すべて移ろいゆくもの

Facebook永井 輝美さん投稿記事

■職親プロジェクト

人間には、善い人と悪い人という明確な線引きなんて存在しない。

いろんな要素、状況によって、人は善い人にも悪い人にもなってしまう。

そんな事に気づかせてくれる内容の記事です。

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『 社長になんてなりたくなかった。小学校のときからジョージ・ルーカスが好きで、ハリウッド映画に憧れていた。アメリカに行って映画に関係する仕事がしたいと思っていた。でも、私が家業を継がざるを得なかった。

祖父が塗装屋を開業し、父が建設業にも乗り出した。成功して、一時は年収75億の会社に成長したが、バブル不況のあおりをまともに食らった。私が社長になったときにはマイナス15億円の赤字経営だった。

8歳下に妹がいる。私と同じで、妹もハリウッド業界に憧れていた。関西外大を卒業後、渡米。『ロード・オブ・ザ・リング』の制作に携わるなど、仕事を任されるようになった。日本に戻ってきたときには、私に「お兄ちゃん、ハリウッドのなかに入るパスもらったよ」と自慢したりした。妹が私の代わりに夢を叶えてくれたようで、こんなにうれしいことはなかった。2004年の夏には同棲していた俳優と日本に来て、淀川の花火大会を私と一緒に見た。アメリカで着実にキャリアを重ねていく妹が、私の誇りだった。

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その妹が2005年に殺された。付き合っていた彼氏にめった刺しにされて。ロサンゼルスにすぐに飛んだ。妹の遺体。包丁で20か所以上を刺された妹の遺体を見て、君ならどう思う?

私は「死にたい」と思った。「さぞつらいだろう。痛いだろう。俺もすぐに死んでお前に会いに行くからな」そんなふうに思った。

同行した母は半狂乱に陥った。そして本当に自殺しようとした。妹の死によって、家族が崩壊しようとしていた。

すでに犯人は逮捕されていたが、弁護士は無罪を主張した。「彼は精神科の通院歴があり、強い薬を飲んでいた。犯行時、著しい心神耗弱状態にあったため、事件のことはまったく覚えていない。記憶にない罪状に対して、罪を問うことは理にかなっていない。責任能力のない被告は無罪である」法廷ものの映画に出てきそうなセリフを実地に耳にして、体の力が抜けた。

犯人は資産家の息子だった。3億円の弁護士費用をものともせず、有力弁護士を味方につけた。O.J.シンプソンの無罪を勝ち取ったことがある弁護士だった。

このニュースはアメリカでも大きく報じられた。事件を知った知人からこういうふうに言われた。「裁判、頑張ってください。アジア人が殺されると、彼ら、やたらと裁判を長引かせようとします。裁判の継続にはお金が必要で、普通の被害者家族は途中で裁判に来れなくなります。原告不在のまま、被告側の弁護士が陪審員を説き伏せ、無罪を勝ち取る。そんな裁判はもう見たくありません。戦ってください」

もちろん、私も戦いたい。戦って、妹の無念を少しでも晴らしたい。しかし裁判費用を捻出しようにも、当時会社は借金のどん底だった。何度も家族で話し合った。「会社、いよいよ潰れるかもしれへんなぁ」家族全員が抱いている危機感だった。しかし結論は、こうなった。「正義は金で買われへんやん。絶対戦おう」これもやはり、家族全員の思いだった。

こちらが裁判継続の意思表示をすると、相手方が弁護士を通じてこんな打診をしてきた。「彼は病気だった。心神耗弱状態だった。そう言ってもらえませんか」書面には、和解金として、驚くような桁数の額が提示されていた。

しかし言下に突っぱねた。金は関係ない。

そして戦った。4年間の法廷闘争の末、ついに「責任能力あり」。有罪判決を勝ち取った。

その瞬間、被告はテーブルに自分の頭をぶつけ、吠えた。両手を振り回し、暴れまくった。法廷は興奮状態になった。被告の母親が、つかつかと私たち遺族の前に歩いてきた。一瞬謝ってくれるのかと思ったが、とんでもない思い違いだった。こちらに中指を突き立てて、鬼の形相でこう叫んだ。「ビッチ!」

