http://senbonzakura.skr.jp/05hosomichi/04miyagi/014matsushima/matsushima.htm 【松島 日本三景松島 1 雄島】 より
1689年新暦6月25日、芭蕉と曾良の二人は、塩釜から舟で日本三景松島に着いた。
だいたい言い古されたことであるが、松島は日本第一の美しい風景であって、中国で名高い洞庭・西湖に比べても恥かしくない。湾内は東南の方角に向き、湾の中は3里もあって、中国の名高い浙江のようである。島々が数限りなく浮かんでいて、その中の高くそびえている島は天を指差すかのようであり、横たわっている島は波の上に腹ばっているようである。
あるものは二重・三重に重なって見え、島々は左の方に分かれているかと思うと、右の方につながっているように見える。
まるで子や孫を背負っているような島もあり、抱いているような島もある。
松の緑は色が濃く、枝葉が潮風に吹き曲げられて、その曲がった様子は自然と曲がったように見える。その松島の様子は、物静かで奥ゆかしいものであって、美人の顔を美しく化粧したようである。神代の昔に、大山祇の神がなした仕業であろうか。造化の神の働きは、いったいどんな人が筆を振るって描き、言葉で言い尽くすことができようか、いや出来はしない。雄島が磯は、陸続きで(⇒実は少し離れている)海に突き出た島である。雲居禅師の別室の跡や座禅した石などがある。
また、松の木陰には俗世間を捨てて住む人たちの姿もごくまれに見えて、落穂や松笠などを燃やす煙が立ち昇る草庵で(※)心静かに住んでいて、どういうひとか分らないが、特に心引かれて立ち寄っているうちに、月が海に美しく映って、昼の眺めがまた改まった。
曾良は句を詠んだが、私は句も詠めず、眠れない状態だった。
芭蕉は、ついに松島で一句詠むことは無かった。俗に、芭蕉の句とされている『松島や ああ松島や 松島や』の句は、後世の人が、芭蕉が絶句した気持ちをパロディ風に詠んだ物。松島では、同行の曾良が一句詠んでいる。
『松島や鶴に身をかれほととぎす』…松島よ。ここでは鶴がふさわしい風情なのだから、鶴に身を変えてくれ。今鳴いているほととぎすよ。
https://www.travel.co.jp/guide/article/22916/ 【新しい未来に向かうなら日本三景・松島の雄島を忘れずに!】 より
JR仙石線松島海岸駅から徒歩6分。松島ヨットハーバーや浪打浜駐車場を目指して行くと、雄島の入り口があります。東西40m、南北に200mほどの20分もあれば一周できる雄島。その雄島へ渡るには朱塗りの「渡月橋」を渡って行きますが、この橋、「過去と決別する」橋として知られています。
その昔、ここ雄島は奥州の高野山と呼ばれる霊場で、修行僧らがこの島に入る時、俗世との縁をきったことから始まります。いわゆる「悪縁を切る」ということなので、縁が切れるとはまた違う様相。カップルでこの橋を渡っても、悪縁でなければ別れることはないはず!?
渡月橋を渡ると左右に道が分かれていますが、是非、島に向かって右側に進路をとりましょう。間もなく、「御島真珠稲荷大明神」という小さな祠が見えてきます。白狐が嵐に遭った船を助け、ここ雄島で降りたと言われることから、海難防止の守り神として祀られているのです。このあたりから、ほとんどの木が松ということに気づきます。
松島という地名は、京の鳥羽上皇が雄島に松の苗木を送ったことから、名前が付いたと言われています。それがこの一帯に広まり、全体を松島というようになったのです。
この雄島から観る松島湾の風景はどこで見るより穏やかで、縁を引き寄せると言われる出会い橋の福浦橋を眺められる必見の場所ですよ。
島のあちこちにある岩窟はこの島で修行する僧らが死者の浄土往生を祈って彫ったものです。当初108あったと言われますが、現在確認できるのは50程度。卒塔婆、五輪の塔、法名の彫られたものなど、これをみるだけでも、この島全体が霊場で神聖な場所だとわかります。
なかでも島の北西にある見仏堂の跡地は、見仏上人が法華経60000巻を読誦したとされる、奥の院といわれた場所です。見仏上人は島根から雄島に渡った僧で、高僧の云われ高く、その名が京の鳥羽上皇の耳にまでも入るような人物。彼が12年もの間、この島で修行を続けたという跡は、周りを仏像や卒塔婆で囲まれ、今でもその厳かな雰囲気は観る人の心をひきしめてくれそうですね。
過去から未来へと導かれるトンネル?!
