https://www2.nhk.or.jp/learning/video/?das_id=D0024010251_00000 【宇宙の始まり~ビッグバン理論より遡るインフレーション理論 コズミックフロント】より
宇宙の始まりと聞くと多くの人は「ビッグバン」を想像する。しかし実は、ビッグバンより前に宇宙の膨張があった。それが「インフレーション」。エネルギーがほんの一瞬で膨張し、この広大な宇宙は生まれたという。(コズミックフロント)
https://ameblo.jp/aauasks/entry-11963560526.html 【NHK-BSP「コズミックフロント~宇宙の始まり インフレーション」概要紹介】より
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「コズミックフロント ~ついに見た!? 宇宙の始まりインフレーション」
宇宙はどのようにして始まったのか? 人類が抱くこの大いなる問いに対して、最新の科学が導き出した答えが、138 (137±2) 億年前、宇宙誕生直後のビッグバンの直前に、想像を絶する急膨張「インフレーション」が起きた!! というものだ。
1秒にも満たない一瞬の間に、光速(約30万km/s)を超える速度で宇宙空間が膨張したという
「インフレーション理論(宇宙論)」は今から34年前の1980年に、宇宙物理学者・佐藤勝彦博士(京大⇒東大)、そしてアラン・グース博士(MIT)によって提唱された。
当時、その証明は難しいと考えられていたが、宇宙望遠鏡観測の技術進歩によってインフレーションの痕跡を探す観測が可能になり、今まさに、南極やチリ高地などで、発見の一番乗り競争が繰り広げられている。更に、インフレーション理論は宇宙の始まりを説明するだけでなく、驚くべき宇宙の姿---宇宙は一つではなく無数の宇宙が生まれているというのだ。
発見間近と言われるインフレーション。その研究の最前線を追う。
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★ Front1 インフレーション観測の最前線
今、世界中の天文学者がインフレーション現象の証拠を掴もうと必死で競争している。
★ Front 2 ビッグバン理論に2つの大きな問題
1928年、エドウィン・ハッブル
銀河が遠ざかっている、即ち、膨張している。
逆回しにすれば、宇宙は今より小さかった。即ち、宇宙には始まりがあった。
1946年、ジョージ・ガモフ
ビッグバン理論による宇宙の始まり。
宇宙は138億年前にビッグバンという大爆発で始まった。
-----と提唱されたが、実際に観測していると、大きな問題があった。
☆ 宇宙の地平線問題
今でも届いて来る、138億年前にビッグバンがあった名残りの温度は確認できる。それらは何と! 全て同じ温度 --270℃と分かった。大爆発の痕跡全ての部分で温度が均一だったということが有り得るのか?宇宙の名残りの温度が届いて来るが、どの方向を測っても同じ温度--270℃。始まりの場所があるなら、どこか最高温度の場所がある筈ではないか!?
例えば、パリのカフェで飲む紅茶の温度が80.0008℃、ニューヨークのカフェで飲む紅茶の温度も80.0008℃、東京でも80.0008℃。どうやって同じ温度が出せるのか!?
☆ 平坦性問題
宇宙は閉じた宇宙でも開いた宇宙でもなく、「平らな宇宙」であることが確認されている。しかし、平らになる確率は恐ろしく低い。
ビッグバンの膨張速度が----
遅い時、宇宙は歪んで縮む。速い時、引き伸ばされて双曲線状になる。その中間の時、平らになる。しかし平らになるための確率は1/10^6。例えば、マフィンを焼いてみた場合、膨らんでも凹んでもおらず、完璧に真っ平だったという位に有り得ない。
焼き立てマフィンが膨らんでいようが凹んでいようが、急激に引き伸ばされたから平坦になった?
☆ ところで、根源的問題として、ビッグバンは何故起きたのか? という説明が未だできていない。
★ Front 3 インフレーション理論はこうして生まれた!!
