青天に廻れる枝や榠樝の実 五島高資

Facebook野村 哲也さん投稿記事

もう20年以上、撮り続けている木がある。

ある日その赤松は、雪や風によってボキッと折れた。けれど、まだ生きるんだという強い信念で幹をぐるりと回転させて、また大空へ命を伸ばしていった。その神々しい姿、そして力強さに、僕はいつも大切なものを教えてもらう。骨折した後だから、今年はより多くお話させてもらった以下のブログで詳しく綴っていますので、どうぞご覧ください。

http://fieldvill.blog115.fc2.com/blog-entry-9384.html


https://note.com/jbcde_2019/n/n067eac626f4f 【樹冠は、アートだ 〜クラウンシャイネスを追いかけて〜】より

奥入瀬で樹木ツアーをしていたころ、お客さまからこんな言葉をいただいたことがあります。

「植物たちは、人間が抱えているようなしがらみ無しに、自由に生きられて羨ましいですね」

なるほど、おっしゃる通りでございます。人間として生きていれば、次々と面倒くさいタスクが発生します。気遣いだったり、対人トラブルへの対処だったり……。

こういうの、絶対必要だけど気にしすぎると心を病むのもまた事実。

対人(?)関係のモヤモヤに気を揉むことなく悠々と生きる奥入瀬の森の樹木たちを、羨ましく思う方がいらっしゃるのも、分かる気がします。

植物に、他人への配慮はあるか

しかし、「植物の社会に、気遣いや思いやりはない」という説、これは本当でしょうか。

確かに、つる性木本のフジなんかは、手頃な樹に絡みつき、ツルが林冠に達したら支柱の樹を殺しちゃう、なんてことを平気でやってのけます。もはや気遣いとかそういうレベルの話ではありません。シリアルキラーの次元です。

クワ科のアコウ。高木の枝に寄生して宿主とし、数十年かけてその宿主を絞め殺していくという、かなりお行儀の悪い生態の持ち主。和歌山県日高町にて。

こういう暴挙がまかり通ってしまう植物の世界、やはり「配慮」とか「思いやり」とか、そんなものは無いんだなあ……と思ってたら違った‼︎

照葉樹林では、高木たちがとっても美しい「気遣い」を行っていたのです。

内気な樹冠

森の写真集とかを見ていると、樹々の枝が全く重ならずに成長している様子を撮った作品をよく見かけます。こんな感じのやつ(下の写真↓)。

こちらは、六甲山に生えているスダジイ。枝のまとまりが、互いに重なり合わないように配置されています。森の写真集のほか、子供向けの科学本にも載ることがあるので、見覚えのある方も多いと思います。

この現象は、「クラウンシャイネス(crown shyness)」と呼ばれます。日本語に訳すと「内気な樹冠」。樹々が、枝同士の衝突を避けるため、お互い気配りしているように見えることから、この名がつきました。

クラウンシャイネスが科学論文で初めて言及されたのは、1920年代。それから現在に至るまで、世界各地で様々な研究が進められてきましたが、いまだにクラウンシャイネスが形成される原因は解明されていません。

照葉樹林の上部では、たいていクラウンシャイネスが形成されている。兵庫県神戸市。

ちなみに現在、クラウンシャイネス形成要因については、以下のような説が挙げられています。

①クラウンシャイネスは、樹高が同程度の樹が集まっていて、かつ風が強い森で形成される。そのため、枝と枝が風によってぶつかりあい、折れることによって、林冠の隙間ができると考えられる。実際、風で揺れないように樹を固定したら、クラウンシャイネスは発生しなかった。

②新しい枝を伸ばしたとしても、その枝が隣の樹の枝にぶつかるとたちまち折れてしまう。つまり成長が無駄になってしまう。樹木が枝を伸ばすには、かなりのエネルギーを必要とするため、これは何としても避けなくてはならない。「こっちに枝を伸ばしても、どうせ折れるだけだしな…」と樹木が学べば、枝の成長は止まり、結果的に林冠に隙間ができあがる。

