「神」とは

https://textview.jp/post/culture/35494 【スピノザの考える「神」とは】 より

スピノザの思想は「汎神論」であると知られています。哲学者で東京工業大学教授の國分功一郎(こくぶん・こういちろう)さんに、汎神論とはいかなるものか、わかりやすく教えていただきました。

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教科書などではしばしば、『エチカ』に見られるスピノザの思想は「汎神論」と解説されています(ちなみに、哲学ではよくあることですが、これは本人によるネーミングではありません)。「汎神論」とは、森羅万象あらゆるものが神であるという考え方です。日本では「八百万(やおよろず)の神」のような、多神教的な自然崇拝のイメージが馴染み深いと思いますが、スピノザの「汎神論」では神はただ一つです。

もしかしたら「神」という言葉が出てきただけで、関心をすこしばかり失ってしまった人もいるかもしれません。すこしだけ我慢してお付き合いください。というのも、スピノザの考える神は、世間一般でイメージされているそれとは大きく異なるものだからです。すこしずつ見ていきましょう。

スピノザの哲学の出発点にあるのは「神は無限である」という考え方です。無限とはどういうことでしょうか。無限であるとは限界がないということです。ですから、神が無限だとしたら、「ここまでは神だけれど、ここから先は神ではない」という線が引けない、ということになります。言い換えれば、神には外部がないということです。というのも、もし神に外部があったとしたら、神は有限になってしまうからです。たとえば私たち人間は有限です。空間的には身体という限界を持っていますし、時間的には寿命という限界を持っています。

神は絶対的な存在であるはずです。ならば、神が無限でないはずがない。そして神が無限ならば、神には外部がないのだから、すべては神の中にあるということになります。これが「汎神論」と呼ばれるスピノザ哲学の根本部分にある考え方です。これはある意味で、世間で考えられている絶対者としての神を逆手にとった論法とも言えます。誰もが神を絶対者と考えている。ならば、それは無限であろうから、すべては神の中にあることになるだろう、というわけです。

すべてが神の中にあり、神がすべてを包み込んでいるとしたら、神はつまり宇宙のような存在だということになるはずです。実際、スピノザは神を自然と同一視しました。これを「神即自然」といいます(「神そく自然」あるいは「神すなわち自然」と読みます)。

神すなわち自然は外部を持たないのだから、他のいかなるものからも影響を受けることがありません。つまり、自分の中の法則だけで動いている。自然の中にある万物は自然の法則に従い、そしてこの自然法則には外部、すなわち例外は存在しません。絶対的な神が存在しても、超自然的な奇跡などは存在しないということです。

「神」という言葉を聞くと、宗教的なものを思い起こしてしまうことが多いと思います。ですが、スピノザの「神即自然」の考え方はむしろ自然科学的です。宇宙のような存在を神と呼んでいるのです。

このような神の概念は、意志を持って人間に裁きを下す神というイメージには合致しません。彼の思想が無神論と言われた理由はここにあります。もちろんこれはおかしな話です。神を絶対者ととらえるのならば、スピノザのように考えるほかないはずだからです。しかし、そのような理屈が通用するはずがありません。教会権力が政治権力に勝るとも劣らぬ力を持っていた時代において、スピノザの考え方は人々には受け入れがたいものでした。別の言い方をすれば、非常に先進的であったわけです。

■『NHK100分de名著 スピノザ エチカ』より


http://www.isc.meiji.ac.jp/~hirukawa/text/animism.htm 【アニミズムとシャーマニズム】より

▼アニミズム animism (有霊観)

霊的存在への信仰として、人類学者タイラー Tylor が提唱。animaはラテン語で霊魂という意味

人間だけでなく、動植物や無生物にも霊魂が宿っていて、物体から離れても独立して存在しうるという観念

特定の事物に特別な霊的存在が宿るという考えは呪物 fetish 崇拝(fetishism)

霊魂は日本語ではタマ tama (霊魂が宿る球形の石)、カム・カミ kamï (畏れの対象、上方を意味する kamiとは別語源)など

宗教の起源の研究の中で、アニミズム→多神教→一神教、という進化主義的モデルの一種として提唱されたが、このモデル自体は否定されている

しかし、近代的文明社会にもアニミズムは存在する。アニミズム自体が科学的に根拠がないことが証明されたわけでもない

▼シャーマニズム shamanism (巫術、巫俗)

語源はツングース語・マンシュー(満州)語の saman(知る人)。サンスクリット語のśramaṇa(沙門)起源という説もあり

シャーマン shaman (巫師、巫者)という職能者が、トランス状態という、一種の変性意識状態に入って、霊的、超自然的存在と直接接触し、 儀礼を行う

古代日本語ではミコ(貴い人)で、これが漢字の巫女に対応させられた。民間巫者としてはイタコ(北東北)ユタ、カンカカリャー(琉球)など

脱魂型シャーマン

脱魂 ecstasy によって他界を訪問する。狭義のシャーマン。狩猟・採集社会、南北アメリカ先住民社会に多い。男性が多い

憑霊型シャーマン

憑依・憑霊 possession によって他界的存在を呼び寄せる。霊媒 medium としてシャーマンとは区別されることもある。旧世界の農耕・牧畜社会に多い。女性が多い

進化主義的な説が正しいかどうかはともかく、世界宗教(仏教、キリスト教、イスラームなど)が広まった地域(おもにユーラシア大陸)では、周縁化されていることが多い

日本(とくに琉球)は仏教の影響が大陸よりも弱く、民族宗教である神道も含めて、アニミズム、シャーマニズムの文化が根強い

▼シャーマン(と呪術師、占い師など)の仕事

病気の原因を探す、病気を治療する

薬草などによる治療

「気」のような作用による治療?

プラセボ効果 placebo effect

自然治癒の因果関係の誤認によって治ったように感じられる?

呪いをかける、かけられた呪いを解く

呪いの社会的説明→平等主義的な社会では呪いが社会的平等を実現しているという側面もある

死者の霊を呼ぶ・神や精霊を呼ぶ

霊魂仮説、ESP仮説、演技あるいは思いこみ仮説

未来を予言する、その他人生相談

人間に予知能力はあるのか?(決定論と自由意志の問題)

バーナム効果 Barnum effect とコールドリーディング cold reading

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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