これを解決したのが「インフレーション理論」という仮説。
1980年に2人の学者がそれぞれ独自に思い付いて発表。佐藤勝彦教授とアラン・グース教授。
「真空」は一見、何もない空間だが、実は「真空のエネルギー」という物質が存在する。
これは空間が広がっても薄まらないという不可思議なエネルギー。
宇宙誕生の最初に、これが指数関数的に大きくなったという計算が導き出された。
つまり、最初は物凄く小さな宇宙。従来、真空は何もない空間と考えられていたが、ミクロの世界では素粒子が生まれたり消えたりしているのだ。⇒真空エネルギーの概念。
真空のエネルギーによって空間が光速以上の速さで猛烈に広がる。空間は広がってもエネルギーは薄まらないから、どんどん増える。
「相転移」という現象。
例えば、水から氷への変化のような状態の変化で、物凄い熱=火の玉が発生。
「相対性理論」を使って方程式計算すると、e(指数関数)の関わる極めてシンプルな式に集約。それは宇宙が急膨張を起こすことを表す。火の玉が生まれたのは相転移したからだ。
例えば、氷が水に相転移する時、80cal/cm^3の熱量が出る。
真空でも膨張時に相転移が起こる。そのエネルギーは1cm^3当り10^94cal。
宇宙誕生時の温度は10^29℃。これがビッグバンの火の玉を作った。
宇宙がどこから来たのかという問題の解決!!
その熱で発生したビッグバンは、猛烈な速度で一瞬に広がった。
爆発は温度にムラ無く均等な拡張だった。
地平線問題の解決!!
宇宙はインフレーションで猛烈に引き伸ばされ、真っ平らになった。
そう言えば、太陽系も銀河系も平坦形状。
平坦性問題の解決!!
★ Front 4 宇宙は一つではない?
「インフレーション理論」を研究すると、
インフレーションは未だに止まっていない。
その結果、宇宙が無数に生まれるという計算になり、或る宇宙から別の宇宙がどんどん切り離され、その子宇宙からまた別の孫宇宙が切り離されて行く。
切り離しの瞬間がビッグバンなのだ。
佐藤教授の理論では、いったんインフレーションが起きるとそれが続く。
例えば、
炭酸水やシャンパンの泡がインフレーションを起こして銀河宇宙のサイズになるのに要する時間は1/10^34秒。
インフレーションがどうやったら終わるかについて数学的に解いた。
インフレーションが一旦、起きると、宇宙と宇宙を繋ぐトンネル様なものができ、宇宙が次々と生まれる。
親宇宙から子宇宙が、子宇宙から孫宇宙が生まれてはトンネルが消えて独立する。
ミクロの世界の細胞分裂がマクロの世界で起きて行く。
極小の原子(素粒子)の世界と極大の宇宙の世界とは、フラクタルな相似形の構造をしているのだ。
宇宙の「ユニバース」(宇宙は唯一)に対し、この多宇宙現象を「マルチバース」と呼ぶ。
MITのグース教授は、偶然、関わった真空エネルギー研究から、佐藤教授のプロセスと殆ど同じ結論を導き出し、これを「インフレーション」と名付けた。それぞれ独自に発表(佐藤氏1980年2月、グース氏1980年8月)。当時は各発表しても直ちに受け入れられなかったが、「ビッグバン理論」を補完し発展させるに十分な発想だった。
★ Front 5 インフレーションは証明できるか?
「インフレーション理論」が正しければ、「原始重力波」という波長が数百億光年の重力波が存在することになるが、どうやって原始重力波を見つければよいか?
もし原始重力波が存在するなら、宇宙最初期の光「宇宙背景放射」が渦巻きのようになって観測される筈。
ロシアのアレクセイ・スタロビンスキー博士。
原始重力波を捉えることができればインフレーションの証拠となる。だが発表した時点では測定手段がなかったので認知されなかった。
1997年、マーク・カミオンコウスキー博士。
ビッグバン後の最も古い光が宇宙背景放射され、この奥でビッグバンが発生。
ここに原始重力波がぶつかって変形し揺らぎ(渦巻き模様)を生じる。
これを見つけることが、即ち、インフレーション発見の一番乗り!!
世界中の13チームがチリ高地や南極で日夜、観測を続けているのだ・・・。
★ Front 6 インフレーション発見の一番乗りを目指せ!
