もやもやが露となる

https://www.asahi.com/articles/ASP6N31TTP68PLBJ003.html  【「ワクチンは当面…」と保留した免疫学者 打った理由は】 より

 免疫に詳しい医師で大阪大招へい教授の宮坂昌之さんは昨年、「私は当面、打たない」と新型コロナウイルスワクチンの接種の判断を保留していました。でも最近、接種を受け、「心配です」と訴える人にも「受けたほうがいい」と今は勧めているそうです。その理由を聞きました。

【データで見るコロナワクチン】日本の接種状況は? 都道府県の状況も一目でわかる

 宮坂さんは昨年末、「安全かどうかを確認するにはまだ時間がかかる」などとして接種に慎重な姿勢でした。実際、ワクチン接種後、まれに重度のアレルギーであるアナフィラキシーを起こす人がいて、英国の報告では、100万接種あたり14.5でした。

 しかし宮坂さんは「アナフィラキシーが起きる割合はこれまでのワクチンよりやや高いが、医師がそばで対応すれば、ほぼ救命できます」と考えています。

 宮坂さんは接種会場で問診もしており、「腕がはれたり、熱が出たりするなどの反応はあるかもしれませんが、ワクチンで得られるメリットのほうが大きいと思われます」と話しているのだそうです。

 宮坂さん自身も5~6月、接種を受けました。受けたのはファイザーのmRNAワクチン。接種後、1~2日、腕が少し重いと感じる程度で、痛みはあまりなかったといいます。

 わきの下をさわると、小さな豆状の「リンパ節」がはれてきたのがわかりました。「これは、まさにmRNAワクチンの特徴。素晴らしい」と思ったそうです。

 mRNAワクチンは、リンパ管が集まるリンパ節に流れていきます。リンパ節は、ウイルスなどの外敵に対して免疫系が戦う時のとりでのような場所です。

 ウイルス感染よりも、mRNAワクチンのほうが効率的に免疫系を働かせることが期待されており、リンパ節がはれたのは、すぐに免疫系が働き出した証拠。宮坂さんはそれを実感したのです。

 この仕組みは、国内で使われている米大手製薬企業ファイザーと米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンが臨床研究で、95%という高い有効率を示した理由の一つと考えられています。

 ただ変異ウイルスも流行しています。「変異ウイルスにも効果があるの?」「ワクチンで抗体ができるというのはどういうこと?」「有効率90%はどういう意味?」「熱や痛みもあるらしいけどどれほど?」……さまざま疑問をお持ちの方も多いことでしょう。

 そんな疑問に宮坂さんが答えるオンライン記者イベント「コロナのもやもや解決したい ワクチン編」を6月26日午後5時半から開催します(参加希望者多数につき、登録は締め切りました)。(瀬川茂子)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c01ee957fcf1b1e0deb749925d531f33fe335bc?page=1 【「私はワクチンを接種させていただきます」ワクチン接種が進む中、尾身会長が語った期待】より  3/8(月) 17:55配信

新型コロナウイルス感染症収束に向けた切り札がワクチンだ。日本でも2月14日にファイザー社のワクチンが承認され、一部の医療従事者への先行接種が始まっている。我々はワクチン接種をどのように判断すべきか。政府に医療対策を提言している新型コロナ分科会の尾身茂会長に話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

「私はワクチンを接種させていただきます」

ーーまず最初に、尾身先生は新型コロナワクチンを接種しますか?

ご質問にお答えするために、少しだけ前提をお話させてください。

今回承認されたワクチンは、私どもが当初想定していたものよりも、今のところ安全性、有効性ともに優れたワクチンではないかと考えています。

諸外国の情報だけでなく、日本国内のデータもしっかりと注視していく必要はありますが、私は期待していたよりも優れたワクチンではないかと思う。

したがって、何か特別なことでもない限り、順番が来たタイミングで私はワクチンを接種させていただきます。

私の場合、医療従事者ではあるけれども直接患者さんを診てはいないので、医療従事者の枠ではなく高齢者の枠で順番が回ってくるはずです。

今しばらくは市区町村からの案内を待ちます。

ワクチン接種、リスクの評価は…

Getty Images

ーーワクチン接種のリスクについて、現段階ではどのように捉えていますか?

