https://yamamotoyama.co.jp/blogs/column/reading130?srsltid=AfmBOoqDX5fVCKlc4pR7JXM9peb49eerw5O3XN1AnUFWTWPIvvvlW6sw 【渋みの正体!タンニンの働きと健康効果を徹底解説】より
タンニンとはなにか
タンニンは、植物が作り出す物質の一種で、私たちが日常的に口にするお茶やワイン、果物などに含まれています。
この渋み成分は、植植物にとっては、外敵から身を守るためのバリアとなり、私たち人間にとっても健康維持にも役立つ多様な機能を持っています。
タンニンとカテキン、何が違う?
かつて、植物の渋み成分は総じて「タンニン」と呼ばれていました。
しかし、研究が進み、お茶の渋み成分の多くが「カテキン」と呼ばれる特定の物質群であることが明らかになりました。
タンニンは、様々な化学構造を持つ物質の総称であり、カテキンはその一種なのです。
タンニンはポリフェノールの一種
タンニンやカテキン類は、植物が作り出す苦味や色素成分の一種であり大枠として「ポリフェノール」という物質群に属します。
ポリフェノールは、植物の色素や苦味のもととなる成分の総称で、抗酸化作用を持つことが知られています。
赤ワインや緑茶に含まれるポリフェノールが健康に良いとされるのは、この抗酸化作用によるものです。
タンニンの働きと効果
その他にも、タンニンの働きは実に多岐にわたり、生活習慣病の予防や虫歯や認知症予防など、様々な効果が期待されています。
また、タンパク質と結合しやすい性質があるため、古くから皮革のなめし剤や染料など、私たちの生活にも広く利用されてきました。
さいごに
このように、タンニンは、私たちの食生活や健康に深く関わっているほか、植物の生態や産業にも活用されている非常に重要な成分です。
今後も、タンニンの持つ様々な機能性が解明され、新たな食品や医薬品開発に繋がることが期待されます。
https://www.kogeistandard.com/jp/insight/serial/editor-in-chief-column-kogei/shibui/ 【日本の美意識「渋い」】より
「渋い」とは、奥底から醸し出される魅力を表す、日本の伝統的な美意識の一つである。お茶やワインのように、味について表現する際に使われることが多いが、「色が渋い」「渋い顔をしている」などと、日常生活でも幅広く使われている言葉である。
「渋」という漢字は旧字では「澀」と書き、「水が流れにくい」という意味を持つ。渋みのある柿のことを「渋柿」と言うが、この渋みの原因となるのは、渋柿の中に含まれるタンニンである。正確には、タンニンを感じるのは味覚ではなく、舌への刺激による触覚的なものとされる。ワインやお茶も同様に、タンニンが多く含まれていると渋みを感じる。茶の湯の世界において、質素なものに美を求めたことから、次第に渋さというものが日本ならではの美意識として形成されていったのであろう。
渋みと苦みの違い
味については、渋みと似た表現で「苦み」があるが、渋みが触覚で感じるものであるのと異なり、苦みは味覚で感じるものである。苦いという表現は、否定的に捉えられることが多く、茶の表現においては、苦いというのは不快な味のことを表し、渋いと言う場合には味に趣があることを意味する。英語では、どちらも「bitter」という言葉を使うことが多いが、渋みは英語での直訳が難しく、そのまま「shibui」とされることもある。
現代の「渋い」
日常でも使われる「渋い」という言葉だが、一般的には、人や物が年月を経たときの奥深さに対して「渋い」という表現をする。幼い子供や新鮮なものに対してこの言葉を使うことはなく、奥から滲み出てくるような魅力があるものにこそ使われる。お金を出し惜しむことも「渋る」と言ったり、思ったとおりの結果が出ず、煮え切らない気持ちを「渋い」と表すこともある。これらはいずれも元の漢字である「澀」の意味である「水が流れにくい」という様子から派生した表現であろう。
工芸における「渋い」
昭和初期、民藝を広めた柳宗悦やバーナード・リーチらは、それぞれ「渋さ」の魅力を国内外に伝えている。食の世界以外でも、素朴ながら深みのある表現の美に対し、「渋い」という感想を与えたのだろう。海外では、侘び寂びと同義に捉えられることもあるが、渋いもの全てが侘び寂びであるということではない。渋いというのは奥から滲み出てくるような美であって、侘び寂びの特徴である不完全な美とは必ずしも結びつかないからだ。
工芸品の魅力の一つに、経年変化による美しさがあり、使い込むことで色や風合いが変化し、味わい深いものになることがある。これはまさに「渋い」という言葉で表現したくなるものだ。経年変化したことで、枯れた景色が浮かべば「侘び」と言えるが、じんわりと滲みでるような風合いがあれば、「渋い」という言葉が似合う。
これまで、この連載で述べてきたように、日本の美というのはさまざまな捉え方があり、多面的なものだ。侘び寂びは不完全なものに美を見出し、余白は空間や時間の中に意味を感じとる。そして、渋さは奥行きから美を感じ取るものだ。日本には多様な風土と四季があることで、人々は移り変わるさまざまなものから美を感じ取り、暮らしを楽しむことを考え続けてきた。都市化が進み、暮らしが均質化した中でも、こうした美の多様な捉え方は日常に根づいており、工芸を通じてそれらを学んでみることをおすすめしたい。
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