ガイド記事には島に入ったら左回りを推奨しているのが多いのですが、是非、右回りからと言った理由が、この『トンネル』の存在です。右回りで来ると終点にこのトンネルが現れます。まるで、人の入ってくるのを拒むかのような存在感。
このトンネルは、修行僧が岩を削って作ったトンネルで、のみの跡が今でもくっきり残っています。そんなに大きくはないのですが、トンネルの向こうに見える光が、何か新しい兆しのように感じるのは私だけでしょうか?!
「過去と縁を切って、新しい未来に向かう」。そんなトンネルの向こうの光にみえますね。
雄島あっての松島や~!
松尾芭蕉が松島での句を詠めなかったくらい感嘆した松島。その中でも、ガイド記事にもあまり載らないこの雄島は松島湾全体を扇状に見させてくれる穴場スポットなのです。島に入るまでの途中も岩をくりぬいてできた道が、まるで外国の小道に迷い込んだようで、楽しい気分にさせてくれますよ。
島の中にはこの他に、曽良の句碑や国の重要文化財の「頼賢の碑」(見仏上人の再来と言われた頼賢を偲び弟子らが建立)などがあり、文学的にも貴重な場所と言えるでしょう。
https://fupo.jp/article/fukui_oshima/ 【福井県の東尋坊沖合いに浮かぶ無人島「雄島」をぐるっと探検! 雄大な自然と歴史が織りなす景色に癒されました。】 より
雄島のなりたちと、 ”神の島”と呼ばれる理由。
雄島は、今から約1300万年前に噴出したマグマが冷え固まり形成されたといわれます。
雄島を形成する火山岩は、主に流紋岩(りゅうもんがん)と呼ばれるもの。
マグマが流動しながら冷え固まるときにできる、美しい縞模様がみられるのが特徴です。
そして、東尋坊同様に、この岩が織りなす豪快な景観も見どころの一つ。
日本海の荒波や風で侵食されてできた、柱状節理(長い柱を重ねたような形)や、板状節理(薄い板を重ねたような形)といった荒々しい岩肌が続く景観は、東尋坊も含めて国の名勝天然記念物に指定されています。
南海岸で見られる柱状節理
西海岸の岩場にみられる板状節理
また、島内には約1370年前に創建された大湊(おおみなと)神社があり、祀られる神が異国の軍船を退治したという伝説も。
宮司・松村典尚さんいわく、地元の人々にとって雄島は”神の島”。
古くから、航海の安全や豊漁を祈願する信仰の対象となっていたそうです。
「この土地の人々は、海への恐れを感じながらも、豊かな恵みに感謝し、海とともに生きるという考えを大切にしてきました。その信仰心を、海に浮かぶ大きな雄島が象徴していたのではないでしょうか」
と話してくれました。
ぐるっと一周まわってみました。
雄島橋
雄島へは、「雄島橋」を渡って向かいます。
全長224mの、歩行者専用の橋です。
青い空と海に、朱色の橋が映えますね~!