今のところの情報を見る限りでは、副反応については比較的低く抑えられていると思います。「これではワクチン接種をストップしなければいけない」といったレベルではなく、許容範囲と考えるのが妥当でしょう。

日本でも接種が始まっていますが、これまでに重大な懸念事項は確認されていません。

一方で、海外のデータを踏まえるとワクチン接種による発症予防効果、重症化予防効果に期待が集まります。インフルエンザワクチンよりも効果が期待できると言えそうです。

現在、医療従事者の方々への先行接種が始まり、国内におけるワクチン接種者の数も毎日増えています。今後、思っていたよりも副反応の不安は少ないのではないかということが実感として少しずつ社会へ広がっていくと思います。

これまでは諸外国のデータをもとに語ることしかできませんでした。しかし、今後は接種が進むにつれて、「やっぱり副反応はそれほど多くはないんだ」「結構安全なんだな」と理解していただき、安心感を得ることができるのではないでしょうか。

このワクチンは医療従事者の方々にとって、マスクや防護具にプラスして新たに追加されるバリアです。ウイルスと医療従事者を隔てる壁がもう1つ生まれることで、働く人々の不安を解消し、安心感につながることを期待します。

集団免疫獲得への道「2~3年かかるかもしれません」

ーー高齢者や基礎疾患のある方についてはどうでしょうか?

接種スケジュールについては、様々な不確定要素があるため難しさもあると思います。

いつ接種が可能となるのかはまだ分かりませんが、高齢者や持病のある方への接種を進めることも社会全体が安心材料を手にするために重要です。

新型コロナの感染が拡大する中で、我々の社会は非常に大変な思いをしました。その背景にあった1つの要因が重症化への懸念、そして死亡するリスクへの不安でした。

ですが、ワクチン接種が進み、発症予防効果や重症化予防効果が十分に見えてくれば、社会の中に安心感が広がっていくはずです。

ーーワクチン接種による集団免疫獲得への道筋についてはどのように考えていますか?

*集団免疫:抗体を持つ人を増やし、社会全体で感染を抑制すること。なんらかの理由でワクチンをうてない人も感染から守る効果が期待できる。

高齢者や持病のある方への接種の後に、一般の方々への接種が始まりますが、どれほどワクチン接種が感染を抑えるかは現時点でははっきりとは分かりません。

ワクチン接種で即座に感染者が減っていく、クラスター発生数がゼロになるといったことはなかなか難しいと思います。

集団免疫の獲得を目指していくことになるとは思いますが、恐らくすぐに獲得するということはない。

日本人のうちかなりの割合の人々がワクチンをうったとしても、感染がゼロになるというには当分時間がかかると思います。

今年中にそこまで到達するのは恐らく無理だと思います。

ワクチン接種が進んで、社会において新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスのような存在になるまでには、2~3年かかるかもしれません。

つまり、ワクチン接種が進んできたからノーガードで良い、とはならない。基本的な感染防止対策はこれからもしばらくは必要です。

それだけ、この新型コロナは大変なウイルスだということです。

ここまで「したたかなウイルス」はしょっちゅう現れるわけではない。恐らく一生に一度来るか来ないかといったレベルです。

だからこそ、皆さんにはもうしばらく辛抱していただきたい。

何も絶対に外を歩いてはいけませんということではありません。引き続きマスク、手洗いをしていただき、3密、特にリスクの高い5つの場面を避けるという急所を押さえた対策をお願いします。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9870d6acfaa49ae56188360ca73c4db497758d48  【宮坂昌之先生に聞く―免疫学から考える新型コロナワクチンの今、未来】より

新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に対して全国的にワクチン接種が進んでいます。そのようななかで、安心できる状況に少しずつ近付いていることを感じる機会も増えているのではないでしょうか。しかし一部では「若いから重症化しない」「一度かかったのでワクチンは接種しなくてよい」と誤解している方もいるようです。本記事では、新型コロナワクチンをどのように考えるべきか、今後どのように私たちの生活にワクチンが関わるのかという展望を、宮坂昌之先生(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)に伺います。(全5記事の5)

※本記事は、日本慢性期医療協会との連載企画「慢性期ドットコム」によるものです。

◇リスクとベネフィットを理解することが大切

新型コロナワクチンは1回接種では不十分で、きちんと2回接種することが重要です。ただし、ワクチンを接種するかどうかは個人の選択に委ねられています。なぜなら、あらゆる薬や治療と同じように、ワクチンはゼロリスクではないからです。

