https://gokoo.main.jp/001/?p=4935 【《俳句の相談》俳句はなぜ短いか①蒸し暑さに適応】
俳句は世界でもっとも短い定型詩です。この短い詩がなぜ日本で誕生したのか。
これにはふたつの理由が考えられます。
ひとつは日本の夏が高温多湿でたえがたい暑さであるために、言葉はできるだけ短いものが求められたということが考えられます。
*参考=長谷川櫂『和の思想』中公新書
https://gokoo.main.jp/001/?p=4937 【《俳句の相談》俳句はなぜ短いか②禅の思想】より
もうひとつは中国の宋・南宋から伝わった禅の影響が考えられます。
禅は言葉に対してふたつの相反する考え方をもっています。
1)言葉では真理に到達できない。つまり言葉を信用しない。
2)しかし言葉は真理に到達するための有効な手段ではある。
このふたつの考え方が合わさると、言葉は短くなるしかありません。
禅の語録に残されている禅の言葉が短いのはそのためです。
中世以降、禅のこの思想が日本に流れこみ、そのなかから短い俳句が誕生したと考えられます。
Facebook佐坂 輝久さん投稿記事【 なぜ小林一茶の俳句は心に響くのか? 】
「痩蛙 まけるな一茶 是に有」「春風や 牛に引かれて 善光寺」など、耳馴染みのよい名句で知られる俳人・小林一茶。65年で2万句を産み落とした
その生涯は悲愁に始まり、悲愁のうちに終わっています。
自らも長く一茶の句を愛誦し、このたび、弊社より『心を軽やかにする小林一茶名句百選』を
上梓された齋藤孝先生が、稀代の俳人の足跡、出版に込める思いを、『致知』8月号で語ってくださいました。
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俳句というものを五七五の短い詩と捉えれば、俳人・小林一茶は“国民的詩人”と呼べるのではないでしょうか。
作品の親しみやすさでは短歌の石川啄木と並び立つ存在であり、俳聖・松尾芭蕉をも凌いでいると言えます。
「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」「やれ打(うつ)な 蠅が手をすり 足をする」
私も小学校に上がる頃には、このような一茶の句をいくつか覚えていました。
おそらく日本中の人が同じように、いつ出会ったのか気づかないうちに一茶と出会ってしまっているのでしょう。
子供、雀、蛙、蠅、蛍と、一茶には小さいものに温かな目を向けた句がいくつもあり、
ほどよく力の抜けた句風が読む人の心を掴んできました。
私自身も長らくそんなイメージを抱いていましたが、大人になって一茶の生涯を振り返った時、見方が一変しました。
後でお話ししますが、物心つく前に母を亡くしたことに始まり、その生涯はこんな人生があるだろうかと思うほど悲愁に満ちたものでした。
彼の句文集『おらが春』に、長女さとを失った悲痛のうちに詠まれた一句があります。
「露の世は 露の世ながら さりながら」
この世は露のように儚いことは知っていた、命も儚いものだと知っている、それでも、そうは言っても……。最後の「さりながら」の五文字が、強烈に印象に残りました。
あまりに切ない心境が迫ってくると共に、これほどの悲しみに遭っても、一種の「軽み」が句に失われていないからです。
古来、武士が持つような物事に動じない強さは臍下丹田(せいかたんでん)に宿るとされ、胆力と呼ばれてきました。
二十代の頃この胆力を研究対象にしていた私は、一茶のその「軽みのある胆力」の源泉を求め、関連書を読み漁るようになったのです。
そうして『一茶全集』(信濃毎日新聞社)を手にした時、その重みに感動を深くしました。
一茶が六十五年の生涯で遺した句は約二万。あれほどの苦難を経た人間が、時代を超えて共感を呼ぶ句を二万もつくっていた。
これは一茶からの贈り物、プレゼントだと。その贈り物を、現代の私たちはちゃんと受け取れているのか。
せめて百句だけでもしっかり受け取ってみようではないか――。
この度、私が『心を軽やかにする小林一茶名句百選』を致知出版社より上梓するに至った大きな理由は、名句を味わうことで一茶の精神力、「軽みのある胆力」を自然に受け取れると考えたからです。
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「小林一茶名句百選」 ここがポイント
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1、小林一茶俳句入門の決定版
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一茶の句をこよなく愛してきた齋藤孝先生が、 初心者にも親しみやすい100句を厳選。
大人の教養としても身につけておきたい名句が並びます。
2、一茶の壮絶な人生を辿りながら、句を深く味わえる
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幼少期で母と死別、継母からのいじめ、 遺産相続問題、4人の子の相次ぐ死……など、
名句誕生の裏に隠された波瀾万丈のストーリーを 辿りながら、紡がれた句を深く味わえます。
3、読めば心が軽やかになる
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さまざまな試練や逆境と対峙しながら、その壮絶な人生体験を、軽やかな句に 昇華させてみせた一茶の姿と珠玉の句が、 いつもあなたを支え、励ましてくれることでしょう。
4、関連句も含め、約300の名句を収録
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厳選した100の名句に関連する作品も、 それぞれ1~2句ずつ掲載。
「蛙」「蝸牛」「蝶」など、 生き物の名句を紹介したページも。
5、齋藤孝先生によるイラストが20点以上
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句の情景が浮かびやすくなるよう、 齋藤先生自らがペンを取り、 丁寧に描いたイラストを20点以上収録。(「致知BOOKメルマガ 」より)
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