ルーマニア大使館の「俳句の夕べ」

Facebook向瀬美音さん投稿記事  ルーマニア大使館の「俳句の夕べ」

10月26日、ルーマニア大使館で「俳句の夕べ」が開催されました。

きっかけは私が編集した「俳句ガーデン 秋の歳時記」を大使に贈呈したところその中の作品に惹きつけられ、またルーマニアの俳人の優秀な俳句を目にしてこの企画を提案してきました。

ルーマニア、またその他の国々とズームで繋がって句会をするという斬新な手法で行いました。ズーム画面には30人の海外の俳人、そして地上ではルーマニア大使館に30人ほど日本の俳人が集まりました。海外の俳人の俳句は60句ほど事前に寄せられて、それを中野千秋氏が丁寧に日本語に翻訳して準備しました。

外国の俳人が自分の句を母国語で読み上げ、千秋氏が日本語で朗読する形をとりました。その後各俳人が特選、入選を選びズームで発表いたしました。

初めての体験だったので完全とは言い難いですが、国際俳句にとっては新しい試みといえます。ここに日本の俳人の方々の特選を載せようと思います。

木村聡夫選

16.母が見る秋は鏡の中にあり  Florence Muhlebach (フランス) 

五島高資選  27.風が葉を拾ひてパズル完成す Claudia Ramano (ルーマニア)

星野愛選 19.雨音や鍵盤をゆく秋の雲 Daniela Topîrcean (Dana Top)(ルーマニア)

名取里見選  10.難民キャンプ隼は自由なる Angela Giordano (イタリア)

歌代美遥選 56.ブラウスの下に白鳩空の旅 Cristina Fierbinteanu(ルーマニア)

浅木ノエ選  22.戻らないページに挟む色葉かな Daniela Misso (イタリア)

杉美春選 9 秋の声産声上がるテント村 Angela Giordano (イタリア)

内村恭子選 55.街明り白き寒気がドアノブに  Clerlia Ifrim (ルーマニア)

藤本花選 51.蟋蟀やジャスミンの香が庭満たし ※NICOLETA ȘURPAN ルーマニア

Ovidiu Alexandru Raetchi大使選  14扇開きルーマニアと日本にかかる虹 Elena Zouain(ルーマニア) 

美音選  30.ぶらんこを漕いで子どもは月に触れ Dennys Cambarau イタリア

     38.秋日差す蝶はその影踊らせて  Nadine Léon フランス

千秋選  40.椅子二脚ひとつの毛布分ける夜  Rashmi Mohapatra アメリカ

     46.一瞬の胸の高鳴り桜咲く Eugenia paraschiv ルーマニア

選句発表の後、ルーマニアワインが振舞われ、和やかな懇談の時を過ごしました。この句会にはルーマニアから駆けつけて参加した俳人もいます。27番の作者です。

問題点を改良してまた半年後あたりに第2回国際俳句ズームを行いたいと思っております。


https://ooikomon.blogspot.com/2019/03/blog-post_20.html 【向瀬美音「噴水の飛沫マリアを濡らしけり」(『詩の欠片』)・・】より

 向瀬美音『詩の欠片』(朔出版)、本の背に、「日仏英三か国語句集」とある。序文の山西雅子は、さて、この句集は日仏英三か国語で編まれており、季寄せも三か国語で付いている。美音さんも私も「有季」の俳句を作る立場の俳人だ。とあり、その結びには、

  詩の欠片大西洋に拾ふ夏

 ここまでのびやかな句、しっとりした句、どっしりとした句、冒険句を挙げてきたが、美音さんの句には華やかさ、エロス、自由、郷愁などまだまだ多くの魅力がある。この句集が多くの佳き読者を得るよう心からお祈りする。と記している。また、解説の永田満徳「『国際季寄せ』の意義」は、俳句大学の国際俳句学部は俳句文化の更なる発展に寄与することを目的としてFacebook「Haiku Column」を立ち上げ、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱してきた。二行俳句にこだわる理由は、三行書きにしただけで散文的なHaikuが通用していることに危惧を覚えたからである。 

 「Haiku Columun」のメンバーは1400人を超えて、一日の投句数は100句を下らない。

 と述べ、向瀬美音はその主宰をつとめ、その「全句に目を通し、気になった句はその日のうちに訳して、夜には永田満徳学長からのコメントを得て、毎日発信しています」(「あとがき」)という。どうやら、向瀬美音は八面六臂の活躍らしい。こうした実践の具体的な成果としての句集、1ぺージに訳出されている表記もそうしたレイアウトになっている。一例を挙げると、一句(縦書き)の下に二行の英・仏の訳が付されている。

  純白のシーツの軋み春の昼

 Squeaking of the white snow sheet  spring afternoon

crissement d'un drap blanc comme la neige  apr'es-midi de printemps

(註:愚生の技術では、うまく表記できないので、訳出の表記の雰囲気だけで・・・)

 ちなみに、巻末には、これも「国際季寄せ」として450季語が訳出されている。

 ともあれ、いくつか句を以下に挙げておこう(日本語のみ)。余計なことだが、現代仮名遣いの句ならばともかく、歴史的仮名遣いは訳出された外国語表記にどのようにそのニュアンスは反映されるのだろうか。

  潮騒を籠めて畳むや春日傘     草原を裸足で歩く地球の日

  ひとひらに一つの翳り緋のダリア  秋光を分け合ふ海と空の蒼

  見はるかす夜空の贄や冬隣     くるりくるりちよんかけ独楽のよく回る

  餅間のシチューのセロリ匂ひけり  ぽつぺんに殉教の音海の音

向瀬美音(むこうせ・みね) 1960年、東京生まれ

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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