しかしながら、これまでに実用化されたワクチンに比べて、新型コロナのmRNAワクチンは神経麻痺まひや脳炎はほぼ出ていませんし、副反応のリスクは非常に低いことが分かっています。たとえばアストラゼネカ社のアデノウイルスベクターワクチンは血栓症を起こすといわれていますが、その割合は100万人に数人(イギリスの調査では100万人に4人:2021年3月末時点)です。

この割合がどの程度のものか、日常のあらゆるリスクと比較してみましょう。たとえば、私たちが飛行機に乗って死亡事故に遭う確率は100万回に数回といわれています。しかし私たちの多くはそのリスクを考慮してもなお飛行機に乗りますよね。また、自動車免許を持っている人が一生のなかで死亡事故に遭う確率は100万回に数十回です。しかし車は便利なので、多くの人が車を運転しています。

つまり、そのものの有用性や一定程度のメリットがあるならば、人はデメリットに目をつぶって利用するし、利用してきました。新型コロナワクチンも同じように考えるべきものの1つです。そして、新型コロナワクチンの場合は、しかるべき健康状態(基礎疾患があるなら、きちんと加療しているなど)で接種をすれば、打たないリスクよりも打つベネフィットが大きい可能性が高いでしょう。そのように適切に情報を得たうえで、リスクとベネフィットを天秤にかけて考えることが大切だと思います。

◇「新型コロナに一度感染すればワクチンは不要」か?

「一度かかったのでワクチンを接種しなくてもよいのでは」「ワクチンを接種せずにいつか自然にかかるのを待つ」という方がたまにいますが、それらは適切な対応ではありません。

なぜなら、COVID-19の自然感染によってできる免疫は十分ではなく再感染の可能性があるからです。しかも新型コロナウイルスに感染した場合、治療できたとしても▽集中力の減退▽記銘障害(新しく体験したことを覚える力)▽疲れやすい――などの後遺症が残る人が一定以上います。すると日常生活に支障をきたし、仕事や学業を休まざるを得ない状況も起こり得るのです。このようなリスクを考慮すると、自然免疫で免疫を得ようとする行為は賢明とはいえません。

◇インフルエンザワクチンのように毎年接種になる?

イメージ:PIXTA

新型コロナワクチンは、インフルエンザワクチンのように毎年接種になる可能性があると考えています。なぜかというと、海外の研究例から総合的に考えると現状はワクチン2回接種後の免疫記憶は最大で1年ぐらい維持されると見込まれるからです。

ただ、世界のどこかで感染が起きている限り変異株は生まれます。特に感染者が多い国・地域では変異株の生まれる可能性も上がります。そのような流れのなかで、未接種者へのワクチン接種を進めると同時に、すでに接種した人の免疫を上げるために追加のワクチン接種を行うこともあるでしょう。

◇変異株の影響で感染性が上がっている現状も

さらに、最近ではインド株など新たな変異株の感染が広がりつつあります。変異株は何が問題かというと、感染性が高い、すなわち細胞の中に侵入しやすいことです。たとえば、これまでは1000個の細胞が感染していたとして、それが1.5倍の感染性になれば1500個になります。するとそれがさらに1500倍、そのまた1500倍と増えていくわけですから、そのぶんウイルスが細胞に侵入した後の感染の速さは格段に上がり、必然的に重症化のリスクも上がるというわけです。変異株の影響で、今までのように「若いから重症化しにくい」という状況も変わりつつあるということ理解しておく必要があります。

◇新型コロナワクチンの未来像

変異株に対するワクチンの効果を疑問視する声を聞くこともありますが、イギリス(アルファ)株が流行していたイスラエルや、インド(デルタ)株が流行しているイギリスでは効果が十分に発揮されています。しかもファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンは有効率が元々かなり高いので、それがたとえば70~80%に低下したとしても効果は十分にあります。もっとも重要なことは、ワクチン接種により重症化のリスクも下がり、死亡者数も減るという点です。

そして将来的にはインフルエンザワクチンのように毎年接種となり、そのうちに新型コロナウイルスが弱毒化して、「もうあまり心配しなくても大丈夫」という状況になる可能性はあります。ただ、それには数年単位の時間がかかるでしょう。それまでは必要に応じてワクチンを接種しながら日々の生活を続けるイメージでいてください。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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