2014年3月。インフレーションの証拠、渦巻きを発見したとハーバード大のチーム(南極BICEP2望遠鏡)が発表した。
しかし、大気や宇宙には塵(ダスト)があり、その影響で渦巻きに見えた可能性もあるため検証作業が必須。
12月の国際会議での成果発表が待たれたが実現せず。
尚、別チームから、ダストの存在するエリアの特定(MAP化)ができたという発表があった。
ハーバード大では更に感度を5倍アップした望遠鏡BICEP3開発中。
正しくインフレーション証明の戦国時代真っ只中。
★ Front 7 インフレーションと私たちの起源との関わり
宇宙背景放射は10万分の1の温度の違いが表われたもの。
温度ムラ、物質密度の違い、その結果ガスが集まる、銀河が生まれ、太陽そして地球が生まれる。
インフレーションは誕生の種を蒔く。
素粒子研究の先に宇宙がある。
インフレーションがあって星が生まれたから私たち人間が存在する。
インフレーションの証明は、我々はどこから来たのかを追究する糧となる---と佐藤勝彦は言う。
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地上の例でも犯罪捜査が、監視カメラとDNA鑑定によって飛躍的に向上したように、
宇宙の謎探査は、宇宙望遠鏡と素粒子解明によって一層の進歩が期待されています。
https://ameblo.jp/aauasks/entry-12009242522.html 【NHK「コズミックフロント☆NEXT」#1「太陽最後の日」#2「月のミステリー」【更新】】より
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4年間続いた「コズミック フロント・スターズ」がリニューアル。毎回、宇宙に関する1つのミステリーを解き明かして行く新シリーズ。
■■ NHK-BSプレミアム 「コズミック フロント☆NEXT」
「コズミック フロント☆NEXT」 番組HP
語り: 萩原聖人(#1)、永作博美(#1#2)、真下貴(#2)
声の出演: 81プロデュース(樫井笙人・宗矢樹頼・玄田哲章・植竹香菜)
新テーマ曲: 寺田志保、歌・Yucca
オリジナルの挿入曲: 約50曲
取材協力: 甘利幸子、渡部潤一、井原市美星天文台
撮影: 古川信司
CG制作: 深谷崇史、東海徳亮
編集: 古澤由敬
コーディネーター: 川澄朋子
リサーチャー: 清水玲奈
取材: 長谷英里子
ディレクター: 三宅浩太郎
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□□ 「コズミックフロント」からの抜粋【再放送】
□ 4/1(水)14:45~15:00 「謎の光 スプライト」
「宇宙の渚 File1. 謎の光 "スプライト"」(2012/02/28)
□ 4/8(水)14:45~15:00 「オーロラ 天と地の攻防」
「宇宙の渚 File3. オーロラ 天と地の攻防」(2012/03/13)
□ 4/13(月)15:45~16:00 「一千億個の地球」
「一千億個の地球!?」 (2012/12/19)
【付録】 私の関連ブログ
「宇宙の渚 File1 謎の光 “スプライト”」
宇宙の「地球外生命」・「ダークマター」・「泡構造」
「高校講座 地学 第2回銀河系と銀河」
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■ 第1回 「ミステリー 太陽最後の日」
NHK-BSプレミアム
4/2(木)22:00~23:00
【再放送】 4/8(水)23:45~24:45
【概要】
天文学者たちは、太陽はいずれ死を迎えると予測している。
その直前には、まるで宝石のような姿に変化すると言う。
私たちの太陽は、いつ、どのような最後を迎えるのか?
そして、地球の運命はどうなるのか?
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【あらすじ】
□ 調査File 1 「太陽 死への道筋」
米国ニューメキシコ州の世界遺産・チャコキャニオン。
9~12世紀に住んだ先住民の先祖が遺した洞窟の壁の落書き(岩絵)には、「かに星雲」となった超新星爆発を描いた物がある。
同じ頃、日本の藤原定家が遺した日記・明月記(1180~1235年、国宝)。
日記には何度か「客星」(一時的に現われる星)が現れ、その都度、夜空は明るく染まり、不安に駆られた定家は陰陽師を呼び寄せた、とある。
