マラリアの治療薬の開発

https://www.bbc.com/japanese/53576156  【トランプ氏、抗マラリア薬の使用を再び擁護 新型ウイルス治療に有効と】 より

アメリカのドナルド・トランプ大統領(74)は28日、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」について、新型コロナウイルスを撃退するのに有効だと再び主張した。有効性が確認できないとする米政権の公衆衛生当局者らの見解と、大統領の主張が矛盾する事態が続いている。

トランプ大統領はこの日、ヒドロキシクロロキンがCOVID-19治療薬として認められなかったのは、自分が勧めたからだと主張した。

「私が何かを薦めると、『使うな』と言いたがる」と、ホワイトハウスで記者団に述べた。

前日の27日には、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏がヒドロキシクロロキンを称賛する内容をツイートし、ツイッターがアカウントを一時制限した。


http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/ja/academics/programs/scicom/2015/201510/04.html 【マラリア治療薬・アルテミシニンの発見マラリア治療薬・アルテミシニンの発見】 より

2015 年のノーベル医学・生理学賞には、大村智氏、ウィリアム・キャンベル氏、トゥ・ヨウヨウ氏の3 名が選ばれました。寄生虫が原因となる病気の治療薬を開発したことが受賞理由となっています。大村氏とキャンベル氏はアフリカで流行する河川盲目症に有効なイベルメクチンを、トゥ氏はマラリアに有効な治療薬を発見しました。ここでは、中国で教育を受けて研究を続けた科学者として初のノーベル賞受賞者であるトゥ氏に焦点を当てます。

マラリアは、マラリア原虫という寄生虫が引き起こす病気で、高熱を出し時には死に至る危険なものです。今なお熱帯地域では感染者が多数出ており、1960年代のベトナム戦争でも多くの兵士が感染しました。体内のマラリア原虫を駆除する薬は、当時いくつかが実用化されていました。しかしどれも副作用が強い上に、薬が効かないマラリア原虫が現れ始めていました。そのため、ベトナム戦争に参戦していた中国は新しい治療薬の開発を目指しました。

トゥ氏らは、古来より高熱の治療に使われていた漢方薬が、高熱の症状を伴うマラリアにも効くのではないかと考えて研究を進めました。その結果、ヨモギの一種である薬草から、マラリアに効果的で副作用も少ないアルテミシニンという物質を発見しました。この物質は、それ自身が持つ不安定な部分と、マラリア原虫が赤血球を壊して作られる鉄とが反応して活性酸素を生じ、赤血球に寄生している原虫を死滅させます。人間の体には赤血球以外の場所に鉄がほとんど無いため、余分な活性酸素が生じず副作用が少ないのが特徴です。薬草からのアルテミシニンの抽出はその不安定さゆえに大変な作業でしたが、不安定さこそが高い効果の鍵だったのです。今ではアルテミシニンを改良した様々な薬が実用化され、マラリアによる死者を世界中で大幅に減少させています。


https://www.thpa.or.jp/content/magazine20170701 【マラリア治療,世界標準へ】 より

 近年,ジカウイルス感染症やデング熱などの蚊媒 介感染症が話題となっている。我が国では輸入感染症として認識されていただけに2014年のデング熱の国内感染例には注目が集まった。2020年には東京オリンピックを控え,海外からの渡航者の増加が見込 まれており,国内に存在しない感染症の輸入が懸念され,また,地球温暖化に伴い蚊の生息地域が拡大 し蚊媒介感染症の感染者数増加も考えられる。そこで,今回は蚊媒介感染症の一つであるマラリアに関し新たに承認された薬剤とその治療について紹介する。

 マラリアはマラリア原虫をハマダラ蚊が伝播することで人体内に侵入し,潜伏期を経て症状を呈する感染症であり,現在5種類が確認されている。2015年の世界のマラリア発症件数は2億1200万件,死亡者数は42万9000人で全死亡者数の70%は5才以下の子どもと推定されている。日本国内にもハマダラ蚊が生息している。現時点でマラリア常在国ではな く,年間70名前後の症例が報告されているが,二次感染は確認されていない。

