裏プレバト

https://stand16.hatenablog.com/entry/2019/03/10/115105 【裏プレバトー夏井いつき先生に言われそうなことー<第1回>「あなたコレ、俳句じゃなくて……」】より

 このコーナーは、ワタクシ・南風の記憶が「俳句ポスト365」と「通販生活―よ句もわる句も―」(いずれも夏井いつき先生が選者)に投稿した俳句を紹介します。

 ワタクシの(安定の)没句と(マグレの)入選句について、自分なりに考えた結果の要因を、夏井先生が“言いそうなフレーズ”に乗せ、面白おかしく書いていきます。

 私と同じ俳句初心者の皆様の参考になれば(私と同じ失敗はしないように・笑)と、あえて「恥」を晒していきます(汗)。

兼題「うらうら」(俳句ポスト365)

「うらうらとソプラノアルト隅田川」(南風の記憶)

結果:没<才能ナシ15点>

【夏井先生に言われそうなこと】

※例の“風流なBGM”に乗って……

夏井先生:あなたコレ……俳句じゃなくて、ナゾナゾですよ。

 「うらうら」とあって「ソプラノアルト」の音が聴こえてきて、隅田川が出てきて、さぁ「これはなぁに?」って。少し教養のある人なら、誰しもが、あの滝廉太郎の「花」の歌を連想します。ナゾナゾとしては、ちょっと面白いかもしれませんが、これは俳句ではありません!(怒)

 あなたは「花」の“合唱”が聴こえてくる光景を描きたかったのでしょう。「だったらそう書けよ!」って話ですよネ。

ワタクシ(南風の記憶)による推敲句「うらうらに流るるコーラス隅田川」

夏井先生:これで一応、映像は描けましたね。ただ……そもそも「うらうら」と「隅田川」そして滝廉太郎の「花」という組み合わせ自体も、ありがちですね。もう少し、読み手をはっとさせる取り合わせを考えましょう。

【プレバト名句コーナー】

「春疾風号外の紐ほどきたる」(Nonstyle・石田明)

先週(2019年3月7日放送)の「プレバト!!」にて、久々に1ランク昇格を果たした石田明の句。号外を「配る」でもなく「受け取る」でもなく、“紐をほどく”という動作を切り取った着眼点が見事な句ですネ! 


https://stand16.hatenablog.com/entry/2019/03/27/001735 【裏プレバト―夏井いつき先生に言われそうなこと―<第10回>「なぜか、ここで唐突に”季語”が出てくるのですヨ」】より

兼題「雪兎(ゆきうさぎ)」(俳句ポスト)

南島の庭にしんしん雪兎(南風の記憶)

【句に込めた意味】

 南島の我が家に、雪兎が贈られてきた。雪兎を眺めていると、庭にしんしんと雪が降る音が聴こえた気がした。まさか、雪の降らないはずの南島に、雪が? この雪兎、もしかしたら雪を連れてきてくれるかもしれない。

結果:没<才能ナシ35点>

【夏井先生に言われそうなこと】

※例の風流なBGMをバックに……

夏井先生:雪の降らない南の島に、雪兎が雪を連れてくるかもしれない。その発想が悪いわけではないですヨ。しかし、句を読んでみた時に、あなたの言いたいコトは、ほとんど実現できていません(苦笑い)。

 頭から読んでみますよ? ――「南島の庭にしんしん」ここまで読んだ時に、ほとんどの人は、どこかの南の島の、ある家のお庭に、雪が「降っている」と想像します。雪兎が雪を「降らせる“かもしれない”」とは、どこにも書かれていません(怒)! 

