https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/park/ryokuka/hyoushi/hyoushi3 【3.街路樹の役割】より
街路樹のはたらき
夏の日差しをさえぎったり、排気ガスや騒音をやわらげ、道路沿いの環境を守ります。また、災害の時には避難する道の安全を守ります。
街路樹は都市特有の現象として問題となっている「ヒートアイランド現象」の緩和に貢献しています。
ドライバーの視線をみちびいたり、まちの目印になって、安全でスムーズな交通を守ります。
無機質になりがちな都市の空間に、うるおいを与えています。
まちを美しく彩るだけでなく、美しい花やあざやかな黄葉が季節の移り変わりを知らせてくれます。
四季折々の変化する街路樹は身近な自然のキャンパスです。
いきいきとした緑は野鳥や昆虫を呼び、都市の自然が心に落ち着きとやすらぎを与えてくれます。
https://www.city.kobe.lg.jp/a10019/kurashi/machizukuri/flower/gairoju/hatarakirekishi.html 【街路樹のはたらきや歴史】より
街路樹ってなに?
一般に道路に植えられている樹木のことを街路樹と呼びます。
古くは奈良時代のことを記した文献に道路の樹木に関する記録があり、街路樹は昔から人々の暮らしの中にあったようです。
その後、近世には街道整備に伴って沿道に樹木が植えられていきました。
摂津国の名所を絵画と文章で紹介した「摂津名所図会」(18世紀末)には、神戸では神社の参道にマツやサクラと思われる並木が見られます。
明治に入ると、横浜や東京で計画的に街路樹が植えられるようになり、銀座のシダレヤナギなど、評判になるものもありました。
神戸の旧居留地に街路樹が植えられたのも明治時代です。
一般的に、街路樹には「環境に強く」「姿が美しい」樹木が使われ、イチョウやサクラなどの「高木」以外にも、少し背の低いサザンカやツツジなどの「中木」「低木」があります。
また、樹木には冬に葉を落とす「落葉樹」と一年中葉をつけている「常緑樹」があります。
落葉樹は、春の芽吹きから、夏の緑陰、秋の紅葉、冬の落葉と季節感があります。一方、常緑樹は一年を通じて緑豊かで潤いを与えてくれます。
街路樹のはらたき
景観:美しい景観をつくり、まちに潤いを与えます。
アメニティ:緑陰をつくり、埃や排気ガス・強風を防ぎます。
防災:災害時に熱や延焼からまちを守ります。
環境:ヒートアイランド対策やCO2の削減に効果があります。
安全:歩行者の安全を守ったり、車のライトの影響をやわらげます。
生物多様性:まちの自然を守り、鳥や虫などの生き物を呼びます。
街路樹のはらたきの画像
神戸の街路樹の歴史
近世の街道
摂津国の名所を絵画と文章で紹介した「摂津名所図会」(18世紀末)を見ると、街道沿いの樹木はまばらなのに、参道や河川沿いにはマツやサクラの並木が見られます、この頃の神戸では参道が街路樹を楽しめる道だったようです。
街路樹のはじまり
明治時代には横浜や東京で計画的に街路樹が植えられ始め、旧居留地ではヨーロッパの近代都市計画技術を基に格子状街路、街路樹、公園、街灯、下水道などが整備されました。
グリーンコウベ作戦を経て緑生都市へ
神戸市を緑豊かな都市にすることを目指して、1971年にスタートした「グリーンコウベ作戦」によって、公園や街路樹といった市内の緑の量は大幅に増加し、現在はまちに豊かな緑が形成されています。
今後もこのかけがえない緑を大切にし、「緑とともに永遠に生き続ける都市=緑生都市(りょくせいとし)」を目指して、皆様とともに街路樹の育成をすすめたいと願っています。
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000370568.html 【街路樹はこんなに役立っています】より
街路樹は、美しく統一感のある街並みを創出するとともに、都市の季節感を演出し、日照・風などの微気象の調節、ヒートアイランド現象の緩和など都市環境の改善に寄与しています。さらに、都市の生物多様性の向上にも大きな役割を担うと同時に、火災発生時の延焼を防止するなど、災害に強いまちづくりを推進していくうえでも重要な機能を果たしています。
イチョウ
秋の御堂筋を黄金色に染めるイチョウ並木は大阪のシンボルです。
トウカエデ
葉は三角状で浅く3つに切れ込んでいます。紅葉が美しく、谷町筋やあびこ筋で目を楽しませてくれます。
ナンキンハゼ
燃えるような深紅の紅葉がすばらしい木。庭木や公園樹として人気があります。
ケヤキ
