂にする」というまったく新しい戦略だ。現時点で、岩を溶かすことが分かっている植物はこの2つだけである。

Credit: G.S. TEODORO ET AL/FUNCTIONAL ECOLOGY 2019

ブラジルのcampos rupestresを形成する珪岩は、リンの含有率が1グラム中わずか0.14ミリグラムと特に低い。そんな過酷な条件下で強靭に生き抜くこれらの植物は、根、いやまさに心臓に毛の生えたタフな存在だ。「わっさ〜!」と生えた毛からは、生への執念がにじみ出ている。

この研究、農業の効率化への応用も期待されている。vellozioid rootの特性を農作物にも持たせることができれば、岩や砂だらけの痩せた土地で効率的に農作物を育てるのも夢ではない。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%9F%E6%A4%8D%E7%89%A9 【岩生植物】より

岩生植物(がんせいしょくぶつ、Lithophyte)は、岩の中または上で生育する植物である。岩生植物は、雨水や、自身の死んだ組織を含む近隣の腐った植物から栄養を摂取する。

岩生植物の例は、パフィオペディルム属のランやシダ、多くの藻類やコケである。

岩石表層にはりついて生育する植物は広義の着生植物に当たる。岩生と樹木への着生両方で生育する種も少なくない。

岩隙植物(がんげきしょくぶつ、Chasmophyte)は、土壌や有機物が蓄積した岩の裂け目で育つ。中には根から分泌する酸で岩石を溶かして能動的に穿孔するものがバルバセニア属(英語版)の一部種に知られている。これらは岩石を単なる基質とするのみならず、溶解成分から土壌同様に栄養を得ている[1]。

岩生植物や岩隙植物は滅多に栄養を得られないことから、多くの食虫植物は岩上での生活に前適応してきたと考えることができる。獲物を消化することで、これらの植物は食虫植物ではない岩生植物よりも多くの栄養を得ることができる[2]。例としては、ネペンテス・カンパニュラタやヘテロドクサ・イグザペンディキュラタ、ムシトリスミレ属の多くの種やタヌキモ属のいくつかの種である。

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