ちなみに雄島に初めて橋が架けられたのは、1937(昭和12)年。
現在の橋は、1981(昭和56)年に竣工した2代目だとか。
歩きながら、橋の両側の波の様子を観察してみると、一方からは大きな波が打ち寄せているのに、反対側では波が穏やかになるという不思議な現象に出合うことがあります。
雄島はその昔、本土と陸続きで、長い年月をかけて切り離されました。
現在橋が架かる位置は水深が最も浅く、高い波が海底に当たって通り抜けることができません。そのため、波のやってくる方向の反対側の海は、穏やかな海となっているそうですよ。
ちょっと海が荒れている日、意識して波の様子を見てみてくださいね。
大鳥居
橋を渡った先にあるのが、神域の入り口にあたる大鳥居。
この鳥居ができたのは、1927(昭和2)年。
当時は雄島橋がないので、鳥居そのものも、それを組み上げる巨大な木材なども、船を使って運んだそう(!)。
また、参道の両脇に鎮座する狛犬の土台となって積み重なっている岩は、雄島を形成する岩(流紋岩)でもあります。
鳥居をくぐって、奥へと進んでいくと…
78段の長~い石段があります。
この石段にも使われているのも流紋岩。
ひとつひとつ異なる縞模様を眺めてみると面白いですよ。
石段を登った先は突き当り。
そこから左に曲がって、時計まわりに進むと、大湊神社の社務所がみえてきます。
大湊神社
その先に静かに佇んでいるのが、大湊神社の拝殿と本殿。
1370年前に創建され、航海、漁業の守護神として崇敬されています。
そして実はこちらの神社、あの源義経が九州・平泉へ落ち延びる際に家臣の兜を献上したり、戦国武将・朝倉義景の庇護を受けていた際に明智光秀も訪れて漢詩を詠んだという伝説も残っていたりと、歴史上の超有名人が深く関わっているんです。
(神社前に、明智光秀が読んだ漢詩を刻んだ詩碑が建っています!)
朝倉氏が織田信長に滅ぼされるとともに大湊神社は焼失してしまいましたが、1621(元和7)年に福井2代藩主松平忠直公によって再建されたのが現在の神社。
天気の良い土日は本殿も開放され、桃山様式を取り入れた華やかな装飾や、中に安置される伊邪奈岐命のけやき一木彫の座像を拝むことができます。
近くには、海に向かってたつ鳥居が。
鳥居の間から、東尋坊を眺めることができ、ここは隠れた絶景スポットでもあります。
さらに、島を巡ります。
雄島にはタブノキ、スタジイ、ヤブツバキなど多数の原生林が自生しています。
これは全国的にも珍しく、このような手つかずの大自然を身近に感じられるのも雄島の魅力。
南から北上する海流も関係してか、温暖な地域でみられる植物が多く、まるでジャングルを探検しているような気分になりますよ。(笑)
雄島灯台
草むらのなかに灯台を発見!
三国の海を照らし、今も漁師たちをガイドしている道しるべなんだとか。
板状節理の岩場
海岸沿いにある岩場にも、こんなに近寄ることができます。
雄島の岩場でみられる「板状節理」は、薄い板を重ねたような形が特徴。
当時のマグマの流れによって、岩が斜めになっており、まるでウロコのような見た目をしています。
同じ島の中でも、場所によって岩の形状や向きが変わっていて面白いですよ。
青くてきれいな海を横目にみながら、歩きます。
なんだかジブリの世界に迷い込んだような気分…。
そうそう、島の中には散策路に沿って、島で見かける動植物の説明や、見どころをまとめた案内板がところどころに設置されています。
詳しく説明されているので、より散策が楽しめます。
磁石岩
北東海岸の先端部の岩には、方位磁石を近づけると磁針が大きく狂う、不思議な「磁石岩」(赤丸で囲んだあたり)があります。
一つの仮説として、この地点の岩に大きな落雷があり、強い電流が流れて協力な磁場が発生したんだとか。
雄島には、このような磁気異常地点が数多くあるので、方位磁石を片手に岩の上を歩き回ってみるのも楽しいですよ。
ヤブニッケイの純林
ぐるっと回った最後には、曲がりくねった細い幹が特徴的なヤブニッケイの純林があります。
熱帯地域で多く見られるクラウン・シャイネス(互いの葉が接触しないよう生長する現象)がみられます。
クラウン・シャイネス。空が割れているみたいに見える!
無人島である雄島は、全国的にも珍しい原生林や雄大な奇岩をはじめ、野鳥や昆虫の宝庫でもあります。
そんな島独自の自然風景は、長い歴史と地元の人々の信仰心によって守られてきました。
神聖な雰囲気に包まれながら、五感を研ぎ澄ませて散策してみれば、もっといろんな発見があるかもしれませんよ。
ぜひ、”神の島”雄島でプチ探検を楽しんでみてくださいね。
※雄島は、越前加賀海岸国定公園の特別保護区に指定され、動植物などの採取は法律でも禁止されています。手つかずのまま残された、貴重な自然を未来に残すために、散策をする際は植物を傷つけたり、ゴミ等で汚したりしないよう気を付けてください。
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