 最も多い症状は発熱と悪寒で,熱発は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返し,発熱期には頭痛,顔面紅潮や吐き気,関節痛などを伴った後,発汗・解 熱し無熱期へ移行する。発熱発作の間隔は虫種により異なり,三日熱と卵形マラリアで48時間,四日熱 マラリアで72時間,熱帯熱マラリアでは36~48時間,あるいは不規則となる。なかでも,熱帯熱マラリア は発症から治療が遅れると,錯乱などの中枢神経症 状(マラリア脳症),急性腎不全,重度の貧血,低血糖,DICや肺水腫を併発して発病数日以内に重 症化し,致死的となるため,悪性マラリアとも呼ばれている。

 我が国においてマラリアの治療薬としては,クロロキン,メフロキン,スルファドキシン・ピリメタミン合剤等が使用されてきたが,薬剤耐性の熱帯熱 マラリアの増加や薬剤の販売中止等により治療選択肢が狭められていた。さらに合併症のない急性熱帯 熱マラリアに対する治療はドラッグラグの影響も あった。

 WHOガイドラインでは薬剤耐性株の出現を防止,治療効果の向上を目的に,異なる作用機序の抗マラリア薬の併用投与が治療の基本とされ,アルテミシニン誘導体と作用機序の異なる他剤を組み合わせた併用療法(ACT: artemisinin-based combination therapy)が第一選択薬として位置づけられている。しかし,国内でのACTの配合剤の販売はなく,輸 入による使用のみ行われてきたが,2016年12月にアルテメテル・ルメファントリンの合剤(リアメット® 配合錠)が製造販売承認を取得したことで我が国でもACTが可能となった。

 アルテメテル及びルメファントリンは,マラリア原虫の食胞内において作用する。アルテメテルは,DHAに代謝され,アルテメテル及びDHAが有するエンドペルオキシド架橋が赤血球のヘム鉄と反応 することで反応性代謝物を産生し,抗マラリア活性を発揮する。また,ルメファントリンは,食胞でのヘモグロビンの分解過程で,有毒な中間生成体であるヘムから毒性のないヘモゾインへの重合過程を阻害することで抗マラリア活性を発揮すると考えられている。

 投与量は体重に応じて規定されており,初回,初回投与後8時間,その後は朝夕1日2回2日間(計6回),食直後に経口投与する。アルテメテル及びルメファントリンはいずれも主としてCYP3Aによって代謝され,同経路で代謝される薬剤には併用禁忌に該当するものがあるため注意が必要だ。副作用としてはQT延長が報告されており,リスクを伴う患者では心電図モニターの実施等の必要がある。

 この治療薬の承認により,マラリアに対し世界標準の治療を行えるようになった。通常業務では接することの少ない感染症並びに薬剤ではあるが,いつ輸入されるかもしれない感染症に備えることが重要 と考えられる。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200526/k10012445001000.html 【WHO マラリア治療薬の臨床試験中断 コロナ効果指摘も心拍異常】 より

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの治療への効果の可能性が指摘されてきたマラリアなどの治療薬「ヒドロキシクロロキン」について、アメリカなどの研究グループが、投与された患者の一部に心拍の異常が見られたとする研究結果を発表したことを受けて、WHOが行ってきた臨床試験を一時的に中断したことを明らかにしました。

アメリカやスイスの研究グループは22日、新型コロナウイルスの治療への効果の可能性が指摘されてきたマラリアなどの治療薬「クロロキン」や、その一種の「ヒドロキシクロロキン」について、およそ9万6000人分のデータの分析から「効果は認められなかった」としたうえで、投与された患者の一部に心拍の異常が見られたとする研究結果を発表しました。

これを受けてWHOのテドロス事務局長は25日、定例の記者会見で「WHOが行ってきたヒドロキシクロロキンの臨床試験を一時的に中断した」と述べ、今後、安全性に関するあらゆるデータを調査することを明らかにしました。

一方で「ヒドロキシクロロキン」は、自己免疫疾患のある人やマラリアの治療には一般的に安全だとしています。

WHOはこのほか、レムデシビルや、エイズの発症を抑える「ロピナビル」と「リトナビル」を組み合わせた薬などの臨床試験を行っていますが、これらは試験を続けるとしています。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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