クラウンシャイネスによる、樹木側のメリットとしては、「病原菌・病害虫の感染が防げる」「つる植物の着生を妨げる」「林床の日照条件が良くなる」などが挙げられているのですが、こちらもやはり決定打に欠ける気がします。特に、「つる植物の成長阻止」と「林床の日照条件改善」って、真逆のことやっちゃってない?と僕は思うのですが、どうでしょうか。

いずれにしろ、クラウンシャイネスには、まだまだ謎がいっぱいあるのです。

※クラウンシャイネスについて、さらに詳しく知りたい方は、ナショナルジオグラフィックの記事をご覧ください。めちゃくちゃ興味深いですよ〜↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/070700406/

レッツ・クラウンシャイネス・ハンティング

クラウンシャイネスは、主に熱帯雨林でよく発生する現象なのですが、日本でも場所を選べば見られます。

照葉樹林にいけば、熱帯雨林よりも規模は小さいものの、美しいクラウンシャイネスを鑑賞することができるのです。

クラウンシャイネスの見事な写真を撮ることは、僕の長年の夢でした。しかし、落葉広葉樹林帯の青森に住んだりして、なんだかんだでその機会をとれず。照葉樹林帯の関西に戻ってきた2022年5月下旬、「いまがチャンス‼︎」ということで関西最大にして最後の照葉樹林、奈良県春日山原始林へと出かけました。

原生的な照葉樹林が残る、春日山。レッツゴー。

良いクラウンシャイネスを作ってくれる樹種は、だいたい決まっています。僕は、ブナ科のツブラジイとスダジイの御二方こそ、最高のクラウンシャイネス・クリエイターだと思っています。

原生的な照葉樹林が広がる春日山では、彼らが毎日のようにクラウンシャイネスの展覧会を開いてくれているのです。

スダジイの葉っぱはこんな感じ。

専門アーティストの個展が開かれてるんだから、クラウンシャイネスの写真なんて余裕で撮れるっしょ。正直、はじめはそう思っていました。

しかし、いざ森に入ってクラウンシャイネス・ハンティングを始めてみると、ある問題が発生しました。ツブラジイ・スダジイの高貴なる展覧会を邪魔する輩が現れたのです。

低木層軍団の邪魔が入る…

春日山の森は、以下の図のような階層構造になっています。

ツブラジイたちが作品を展示しているのは、森の最高部である「高木層」。しかし、高木層の下の「低木層」では、サカキやシロダモなど、あまり高くならない照葉樹たちが大暴れ。ヤツらが枝葉を暴発させるせいで、地表にいる我々の視界は完全に遮られます。

の写真(↑)をご覧ください。低木たちの枝葉に上部の視界が遮られて、高木層のクラウンシャイネスが全く見えていません。

おいおいおい、低木層の者どもよ、君たちちょっと落ち着きなさい。今日はシロダモさま御一行に会いにきたんじゃないんだよ…。頼むからツブラジイたちの展覧会の邪魔をしないでくれたまえ……。

な〜んて言っても向こうに通じるはずもなく

何が腹たつって、低木層のヤツらもめっちゃ美しいのです。シロダモの幼木が、西日のスポットライトを浴びて突如ファッションショーを開始したときは、さすがに焦りました。

なんでこういう時に限ってそんなに魅惑的な姿見せてくるかな。今日はツブラジイの個展なんだぞ!なんでお前のほうが目立ってるんだよ!

作品集

まあ、いくら低木層の邪魔が入るといっても、春日山の遊歩道はめっちゃ長い。よく探せば、低木層軍団のちょっかいを気にすることなく樹冠を鑑賞できるスポットを見つけられました。

そこに行って樹冠を見上げると、ツブラジイが期待通りの美しいクラウンシャイネスを用意して待ってくれていました。

おお、これに会いたかったんだよ…。

雲のようにもこもこと広がる枝の塊一つ一つが、森の天井のタイルとなり、樹冠アートを完成させる。その光景は、ドームの天井を想起させます。

林冠の”膜”感がイイ。

曇りかけてきた時の林冠。

樹々の枝葉が作った薄い膜が、森の内部と空を隔てている感じも、すごく良い。照葉樹林では、森と空の境界線がはっきりと決まっているのです。

様々な生命が瑞々しく躍動する、「照葉樹林」という一つの世界を、外界と分離させる、神聖な仕切り。クラウンシャイネスを一言で表現して、と言われたら、こう答えたいです。