 へぇ、南の島に雪が降っているんだ……それはそれで、キレイな景色かもしれないのですが、最後になぜか、唐突に季語「雪兎」が出てくる。「南の島に雪が降った」という驚きの出来事のせいで、「雪兎」の存在が、完全に霞んでしまっています。

 このように、自分の言いたいことが表現できていない。これはもう、文句なく<才能ナシ>というワケです(怒×2)。

ワタクシ(南風の記憶)による推敲句

白く降る空を雪兎呼ばん

夏井先生:上五・中七の「白く降る空」というのは、「プレバト!!」の梅沢富美男さんの句(2018年12月6日放送「義士の日のまねきに白く降る夜空」)から採ったのでしょうか(ニヤリ)。この書き方なら、何とかあなたの言いたいことは表現できます。

 ただ……やはり、「雪」と「雪兎」の“言葉の距離”が、近すぎるという問題もあります。もう少し、季語「雪兎」の存在が際立つような「取り合わせ」を工夫しましょう。

【「プレバト!!」名句コーナー】

湯気ましろましらましろよ雪見の湯(梅沢富美男)

※夏井先生による添削→湯気ましろましらましろや雪の出湯(でゆ)

 今や名人10段となり、さらに永世名人をも射程圏内に捉えた梅沢富美男の初期の名句。「ましら」が猿の意味だということ、さらに「ましろ・ましら・ましろ」の調べ、「ゆ」の音の押韻。読んだ人が色々と“勉強”にもなる、知識豊富な梅沢らしい句である。

 意外なのは、梅沢は「プレバト!!」が俳句初挑戦だったということ。それまで、俳句を作った経験はなかったという。ただ、彼は芝居の第一人者。芝居で使われる用語と、俳句のそれとは、かなり共通する部分があるのだろうと伺わせる。


https://stand16.hatenablog.com/entry/2019/04/04/221911 【裏プレバト―夏井いつき先生に言われそうなこと―<第11回>「本当に、”ありがち”な表現ですネ(怒)」】より

兼題「柏落葉(かしわおちば)」(俳句ポスト365)

柏散るコード進行の不規則(南風の記憶)

※「柏散る」は「柏落葉」の傍題。

【句に込めた意味】

 柏の葉が、散っていく。メロディを奏でるかのように。時に速く、時にゆったりと。その様は、まるで不規則なコード進行を奏でるかのようだ。

結果:没<凡人50点>

【夏井先生に言われそうなこと】

※例の風流なBGMをバックに……

夏井先生: 言いたいことは分かりますヨ。分かり過ぎるくらい、よく分かるのですが……いい加減、そろそろ気付いて欲しいものですねぇ(怒)。

 柏落葉に限らず、落葉を何かのメロディに例えるというのは、俳句の世界では、本当にありがちなのです。これがまさに「キング・オブ・ザ・凡人」というわけですネ(ニヤリ)。よほど上手くやらないと、読み手の印象に残る句を作ることはできません。

 それを「コード進行の不規則」? 下五で「不規則」と書いて工夫なさったおつもりかもしれませんが、散っていく葉の大きさは形も大小も異なりますから、わざわざ「不規則」と書く必要はありません(怒×2)。

 あなた、俳句ポストへのご投句は、もう何度目ですか? 自分の作った句が「オリジナリティとリアリティ」を備えているかどうか、そろそろ判断できるようになりなさい(怒×3)。

ワタクシ(南風の記憶)による推敲句

柏散るカノンコードの不協和音

【「プレバト!!」名句コーナー】

河豚鍋の滾るクリスマスの修羅場(夏井いつき)

 ごく初期の「プレバト!!」(2013年12月5日放送)にて、個人的に印象的な一句。

元々は、杉本彩の<才能ナシ30点>査定となった「クリスマス実は食べたい河豚の鍋」の添削句である。ポイントは、河豚鍋を描写した動詞「滾る」である。

「煮える」でも「沸騰す」でもなく、「滾る」なのだ。なぜこの動詞を選択したのかは、後半の措辞「クリスマスの修羅場」を読めば分かる。動詞「滾る」に、句中の人物の“怒り”の感情を託したのである。

 俳句において、描写の言葉の選び方は重要だ。なぜなら、どの言葉を選ぶかによって、そこに読み手の「思い」が変わってくる。漫然とそれらしい言葉を選んでいるようでは、良い句は詠めない。このことを教えてくれる、まさにお手本となる句である。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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