美しく堂々たる風格の樹形をつくり、秋に紅葉します。中之島公園や靭公園の遊歩道にあります。
ハナミズキ
4月の下旬に、白や紅の花びらのように見える大きな4枚の総苞(ソウホウ)を枝先につけます。葉は秋に紅葉し、10月から11月にかけて赤い実がなります。
ユリノキ
花がチューリップに似ているのでチューリップ・ツリーとも呼ばれています。また、葉が半纏(ハンテン)の形に似ているので日本ではハンテンポクとも呼ばれています。
https://susus.net/topics/20231117/trees/ 【街路樹はいらない?その必要性や問題点を解説】より
私企業による街路樹の伐採・枯死問題や、明治神宮外苑の再開発に伴う樹木伐採など、樹木を巡る議論が過熱しています。
本記事では、街路樹の歴史を振り返りつつ、その必要性や問題点を解説していきます。
街路樹の歴史
日本における街路樹の歴史は8世紀の奈良時代に遡り、日差しを避ける休憩場所、飢えをしのぐための食糧として道の両側に果樹を植えることが国策として進められたとされています。また、江戸時代には全国の街道で並木が整備され、「世界一長い並木道」として知られる日光杉並木(下記写真)や東海道松並木など現在に続いているものもあります。
幕末以降は近代化の過程で西洋の都市に倣った並木の整備が進められるようになりました。1867年の横浜市馬車道、1873年の銀座における植栽がその代表例といえます。
近年では、高木については1987年から2002年までに約300万本が植えられ、以降は横ばい傾向となっており、2017年時点で全国に約670万本が植えられています。
中低木は1987年から1997年に約6900万本、1997年から2007年に1238万本が植えられ、以降の植樹数は減少しており、2017年時点で全国に約1億4100万本が植えられています。
歴史的に見ても都市にとって街路樹は欠かせない要素の一つとなっていることがうかがえます。
街路樹の必要性・機能
街路樹は人間あるいは他の生物にとって快適な環境をもたらす、さまざま役割を果たしています。
①景観の形成
人工的で無味乾燥になりがちな街並みに彩りをもたらし、季節の変化を告げ、人々の心に安らぎや憩いを与える。
②生活環境の保全
夏の日差しを遮り、騒音を和らげるなど通行時や休息のための快適な空間を提供する。
③自然環境・生物多様性の保全
都市化により失われた自然環境を回復する、昆虫や鳥などの動物に生活環境を提供する。
④交通安全
車と歩行者を分離する、ヘッドライトの眩しさを低減する、並木がカーブなど道路の線形を把握させやすくし、安全な運転を促す。
⑤防災
火災の広がりを防ぐ、地震によって建物が道路に倒壊するのを防ぐ。
⑥二酸化炭素、窒素酸化物等の吸収
大気中の二酸化炭素を吸収することにより地球温暖化・ヒートアイランド現象の抑制につながる、自動車の排気ガス(窒素酸化物)や粉塵を吸収し大気を浄化する。
街路樹の課題・問題点
一方、問題点も指摘されており、近隣住民の生活や道路利用者の通行に及ぼす影響も大きいことから、苦情を訴える声も少なくありません。
①倒木、落ち葉、根上がり
倒木や落ち葉、落ち枝により道路を通行する車両や歩行者等に直接的な被害をもたらすことがある。また、根が太く成長し、歩道の縁石や舗装を持ち上げることで、通行に支障が生じる。特に都市環境は必ずしも樹木の生育にとって最適な環境とはいえないため、栄養不足に陥り上記を招きやすい。
②病虫害
毒性を持つ害虫が通行人を攻撃する、菌類が樹木を腐らせ倒木につながる。
③見通しの阻害
標識・看板が見えなくなる、街路灯を遮光する、海など見晴らしのいい景色を隠してしまう。
④地下埋設物の管理の阻害
根が排水管など地下の埋設物を傷めたり、工事の支障になる。
⑤維持管理コスト
定期的な剪定や落ち葉等の清掃、根上がりの解消など、街路樹の維持管理には相応のコストがかかり、税金によって賄われている。
⑥その他
樹木の影が田畑の日照不足につながる、電線等と競合する、地域性や将来樹形を想定していない樹種の選定や未熟な剪定技術により景観が損なわれる。
まとめ
以上見てきたように街路樹には多くのメリットとデメリットが存在します。特にそれらは私たちの快・不快に深く関わることもあり、その是非について感情的な反応も少なくありません。
動植物を含めた地球環境のありようにまで視野を広げつつ、自身が根ざす地域がどのように樹木と暮らしていくか、知識と実感の両面から考えるべき時期が来ているように思われます。
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