天喜2年(1054年)4月中旬の「かに星雲」の超新星爆発は、定家が誕生した以前の出来事であるが伝え聞いた内容として記載されている。「後冷泉院・天喜二年四月中旬以後の丑の時、客星觜・参の度に出づ。東方に見あらわる。天関星(おうし座ゼータ星)に孛はいす。大きさ歳星(木星)の如し。」
米国カリフォルニア州・ウィルソン天文台に遺された観測(1921年)から、ジェーソン・カリライ博士によると、「かに星雲」が死を迎えた残骸だと言う。
星は軽い元素同士が融合し重い元素へと変化する。これが核融合。莫大なエネルギーを生み出す。
水素Hが4つ融合するとヘリウムHeに変わる。更にHeが3つ融合すると炭素Cに変わる。反応は更に進み、マグネシウムMg、ケイ素Si、ネオンNe、酸素Oに変化し、最後は鉄Feに成り核融合は止まる。核融合のエネルギーを出さなくなった星は、重いFeを支えられなくなって一気に膨れる。すると今度はその反動で大爆発を起こす。それが超新星爆発と呼ばれる現象。
チャコキャニオンの岩絵も明月記の記述も、おうし座「かに星雲」の超新星爆発だったのだ。
この他にも、カシオペア座「カシオペアA」、へびつかい座「SNR 1604」、はくちょう座「網状星雲」などたくさん見つかっている。
星の寿命は、核融合の燃料であるHの量で決まる。重い星ほど多くのHを持っているが、重力で中心部の温度が高まるため、核融合が非常に激しく起こる。
星の寿命は重さによって決まる。重ければ短く軽ければ長い。スポーツカーよりも軽四の方が長生き。
米国メリーランド州・宇宙望遠鏡科学研究所のジェーソン・カリライ博士によると、太陽に似た星が密集した星団、プレアデス星団[日本名は昴(すばる)。誕生から約1億年]に例をとれば、寿命は後1,000万年しかない。
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□ 調査File 2 「太陽が作る星雲を予測せよ」
私たちの命を支える太陽もいつかは死を迎える。
太陽エネルギーの根源が、Hの核融合である以上、いつかは燃料が底をつくのだ。
太陽(誕生から約46億年)の寿命は、その重さから約100億歳(109億歳)。
球状星団、きょしちょう座47(誕生から約130億年)は、既に寿命を迎えている。
ハッブル宇宙望遠鏡で観測すると、その中の太陽と同じ重さの星が白色矮星(燃えカス)となっている。
一方、太陽の10倍以上の重さの星(宇宙の2%を占める)ならば、超新星爆発を起こす。
18世紀に小さな手造りの望遠鏡で発見された星雲。
英国の天文学者ウィリアム・ハーシェル(1738~1822年)は、43歳の時に太陽系7つ目の惑星「天王星」を発見した。その後も天王星と同じ青白い星に "惑星状星雲" (実は白色矮星と周りのガス)と名付け、みずがめ座の星雲を始め、83歳で亡くなるまでに16個も発見した。
それが、太陽に似た星の最後だと判明したのは20世紀に入ってから。
ハーシェルの16個の白色矮星の1つ、オリオン座「NGC2022」。
次に、きりん座「NGC1501」では白色矮星に成る前に、輝くガスで覆われる。
中心部のHが全てHeに変わると、表面からガスを放出する。やがてHeが全てCに成ると核融合段階を終えて星は縮み、白色矮星に成る。それが周りのガスを輝かせる。それがハーシェルの観測した "惑星状星雲"だったのだ。
円形の星雲
うさぎ座・IC418、うみへび座・エイベル33、わし座・NGC6781、わし座・NGC6751、など。
宇宙では珍しい単独で輝く星・太陽は、円形の星雲となるのか?
今、太陽の未来を占うため、南米チリ・ハワイ・カナリア諸島の最新望遠鏡が、寿命を終えた星が作る星雲へと向けられている。
その結果、宇宙のほとんどの星は、円形ではなく、指輪やネックレスにも例えられるまるで宝石のような双極性の星雲として、終わりを迎えることが分かって来た。
年老いた星が宇宙空間へとガスを噴出し、その後燃えつきた星・白色矮星が紫外線を放つことで、星雲は誕生する。
自転している星は、回転や磁場の力によってガスは赤道付近にドーナツ状に分布する。星が燃え尽きた後で勢いよく出るガスは、既にガスで満たされている場所を避け、何も無い上下の空間へと流れ出て、双極性の星雲を形成するという仮説が大勢を占めて来た。
しかし地上の望遠鏡よりも高精度のハッブル望遠鏡は、必ずしも双極性ではない複雑な形の星雲をいくつも捉えた。りゅう座・キャッツアイ星雲、いて座・ハッブル5、はえ座・NGC5189、など。
太陽の死について最新の科学で徹底分析し、究極のミステリーに挑む!
太陽が惑星状星雲を生み出す進化を遂げた時、地球にはどのような光景が広がるのでしょうか? 美しいCGで紹介する!!
あなたは、その結末に耐えられるか?