上の写真(↑)は、ツブラジイの独立木ですが、こちらもまた、美しい……。樹そのものが一つの芸術作品のようです。

細やかに分岐した枝と、チョコレート色の葉が紡ぎ出す、ミステリアスな枝文様は、まるで万華鏡。

枝と葉、という極めてシンプルな素材で、ここまで摩訶不思議な世界観を創出してしまうなんて。さすがは一流林冠デザイナーです。

クラウンシャイネスが落葉樹林で見られない理由

最後に、クラウンシャイネスの展覧会にお越しになる際の注意事項を。

まず、開催日時ですが、1月1日から12月31日までやってます。常緑樹ですので……

ただ、実際に訪れるときは、晴れの日に来るのがおすすめ。クラウンシャイネスを構成する葉が日光に照らされ、ステンドグラスのようにツヤツヤと輝く様子を堪能できるからです。あの景色は本当に圧巻。

上部にクラウンシャイネスが形成された照葉樹林。

あと、クラウンシャイネスは落葉広葉樹林では見られないので、ご注意下さい。

上の図のように、落葉広葉樹と照葉樹では、枝の伸ばし方が根本的に違います。

落葉広葉樹の葉っぱは薄く、日光を通すので、彼らは枝を何層かに分けて張ることができます。そのため、地表から彼らの枝ぶりを観察しようとすると、一番下の層の枝葉がわさっと茂っているのが見えるだけで、クラウンシャイネスは拝めません。

落葉広葉樹林を下から見上げたところ。葉が無秩序に茂るだけ。

クラウンシャイネスができそうな気配はない。

一方照葉樹の場合は、葉が厚いので、枝を複層的に伸ばすことができません。必然的に、彼らは森の最上階に、1枚だけの薄い枝葉の層を作るしかなくなります。

立体的に枝を伸ばせないので、葉数を増やそうと思ったら平面的に枝張りを広げるしかない。その結果出来上がるのが、クラウンシャイネスなのです。

樹の頂部に葉を集中させるスダジイ。照葉樹はみんなこんな感じで葉をつける。

北海道、東北、信州など、照葉樹林とは縁遠い地域にお住まいの方は、ごめんなさい……。

森が変われば、景色も変わる。だからこそ、いろんな森を訪ね、風景をコレクションする楽しみが生まれるのです。

樹木ツアーで、森の植物たちを羨ましがっていたあのお客様に、照葉樹林の「内気な樹冠」を見せたらどういう感想を抱くんだろう。ちょっと気になります。


https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/070700406/ 【クラウン・シャイネス】より

みなさん こんにちは

「クラウン・シャイネス」とは、木々の葉がお互いに譲り合った結果空が割れたように見える現象のこと

熱帯地域に多く見られるフタバガキ科の樹木が同時期に成長した際に見られるとても珍しい現象だといいます

この現象は1920年代から科学者により議論されていたそうですがいまだその理由は十分に解き明かされていないのだとか・・・

木が遠慮し合い成長する姿に日本語では「樹冠の遠慮」と呼ばれているそう

「クラウン・シャイネス」という言葉を知ったのはカナダCBCとNetflixにより共同製作された「アンという名の少女」L・M・モンゴメリの1908年の小説「赤毛のアン」に基づくテレビドラマシリーズ

赴任してきた女性教師ステイシー先生の森の課外授業でのワンシーン

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つぼみ、花、大小の枝、全てに役割がある今、私たちのまわりにある全ての物はお互いに作用しあっているのそれぞれの特徴をいかして森を豊かにしてるのよ

さらに母なる自然の偉大さを感じたいのなら、木々の一番高いところを見て 樹冠の間に隙間があるでしょ これは謎の現象で「クラウン・シャイネス」と呼ばれる木々がそれぞれ自分の境界線を主張しているみたい

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樹冠が重なり合うことなく、空間を分け合う 多くの樹木が同時に成長した時にのみ起こる現象 お互いの葉が重ならないように、「どうぞ、どうぞ」と譲り合いながら成長していく現象

その言葉を知ってから、森に出かけたときには木々の一番高いところを見上げるようになりました 写真は、2018年5月に生田緑地で撮ったもの

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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