秋

Facebook杉山 開知さん投稿記事·

黄河流域の内陸で紀元前に作られた二十四節気。

宇宙的な地球の位置は世界共通でも、各地の地形的条件によって光や熱への呼応が異なり、なかでも日本の多様性は世界ダントツ。

日本の場合、実際の霜降は北から南へ、内陸から沿岸へ、ゆっくりとまるで冬の道筋を辿るように降りてきます。──霜降は、10月から12月へ、2ヶ月をかけて紅葉前線と霜前線という2つの壮大な季節の日本縦断ツアーの開幕だと思っています。

霜は「宇宙への放熱」──雲という布団がない晴れた夜、地表の熱が静かに宇宙へ逃げてゆくことで、朝日に白く輝く氷の結晶が生まれていく──

一年を一日に例えると、今は夜8時。温かい食事を囲み、大切な人と語らい、心が和む団らんのような──一年で最もクリエイティブな時間帯。

それぞれの場所で、豊かな土用の季節をお過ごしください。

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https://note.com/helio_compass/n/nbd889814fc11?fbclid=IwY2xjawNmkrdleHRuA2FlbQIxMQABHmqwMeCrBsq76XHhsulhbEecgU8cWs9PGvb6GOoKHIxHtF57m0m2WkK5mnI9_aem_XzHszUwJCYfqvmJ0cAXjqw　【【TIMES】2025年10月23日 12時51分 霜降@太陽黄経210°】より

──霜が日本列島を北から南へ、ゆっくりと降りてゆく。10月から12月へ、2ヶ月をかけて冬は訪れる。富士山の雪化粧から東京の初霜まで、太陽系の時間軸と地球の気象現象が織りなす、壮大な季節の物語──

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♫ 空気が澄んで 星が近い / 冬の足音 聞こえてくる / Dawn comes late, sunset falls early / 朝日に溶けて 消えてゆく 北から南へ 山から里へ / Frost paints lace on morning grass / 白い便りが 届く季節

【まとめ】

・2025年10月23日12時51分、太陽黄経210度で霜降を迎えます

・霜前線は富士山から東京まで2ヶ月かけて南下

・霜のルートが地球上に冬の道を描く

・霜は「雲という布団がない夜」に起こる放射冷却

・日照時間は東京で28分、札幌では37分短縮

壮大な季節の移ろいが始まる

──霜降 210度の時空

地球暦が黄経210°「霜降」をお知らせします。

国立天文台暦要項によると、2025年10月23日12時51分、太陽が黄経210度に到達し、二十四節気の「霜降（そうこう）」を迎えます。

春分から210度経過した晩秋の半ば。文字通り「霜が降り始める」季節の到来です。

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HELIO COMPASS 地球暦 / Personal Voyage

二十四節気は紀元前の中国・黄河流域で生まれた太陽暦で、「霜降」はこの地域で実際に霜が降り始める時期に名づけられました。

二十四節気の本質は、太陽系における地球の位置（太陽黄経210度）という宇宙的な座標であり、これは世界共通です。しかし、実際に霜が降る時期は、地球上での位置（緯度・経度・標高）と地形・地質によって大きく異なります。太陽光と熱の受け取り方が、場所によって変わるからです。

北緯43度の札幌では10月25日、北緯36度の東京では12月23日。同じ太陽黄経210度の「霜降」でも、実際の霜は2ヶ月のタイムラグを生みます。この違いこそが、南北3,000kmに及ぶ日本列島の地理的多様性を物語っているのです。

──三つの温もりが重なるドラマチックな時間帯

一年を一日とすると、「霜降」は夜8時頃にあたります。

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家族や仲間で食卓を囲んで、団らんや晩餐など心が和む安堵のひととき。東洋医学では、この時間帯は心包経が活発になり、心を守り感情を整える時間とされます。温かい食事、温かな人との繋がり、そして心の安らぎが重なる、一日の中でも特別な時間です。一日（一年）を回想しながら振り返るさまざまな出来事…。物語のエンディング（冬）が近づくにつれて、一つ一つのハイライトシーンが蘇り、"転"から"結"へと紡がれていく、一年で最もドラマチックな時間帯。

秋の空のように気持ちも揺れやすいこの時期、変化の風の中で季節を確かめるように、"心変わり"が"心づもり"になるまで満を持すのも秋の土用流の過ごし方。夜のとばりに星を見つけるように、ふっと本心本音が見えてくるのも秋の土用マジックです。

2つの前線が日本を旅する2ヶ月のツアー

── 紅葉前線と霜前線

霜降は、単に「霜が降る」という現象を示すだけではありません。この日から冬至までの約2ヶ月間、霜前線が日本列島を北から南へ、高地から平地へと縦断する、壮大な気象ツアーの開幕と言えるでしょう。