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■ 第2回 「月のミステリー 奇妙な発光現象の正体は ?」
NHK-BSプレミアム
4/9(木)22:00~23:00
【再放送】 4/15(水)23:45~24:45
【概要】
実は、月の表面で謎の光が発生している。謎の発光現象の正体は?
今回のミステリーは、月面で起きる謎の発光現象を探る。
その発光現象は古来より記録が残されている。
18世紀のヨーロッパで、皆既月食の最中、赤黒くなった月の中に原因不明の赤い光が観測されている。
この奇妙な赤い光は、1969年、人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号からも目撃され、
これまでに報告された謎の発光現象は、約3千件にも上る。
この謎を科学者たちが最新科学で徹底解析。
そこには思いもよらない月の秘密が次々と明らかとなり、これまでの常識を覆(くつがえ)す衝撃の新事実が発見される!
科学で証明できる現象なのか?それとも超常現象なのか?月のミステリーに迫る。
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【あらすじ】
[調査File 1] 謎の光を追え
英国南東端のカンタベリー
世界遺産のカンタベリー大聖堂では、800年以上前に月の奇妙な現象が目撃された。
年代記(ゲルヴァシウス・著、復刻版)には1178年に発見。
天文学者ウィリアム・ハーシェルは皆既月食を観測中、1790年10月に150個の赤い小さな光の斑点を発見。ロンドンの王立協会に論文が遺っている。
1969年、人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号からも、月面に明るく輝いているクレイターの領域があると目撃されている。
これまでに報告された謎の発光現象は、約3千件にも上る。
英国南西部のアベリストウイス大学の天文学者トニー・クック博士が謎の研究の中で、
1973年、米国天文学者のプトレマイオス・クレイターで発見、
2003年に再現、太陽の光が起伏に富んだクレイターを照らす際の反射光に過ぎなかった。
月自体の発光現象例
2013年9月、スペイン南東端のアンダルシア州ラ・サグラ天文台で、ウェルバ大学ホセ・マリア・マディエド博士。隕石の衝突によって新たな月面クレイターができた瞬間の発光。
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[調査File 2] 月面にうごめく光
1967年、米国NASA無人探査車サーベイヤーが月面撮影した中に、太陽の反射でも隕石の衝突でもない発光。
1972年、アポロ17号からハリソン・シュミット博士が目撃。
コロラド大学ミハイ・ホラニー博士がその再現実験に取り組んでいる。
月面の極細な砂レゴリスが、強い太陽の光とプラス電荷を帯びた粒子(宇宙のゴミ)が当たったため、プラス電荷が反発し電場が生じて飛び跳ねたり浮遊したりしたからではないか?
1994年、米国月探査機クレメンタインも同様に夜と朝の境界付近で起きたのを捉えている。
コロンビア大学アーリン・クロッツ博士はニューヨークとチリで同時撮影していると、
長時間の月面発光現象は、表面北西部のアリスタルコス・クレイターに分布が集中。
1969年、人類初月面着陸したアポロ11号でも着陸直前に、地上観測していたドイツ北西部ボーフム天文台から観測。
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[調査File 3] 発光現象が示す月の秘密
1971年、アポロ15号でもアリスタルコス・クレイターで強い発光現象を観測、
ウランが崩壊する時に高濃度で発生したガス・ラドン222と判明した。
2007年、日本JAXAの月探査機かぐやがアリスタルコスでは高濃度ウランが埋蔵されていると検証した。
前出のコロラド大学ホラニー博士は、ラドンガスとは異なり人体に悪影響を及ぼさない、類似したアルゴンガスで実験。太陽光がもたらす電荷を加えると発光現象を再現できた。
ブラウン大学ピーター・シュルツ博士は、月の裏面エイトケン盆地が43億年前に小惑星衝突でできた際、その衝撃波によって反対側アリスタルコスの大深度でヒビ割れたため、地下ウラン鉱床からラドンガスが噴き出しており、砂レゴリスを舞い上げていると仮説。"月は生きている"。
2011年、NASA月探査機GRAILは月面からヒビ割れ分布を探査した。
2009年、NASA月探査機LROは解像度50cmの超高性能カメラで月面撮影し、
アリゾナ州立大学マーク・ロビンソン博士が年代測定した。
月面アイナ(3300万年前に火山噴火跡地)を始め新しい火山噴火地域70カ所以上があり、クレイター分布が少ない。
月は、10億年前に活動停止し冷え切ったという学説が覆り、今後も活動する可能性を秘めていると判明したのだ。
JAXAかぐやも、月の地下約1,000kmにマントルのような層が存在すると。
春山純一博士は、地球引力によって変形することで熱を帯び、太陽光を浴びて光を放ち、
そして将来は脈動するかもしれないと。
"月は今も生きていた!? "
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【付録】 「コズミック フロント☆NEXT」 関連情報
ESA,NASA,HEIC and The Hubble Heritage Team (STScl/AURA)
☆☆ 死に行く星と星の進化。
全てのものに永遠の命というのはない。
人には寿命があるように、夜空に輝く星にも寿命がある。
太陽も最新の天文学では100億歳余り(109億歳)で寿命を迎えると言う。
現在、太陽は46億歳なので、63億年後には今の形は失われる。
☆ 永遠の命はない。
夜空に輝く星にも寿命があると聞いたら、動揺しないだろうか?
