Facebook玉井 昭彦さん投稿記事(男のひといき)絶望の先に
人生100年時代。私の老後はバラ色だった。
孫と遊ぶ楽しみ。大学時代の友人たちとの飲み会。東京・上野公園で開く花見。暮れの温泉旅行。市民読書会への夫婦での参加。
振り返るたびに「いい人生だった」と、自賛した。最期を迎えるまで続いてくれることを疑わなかった。ところが昨年暮れ、自宅で倒れて病院へ。重体だった。身体は動かず要介護5と認定された。天国から地獄。すべての計画が吹きとんだ。最後にこんな結末が待っていようとは。我が身の不運を呪った。
自宅で死にたいと、在宅医療を選択した。しかしそれは、妻の老後の人生も奪うことになる。老老介護の厳しい現実を知った。が、妻の言葉に助けられた。
「いまさら立派なホテルに泊まろうとも、名所旧跡を見たいとも思わない。それより訪問してくれる看護師さん、お医者さん、リハビリや入浴サービスの若者たちと話ができるのが楽しい」
いま、タゴールの詩の一節を思い出している。
「わたしは苦しみ、絶望し、死を知って、この偉大な世界に生きていることを喜んでいる」
(千葉県船橋市 下原敏彦 元大学教員 78歳)
https://ameblo.jp/ohtsuka-mae/entry-12725660183.html 【タゴールの詩の紹介~死は生に属する~】より
アジアで初めてノーベル文学賞を受賞したタゴール。
詩・音楽・戯曲・小説・絵画・哲学多方面で才能を発揮した、まさに天才と呼ばれたひとでした。今日はひとつの詩を、ご紹介したいと思います。
Death belongs to life as birth does.
The walk is in the raising of the foot as in the laying of it down.
「死は生に属する、生誕がそうであるように。
歩みは足を上げることにある、足を下げることでもあるように。」
私たちは、未知への恐れや不安から生と死を切り離して考えてしまいがちですが
この詩を初めて読んだ時にはっとさせられました。死ぬことは生きることの中に属している、
そう 確かに親しい人の死、最愛の人の死、そして最期には自分自身の死…
わたしたちは唯一世界平等といえる「時間」という軸の中で誰しもが死を迎えます。
そこからは、どんな偉人もどんなお金持ちも逃げることはできません。
最終的に「死ぬこと」を含めて私たちは自分の人生を生きている。
生と死は表裏一体であり、切り離すことはできないのです。そして、綺麗事に聞こえるかもしれませんがいつか死が迎えに来てくれるからこそ命が有限のものであるからこそ
私たちはこんなにも必死に生きて 必死に生きるからこそ生というものが輝くのではないでしょうか。
今という時が、出会った人々が 愛しくてたまらなくなるのではないでしょうか。
早すぎる死や不慮の事故や事件などによる死は本当に悲しいし肯定できませんが
生まれることから死ぬことまで含めて、全てが「生きること」。
そう思えたら、今以上に生きることが大切にそして死を受け入れることができる気がしました。そんな気付きをくれたタゴールの詩です。
https://www.engakuji.or.jp/blog/28633/ 【すべてを許し受け入れる心】より
南嶺管長が日曜説教会で法話されたことをまとめてみました。
「人々は憎み合い、また殺し合った。しかし、大地はこれを愧じて夏草をもって
それを覆うた。」これは、インドの詩人タゴール(1861~1941)が箱根にある曾我兄弟の墓とされる場所を訪れて作った詩です。タゴールは曾我兄弟による仇討ちの憎しみ、怨みは神(大地)の御心に反するものと表現しました。
私はそれを以下のように仏教的によみかえてみました。
「人々は憎み合い、また殺し合った。しかし、大地はこれらをすべて許しすべて受け入れて緑の草をもって覆うた。」
人の世の苦しみや悲しみ、ねたみ、怨みはあまり良い感情とは言えない。親を亡くした悲しみ、子と別れる悲しみ、そこから生まれる怨みや憎しみ。しかし、こういう心なくして人間の心というものもありえないのも事実です。
仏の心、仏心はこれら人の世の悲しみや苦しみ、憎しみやねたみ、うらみすらそれらすべてを受け入れてくれるものなのです。
大地が緑の草をもってすべて覆った。大地はどんな嵐も照りつける日差しも雨や雪もすべてを受け止めて呑み込んで包み込む。そしてすべてを肥料にして草を茂らせ花を咲かせます。
私たちの心にもどうしようない苦しみ、どうすることもできないねたみやうらみ
があろうかと思います。また、曾我兄弟の仇討ちのようにその時代に生まれたら
そう生きるしかない悲しみというものもあります。
それらをすべて受け入れてくれるのが大地の心、仏心の心です。私たちが
誰一人例外なく生まれながらに持っている心なのです。
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