Faceboook出口光さん投稿記事 【あなたの『このはな』は?】
皆さん、おはようございます。「このはな」とは何だと思いますか?
日本を代表する花を現わす言葉です。例えば男の代表は「太郎」、女は「花子」、
花の代表は「此花」(コノハナ)という具合に。まず「コノハナ」ときいて思い浮かぶのは木之花咲耶姫でしょう。
日本最古の書「古事記」に登場する美しい女神です。
神代の時代、富士山頂から桜の種をまいてこの花を咲かせたと言われています。
桜の語源は、この「さくや」が転化したともいわれています。
では「コノハナ」とは「桜」のことなのでしょうか?いえ、そうではありません。
時代と共に、意味する「花」が変遷していきます。
歴史的には、三つの段階を踏んで、進化しているのです。
まず、奈良時代に編纂された「万葉集」では、「この花」と言えば「梅」。
「梅」の歌が118首、桜の歌は44首といわれ、桜よりも、梅の歌が圧倒的に多く詠まれていたのです。
次に、平安時代になると、紀貫之の撰による「古今和歌集」では、「梅」の歌が18首に対して、桜の歌は70首となっているといいます。
つまり、都が京都に移ると「花」といえば桜となったというわけです。
京都御所の「左近の梅」は梅から桜に植え変えられ、平安貴族の花見といえば「桜」になりました。
この時代から桜は、花の代表、つまり「この花」となっていきます。
桜はやがて「大和魂」の象徴となっていきます。
江戸時代の国学者本居宣長は、このような歌を詠みました。
敷島の大和心を人問わば 朝日に匂ふ山桜花
しかし、私は梅の花も捨てたものではないと思うのです。
なぜなら梅は、初春に、桜よりも早く咲き、寒風に揺るぎもしない。
しかも梅は、はんなりと愛らしく咲き、香りも桜を上回る。
梅はその姿が見えなくても、その香りを私たちに運んでくれます。ここからが、大切なのですが。では、「この花」の第三段階とはなんでしょうか?
平成になると、「この花」といえば、人の内面にある魂の輝きを指し、いつしか「個の花」と記されるようになりました。(もちろん、私が言ったのですが(^_-))
個の花は、すべての人にあり、その輝きは梅や桜、いやダイヤモンドをはるかにしのぎます。
しかもいつもあなたの心の奥底で、密やかに咲いています。
さらに、人間の気高さを運びます。それはあたかも花の香りのようです。
その気高さとは、個の花を構成する二つの霊性からきます。
ひとつは、志に生きるという「大和魂」、
もうひとつは、人の心と自然を愛する「大和心」。
「この花」は、時代と共に移り変わってきたのです。
千年以上続いた「桜」も、次の千年には、「個の花」に変わったと言われるかもしれません。
いや、そのようにしたいです。
私たちが咲かせる個の花は、新しい時代の到来を告げているのかもしれません。
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