不思議なことに、私はそのとき、全然腹が立たなかった。哀れみというか悲しみというか、私の胸を覆ったのは、決して怒りではなかった。

「私の妹も可哀そうなら加害者家族も可哀そうだ。被害者を作ってはいけない。同時に、加害者をも作ってはいけない」

そんな気持ちになったのは、初めてのことだった 』

きのう、新大阪駅の定食屋で草刈健太郎さん(カンサイ建装社長)とお会いした。引き合わせてくれたのは僕の患者A氏(某会社の社長でもある)だ。

草刈さんは、職親(しょくしん)プロジェクトという活動をしている。これは、刑務所/少年院を出所/出院した元受刑者を積極的に受け入れて、社会復帰のサポートをするプロジェクトだ。

日本の犯罪者数は減っている。しかし再犯率は上がっている。再犯率48%というのは、服役した受刑者の2人に1人は再び罪を犯す、ということだ。なぜこんなことになるのか?

元受刑者の受け皿がないからだ。働こうにも「元犯罪者」のレッテルを張られ、まともな働き口がない。やむなく再び悪に手を染める。再犯率の高さには、このような構造的な問題がある。

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妹を失った悲しみを乗り越えようとするなかで、どのような煩悶があったことか。僕にはうかがい知ることもできない。しかし、受刑者に対して支援の手を差し伸べることに対して、草刈さんにはまったく躊躇はない。

「決して加害者支援ではない」と草刈さんは言う。「新たな被害者を作らないためには、更生させないといけない。そのための活動なんです」

すばらしい取り組みだ。しかし僕にお声がけ頂いたのは一体どういう、、

A氏いわく「受刑者のなかには、薬物依存症、ギャンブル依存症などの依存傾向のある人も多い。そういう人に対して、先生の得意分野の栄養で何かアプローチできませんか?」

当然可能だと思う。精神的な不安定の背景には血糖値の変動が隠れているものだから、食事の改善は絶対の必要条件として、さらに、トラウマの解消にナイアシン、有機ゲルマニウム、気分のアップダウンを緩和するにはCBDオイル、マグネシウムあたりが有効だろう。

あと、薬物依存の受刑者には、たくさん汗をかかせたい。刑務所にサウナなんかがあれば最高だろう。脂肪に蓄積した毒物をすっかり抜いてやれば、出所後に薬物衝動にとらわれることもなくなり、スムーズに社会復帰できるはずだ。

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栄養の改善によって犯罪傾向が減少する、というのは、僕の推測ではない。明確なエビデンスが存在する。

『若年受刑者の反社会的行動に対するサプリ(ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸)の影響~無作為化比較試験』

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12091259/

少年刑務所の受刑者に対して、サプリ投与群とプラセボ群を設定して実験したところ、サプリ投与群はプラセボ群に比べて、26.3%違反行為が減少した。

「生まれついての悪人」が犯罪者になるのではない。ビタミンやミネラルの欠乏によって、誰でも暴力衝動は起こり得る。異常な犯罪者、善良な一般市民という明確な線引きなんて存在しない。上記の研究が示唆するのはそういうことだ。

真偽は不明だけど「刑務所内の食事は悪くない」とうわさに聞いている。シャバで糖尿病の患者が、刑務所内の麦飯を食べているうちに糖尿病が完治してしまった、みたいな話はよく聞く。しかし栄養療法の観点から見て、改善の余地はあるに決まっている。やるからには、本気でやりたい。貢献できると思う。

ただ、最近、家族サービスにあてるために、クリニックの勤務日を減らし休日を増やしたところなのに、この仕事を引き受けるとなると、また多忙になる(泣)

元受刑者の更生支援、やりがいは間違いなくある。

しかし、自分の時間がまたなくなってしまう。悩ましいところです。

(全文を掲載)

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◆出自;SNS「note」;中村 篤史/ナカムラクリニック (2021年12月8日 00:07)

https://note.com/nakamuraclinic/n/n2b1e3901ddd8

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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