戒壇院

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/1371/ 【かいだんいん

戒壇院】より

概要

奈良時代、観世音寺の一画に、正式な僧になるための授戒の場として戒壇が設けられた。都の東大寺、東国の下野薬師寺とともに天下三戒壇と呼ばれ、現在は廬舎那仏坐像(重要文化財)を本尊とする戒壇院として、法灯を伝える。

ストーリーの位置づけ

奈良時代、非公式に出家して僧を名乗るなど不正が増え仏教界が乱れてきたことから、唐の高僧である鑑真が日本に招かれ、正しい戒律が伝えられた。そして、正式な僧侶になるための戒律を授ける場である戒壇が、奈良の都の東大寺、西国の観世音寺、そして東国の下野薬師寺に設けられ、「天下三戒壇」と呼ばれた。現在の戒壇院は、廬舎那仏座像(重要文化財)を本尊として、法灯を今に伝えている。

https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/20060904【斎戒(さいかい)】より

古来の神職は、祭典奉仕に当たっては現代の神職以上に斎戒を重視していました。斎戒とは、非日常的な「斎」において、その場の者に対する禁忌や制止の事項となっている「戒」を守ることをいい、一般には、祭典に先立って罪や穢れを祓浄した神聖な時空間において不浄を忌避し、飲食や言行を慎み、沐浴などで身の汚れを除き、心身を清潔な状態に保つことをいいます。もっと簡単に一言でいうと、神職が神事に先だって身を清めること、といえます。禊(みそぎ)や手水なども、広い意味で斎戒に含まれます(但し、禊と斎戒はあくまでも別ものであるという考え方もあります)。

斎戒が初めて制度化されたのは大宝元年(701年)の大宝神祇令で、同神祇令では、祭祀を大・中・小に区分し、祭祀に奉仕する者が斎戒すべき期間を大祀は1ヶ月、中祀は3日、小祀は1日と定め、その期間中は、喪を弔うこと、病を問うこと、獣肉を食することなどを禁制とし、それらの禁忌を犯した者は罰せられるという内容でした。

また、かつて伊勢の斎王(伊勢の神宮に奉仕した未婚の皇女)は、初斎院や野宮で3年間にも及ぶ斎戒生活(忌言葉を用い不浄や仏事を避けた生活)を経てから伊勢の斎王宮に赴き、斎王宮においても、斎王としての在任期間中は常に斎戒状態の中で生活し、天皇の御名代として日々宮内の祭事を執り行い大神様に御奉仕されました。

現在は斎王のような職制はありませんが、神社本庁では昭和46年、「斎戒に関する規程」を定め、神職が祭典奉仕する場合、大宝神祇令の中祀以下の制に準じて大祭・中祭の場合はその当日と前日、小祭の場合はその当日斎戒することを、その規程の中で明記しています。以下に、本庁の定めたその「斎戒に関する規程」の全文を掲載します。

『凡そ神明に使へる者は、浄明正直を旨とし、恭敬の誠を致すことを常道とし、祭祀を行ふに当つては、特に斎戒を重んじ、その精神の徹底をはかり、禁忌を慎み、過失遺漏のないやうにつとめなければならない。

一、祭祀に奉仕する者は、大祭、中祭にはその当日及び前日、小祭にはその当日斎戒するものとする。祭祀に参向する者も、亦これに準ずる。

一、斎戒中は、潔斎して身体を清め、衣服を改め、居室を別にし、飲食を慎み、思念、言語、動作を正しくし、汚穢、不浄に触れてはならない。

一、斎戒に関し、一社伝来の慣例等がある場合は、これによる。』

現実には、社殿の大きさや間取りの都合上、もしくは職員の人数の都合上などから、一般の民社でこの規程を厳密に守ることはかなり難しいといえます。しかし、それなりに規模の大きな神社では、斎戒のための専用の部屋があったり、また、祭典奉仕する職員たちが斎戒していてもその間通常の社務に当たることのできる職員を別に確保していたりするため、この規程を厳密に守っている神社も少なくありません。

ところで、斎戒は何も神道だけの概念ではありません。他の宗教においても、神仏に奉仕したり礼拝する前にはまず心身を清めるのが普通で、例えば仏教ではそれを「精進」といったりします。神道における斎戒と対比する意味で、今回はこの「精進」について少し取り上げようかなと思っていたのですが、最近、このブログでは仏教の事例を取り上げていることが多い気がするので、今回はあえて、仏教とは全く関係ない別の宗教の斎戒について記させていただきます。というわけで、神道の斎戒と対比する意味で、イスラームの斎戒について以下に簡単に記させていただきます。

イスラームの斎戒として一般にも広く知られているのは、ラマダーン(イスラム歴の9月)に行われる一ヶ月間の断食(これは継続的な断食ではなく、日の出から日没に至るまでの時間一切の飲食物を摂らずに過ごすこと)ですが、今回はこのラマダーンの斎戒ではなく、ムスリム(イスラームの信者)が毎日行う斎戒について記させていただきます。神道以上に厳密な斎戒の規程には少々驚かされます。

イスラームでは、礼拝をする前、及びクルアーン(イスラームの聖典のことで、日本では一般にコーランと称されます)に触る前には、必ず「ウドゥー」もしくは「グスル」をしなくてはなりません。ウドゥーとは、身体の一部の器官(主に身体の露出している部分)を定まった方法で洗い清めることで、グスルとは、身体の全ての部分を洗い清めることです。

ウドゥーの具体的な内容は、大雑把にいうと、①顔を洗う、②手から腕ひじまで洗う、③頭の四分の一に水をつける、④足や足腕まで洗う、の4点ですが、どちらの手・足から先に洗うか、その所作を何回繰り返すか、その際にどんな言葉を唱えるかなど、これらのやり方は厳密に定められており、また、水を必要以上もしくは必要以下に使うこと、水を顔にぶつけること、必要ではないのに話すことなど、ウドゥーを行う際にはしてはいけないいくつかの禁止事項もあります。更に、ウドゥーを行った直後に、①身体から血液や膿が出たとき、②口一杯に吐き出したとき、③唾したときにその半分以上が血液であったとき、④小便・大便・オナラをしたとき、⑤気絶をしたり酔ったり居眠りなどで意識が失われたとき、⑥礼拝中の笑い声、のいずれかの状態が起こると、そのウドゥーは無効になると定められています。また、ウドゥーに使用する水は純水で清浄で新鮮でなければならず、もしその水が流水ではなく溜まり水である場合には、その貯水池の大きさは縦横9m、深さが30cm以上の大きさで、しかも満水状態でなくてはいけません。

そして、礼拝をする前の斎戒としては通常はウドゥーで構いませんが、①性的関係を持ったとき、②性的な感情のもとに性器から液体が出たとき、③女性の場合生理が終わったとき、④出産した女性の場合出産後の一定の期間が終わったとき、のいずれかに該当する場合は、ウドゥーではなくグスル(全身浴)をしなくてはなりません。イスラームでは、これらは酷く不浄な状態であると考えるからです。グスルの具体的な内容は、大雑把にいうと、①口に水を入れ喉まで綺麗によく濯ぐ、②鼻に水を入れ鼻骨のところまで綺麗に濯ぐ、③身体全体を髪の毛とともに完全に洗う、の3点ですが、洗う手順などは厳密に定められており、その通りに行わなければなりません。この他に、女性の生理期間中、してはいけないこと、あるいは免除になることなどは、別段に更に詳しく定められています。

イスラームにはこのように具体的で細かい規程が数多くあり、教典のない神道とは違い、まさに“戒律の宗教”といえます(ユダヤ教もそうですが)。

(田頭)

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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