星になった人たちは、いったいどうなってしまうのか?
星になったことで、永遠に生き続けるのだと思っていたのに。
星の行方を探してみる。
☆ 生まれた時の重さが星の運命を決める。
人に誕生と死があるように、星にも始まりと終わり、誕生と死はある。
人の一生は、その人の生き方によっていくらでも変わるけれど、星の一生は誕生した時の質量で、ある程度運命づけられている。
軽い星ほど地味だが寿命は長く、重い星ほど一生は華々しく、そして短い。
☆ 華々しく消えるか、細く長く生きるか?
太陽くらいの質量ならば、その寿命は100億年くらい。
逆に、太陽の10倍の質量ならば1,000万年くらいで寿命を終える。
人類が誕生したのが700万年前くらいと考えられているから、だいたいそれくらいの時間スケールだ。
人類は華々しく消えるのか、それとも細く生き長らえるのだろうか?
☆ 核融合で輝き出す。
仮に太陽程度の質量の星について考えてみよう。
太陽のような恒星は中心にある中心核で水素Hを核融合させることで、光り輝き出す。
Hの灯が灯った時、それが誕生だ。
4個のH原子核が1個のヘリウムHe原子核に置き換わることで、エネルギーが放出される。
Hがどんどん核融合を起こすと、星の中心にあった中心核はやがてH主体であったものがHeの核へと置き換わる。
☆ 自身の重力で潰(つぶ)れ始める。
Heの中心核は、Hの中心核よりも密度が高い。
そのため核融合反応で星が膨張する力と、星の重力で収縮するバランスが崩れ、星は自身の重力収縮する力で潰れ始める。
☆ 赤色巨星への進化。
すると今度は、中心核での圧力が高まり、その圧力によってHeの核の外周にあったHが再び核融合を始める。
この核融合が始まると、外層は膨張を始める。
膨張することで温度は下がり、色温度が下がって赤い赤色巨星という天体へと進化する。
☆ やがて宇宙の暗闇に紛(まぎ)れて行く。
Heの核はそのまま収縮を続け、小さくて重い天体である白色矮星(わいせい)となる。
その白色矮星も次第にエネルギーを失い、やがて黒色矮星となって、宇宙の暗闇に紛れていく。
現在から77億年後、誕生から123億年後のこと。
☆ 親星に飲み込まれても生き残る惑星。
星としての寿命を終えて赤色巨星となると、喘(あえ)ぐかのような脈動を始めて、次第に膨張して行く。
1天文単位、つまり太陽から地球までの距離にある惑星は、この膨張によって飲み込まれると考えられている。
但し、2011年の科学雑誌Natureには、赤色巨星の段階を経た親星から0.006天文単位と0.0076天文単位しか離れていない地球サイズの小型惑星が報告されている。
飲み込まれても生き残る道が何かあるようだ。
☆ いつかどこかで。
今回のテーマは星の行方だ。
脈動を始めた赤色巨星は、同時に周囲に外層のガスを吐(は)き出すようになる。
このガスの姿が「惑星状星雲」として捉(とら)えられている。
死に行く星がこれほど美しい輝線(きせん)を放てるならば、老いて行くこともそれほど悪くない。
そうして、宇宙空間に拡がるガスは、いつかどこかで新しい天体の材料となる。
まるで仏教の輪廻転生(りんねてんしょう、りんねてんせい)だ。
次は一等星として輝くかもしれない。
地球のような生命溢(あふ)れる天体になるかもしれない。
宇宙のどこかで新しい生命に生まれ変わるのかもしれないのだ。
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