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『日本縦断 紅葉前線 ツアースケジュール』

8月下旬〜9月中旬：大雪山（北海道、標高2,291m、日本一早い紅葉）

9月下旬〜10月上旬：知床・層雲峡

10月上旬〜中旬：札幌・青森

10月中旬〜下旬：日光・上高地

10月下旬〜11月上旬：京都・奈良（霜降の頃）

11月上旬〜中旬：東京・鎌倉

11月中旬〜下旬：九州（高千穂峡など）

11月下旬〜12月上旬：鹿児島

『 日本縦断 霜降 前線ツアースケジュール』

10月2日：富士山で初冠雪（標高3,776m）

10月8日：北海道旭川で初霜

10月25日前後：札幌・東北山間部・長野で初霜（霜降の頃）

11月10日：仙台で初霜

11月18日：京都で初霜

11月27日：名古屋で初霜

12月5日：大阪で初霜

12月12日：福岡で初霜

12月23日：東京で初霜（冬至直前）

あなたの街に紅葉や霜が訪れるのは、いつ頃でしょうか？

地球暦でチェックしてみてください。

なぜ霜が降りる? ── 放射冷却のメカニズム

霜は、晴れた夜の放射冷却によって生まれます。

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日中、太陽光で温められた地表は、夜になると宇宙空間へ熱を放射（赤外線）して冷えていきます。雲は地球の布団のような役割を果たし、地表から逃げる熱を反射して戻してくれますが、晴れた夜は布団がない状態。地表の熱がそのまま宇宙へ逃げてしまうため、地表面の温度が急激に下がります。

地表面が氷点下に冷えると、空気中の水蒸気が液体を経ずに直接氷の結晶となる「昇華」（中2理科）が起こります。これが霜です。針状、板状、羽毛状など、朝日に照らされて白く輝く美しい結晶が地表を覆います。

霜前線が描く複雑なパターン

── 地形が見せる冬への道筋

霜前線の南下は、単純な「北→南」ではなく、「内陸・高地→沿岸・平地」という複雑なパターンを描きます。

南北3,000kmに及ぶ日本列島、海・山・盆地・平野という多様な地形が、霜という自然現象を通じて、冬への道筋を可視化してくれるのです。

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気象学的な要因：

放射冷却の効果：内陸部は夜間に地表の熱が逃げやすく冷え込みが強い。沿岸部は海水が熱を蓄えるため、夜間も暖かい。

寒気団の南下経路：冬の寒気は日本海側から内陸を通って南下。太平洋側は黒潮の影響で暖かく、初霜が大幅に遅れる。

標高の影響：標高が100m上がるごとに気温は約0.6度下がる。盆地や高原では冷気が溜まりやすく、霜が早く降りる。

「つるべ落とし」── 日没時刻の驚異的な変化

霜降のもう一つの大きな特徴は、日照時間の急激な短縮です。

まるでジェットコースターが急降下するように、一気に暮れる晩秋の候。今、日中時間はひと月で約1時間も変動し、日没が日ごとに早く、夜明けが遅くなっているのを実感している人も多いのではないでしょうか。

霜降から立冬までの15日間で、日照時間は東京で28分、札幌では37分も短縮します。 これは東京で1日平均1.9分、札幌では2.5分ずつ短くなる計算です。

緯度が高いほど変化は劇的になり、夕方の帰り道の景色が日ごとに変わっていくのを体感できます。北半球全体で見れば、この変化はさらに北極圏の極夜へとつながっていきます──太陽が地平線下に沈み、昼が完全に消える現象です。

「つるべ落とし」とは、釣瓶が井戸を滑り落ちる様子から、秋の日没時刻の急激な早まりを表現した言葉。地球暦では、太陽の南下による日照時間の急減を、太陽系座標での地球の位置変化として捉えます。

紅葉という色彩の交響曲

紅葉とは、「引き算の美学」です。夏の間ずっと鳴り響いていたトランペット（緑）が演奏をやめることで、ずっとそこにいた弦楽器（黄）の音色が聞こえてくる──そんな現象なのです。

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黄葉：緑が消えて現れる黄色

落葉樹の冬支度は、栄養の回収作業から始まります。葉を捨てる前に、大切な栄養を幹や根へ移動させる。この時、緑の色素（葉緑素）が先に分解されます。すると、ずっと葉の中に隠れていた黄色の色素が姿を現すのです。まるで、緑のスポットライトが消えて、舞台上の黄色い役者たちがようやく見えてくるように──葉の中では、まさに「照明の切り替え」が起きているんです。

紅葉：ストレスが生む赤い美しさ

一部の樹木は、冬を前にわざわざ赤い色素（アントシアニン）を作ります。光から身を守るため、そして寒さに耐えるためです。紅葉が美しい年は「冷え込みが厳しく、日中は晴天」の年──樹木にとってストレスの大きい年ほど、鮮やかな赤が生まれます。この美しさは、安らぎではなく、緊張から生まれるのですね！

紅葉前線の南下

霜降の時期、紅葉前線は北から南へ、山から里へと降りてきます。紅葉の条件は、最低気温8℃以下、昼夜の寒暖差、そして日中の晴天。この3つが揃った場所から順に、樹木は鮮やかな秋色を纏います。

【秋の土用の過ごし方メモ】10月20日〜11月6日

✅ 根菜中心の温かい食事（大根、にんじん、さつまいも）

✅ 身体を冷やす甘味や冷菓は控える

✅ 水分のある調理法（煮物、汁物）

✅ 適度な運動（秋は最適な季節）

✅ 冬支度の準備（加湿器、暖房器具の点検）

✅ 衣替え、読書

土用については分かりやすくnoteを書きました。

ご一読いただけると幸いです✨️