https://www.umk.co.jp/otenki-blog/post-82.html 【生物季節観測が...】より
おととい(11日)に気象台からイチョウの黄葉の観測が発表され、秋の深まりを感じますね。
現在、全国の気象台・測候所58地点で、植物34種目、動物23種目を対象に開花や初見・初鳴きなどを観測していますが、対象となる生物を見つけることが難しくなってきたことなどで、来年1月以降は規模が縮小されます。
気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/press/2011/10a/20201110oshirase.pdf
季節ごとに観測種目があり、北海道では「ライラック」、沖縄では「でいご」など、地域の気候の特性に合わせた種目を観測しており、今後これらの現象が記録されなくなるのは残念です。
さて、来年からも継続して観測されるのは、
「あじさい(開花)」「いちょう(黄葉・落葉)」「うめ(開花)」「かえで(紅葉・落葉)」「さくら(開花・満開)」「すすき(開花)」の6種目9現象のみとなります。
公式な記録が途絶えるのはさみしくなりますが、いち気象予報士として今まで以上に季節の変化を伝えていきたいものです。
https://official.rikanenpyo.jp/posts/6197 【環境部「イチョウの黄葉日」をくわしく解説!】
対象とする植物を全体として眺めたときに、その葉の色が大部分紅 (黄)色系統の色に変わり、緑色系統の色がほとんど認められなくなった最初の日を、その植物の紅 (黄)葉日とする。
カエデの紅葉やイチョウの黄葉は、秋になって気温がある値を下回ると色づきはじめ、一定期間ののち全体が紅 (黄)葉する。したがって、気温が高ければ色づきが遅れ、低ければ早くなる。
イチョウは中国が原産地といわれる落葉高木で、社寺の境内や街路に多く植えられ、食用のぎんなんが実ることからもよく知られた植物である。雌雄異株で春に新葉が出るとともに、雄株は 2 cm 内外の房状の雄花を下垂してつけるが、雌株の花は目立たない。
気象庁が観測・統計を開始した 1953 年以降の気温とイチョウ黄葉との関係を見る。 2004 年までに 40 年以上観測値がある地点を選び、平年差を年ごとに全地点平均したものと、都市化による環境の変化が比較的少なく、かつ観測データの均質性が長期間継続している全国 17 地点の 9 ~ 11 月の平均気温の平年差との相関係数は 0.80 で、有意(危険率 5 %)の相関が見られた。一次回帰分析により求めたイチョウの黄葉日の長期変化傾向は +10.7 日となり、 50 年間に約 11 日イチョウの黄葉が遅くなったことを示した。なお、カエデの紅葉についても同様に相関係数 0.75 、 50 年間に約 16 日遅くなっている。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/770f3dc02885576908d1d3af4ae4cd9aa15791c1 【東京で一番遅いイチョウの黄葉 暖かい時代になると東京でも奄美のように黄葉なしで落葉か?】より 饒村曜 気象予報士
イチョウは、他の木に比べて葉が厚くて水分が多いことに加え、幹も他の木よりも水分が多くて燃えにくいという性質があります。
江戸時代には、防火用の空き地(火除け地)にイチョウが植えられ、大正12年(1923年)9月1日の関東大震災の際には、実際に火事の延焼を防いだところもありました。
関東大震災のときに火事の延焼を焼け焦げながら食い止めたイチョウは、震災イチョウとして、大手濠緑地や浅草寺などに残っています。
ちなみに、大手濠緑地の震災イチョウは、中央気象台長(現在の気象庁長官)の岡田武松が、震災復興の区画整理で切り倒されそうになった震災イチョウを、関係各所に頼みこんで中央気象台の敷地内に移植したもので、皇居のお掘脇で火事を止めたのではありません。
関東大震災のこともあり、街路樹として、一番多く植えられているのがイチョウで、その黄葉は秋の風物詩となっています。
令和6年(2024年)12月3日、東京や宇都宮、甲府、松江、鳥取でイチョウが黄葉しました。前日に、京都、彦根、広島、松山でもイチョウが黄葉していますので、遅ればせながら、令和6年(2024年)も紅葉・黄葉の季節に入りました。
東京でのイチョウの黄葉は、平年より10日遅いだけでなく、昭和23年の統計開始以来、最も遅い記録です(図1)。
図1 東京のイチョウの黄葉日(昭和28年(1953年)から令和6年(2024年)のうち観測がある63年分)
近年、東京でのイチョウの黄葉日は遅れる傾向があり、11月下旬の観測はほとんど令和になってからです。
今年の記録更新まで、一番遅い黄葉日は令和5年(2023年)と昭和54年(1979年)の12月1日です。
そして、12月3日という日付けは、東京でのイチョウの落葉日の平年です。
奄美大島・名瀬では、イチョウの落葉の平年は12月23日ですが、イチョウの黄葉の平年はありません。冷え込みが弱いために黄色に色付かず、黄葉が観測できないまま落葉するからです。
東京も暖かい時代となると、奄美大島と同じように、イチョウの黄葉日がどんどん遅れてゆくのではなく、黄葉そのものがなくなるかもしれません。
東京(東京都心)の最高気温と最低気温
令和6年(2024年)の東京は、記録的に気温が高い年となりました。
最高気温が25度以上の夏日を最初に観測したのは3月31日、最高気温が30度以上の真夏日は6月12日、最高気温が35度以上の猛暑日を最初に観測したのは7月4日、最低気温が25度以上の熱帯夜を最初に観測したのは7月4日と、いずれも平年より早くなっています。
そして、10月になっても暑い日が続き、猛暑日は20回、真夏日は83回、夏日は153回、熱帯夜は47回もありました(図2)。
図2 令和6年(2024年)8月以降の東京の最高気温と最低気温の推移(12月4日以降はウェザーマップの予報)
東京は、明治8年(1875年)6月5日以降の気象観測がありますが、東京都心の夏日日数は、昨年(2023年)の140日を抜いて歴代1位、猛暑日、真夏日はともに昨年に次ぐ歴代2位の記録となりました。
また、平成25年(2013年)10月12日を抜いて、最も遅い真夏日となりました。
11月20日に最高気温が8.8度と寒い日がありましたが、11月も多くの日は最高気温も最低気温も平年を上回っています。
ただ、季節が進んで、平年値そのものが低くなっていますので、平年より高いといっても、夏日などの基準に及びません。
そして、今週末からは、最高気温はほぼ平年並みに、最低気温は平年より若干低くなる見込みです。
東京も、全国的な傾向と同じく、暑い暑いといっているうちに、短い秋は終わって冬になろうとしています。
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