https://albireo190.seesaa.net/article/2013-08-01.html 【蜻蛉・トンボ・とんぼ】より
シオカラトンボ 塩辛蜻蛉 トンボ目 トンボ科
前の記事「神としての蛇」の最後の方で、龍について、少しだけ書きましたが、このトンボも英語では、Dragonfly と呼ばれますから、一応「龍」の仲間なのかも知れません。
尤も、チョウを指す Butterfly が、「バター色の飛ぶ虫」というほどのニュアンスの言葉だそうですから、Dragonfly も「ドラゴンのような飛ぶ虫」程度の意味なのだとは思いますが・・・ 日本の子供たちは、昔からトンボが好きだったと思います。
けれど、ヨーロッパの子供たちは、トンボは「刺す虫」だと思っているらしいことを、以前幾つかの本や雑誌などで読んだ記憶があります。
そのひとつは、大手出版社のPR誌に掲載されていた、フランス文学者で、自ら「虫屋」と称しておられる、奥本大三郎さんのエッセイだったと記憶しています。
本当に曖昧な記憶ですが、そこには、フランスでトンボを採集されていた時、フランス人の子供が、トンボは刺すと言って怖がっていたというエピソードが書かれていたと思います。
勿論、トンボが刺すことはありませんが・・・
俗称 ムギワラトンボ 麦藁蜻蛉
僕が、子供の頃、一番よく見かけたのは、シオカラトンボだったような気がします。
そして、ムギワラトンボもよく見掛けた記憶があります。
でも、本当は、ムギワラトンボと呼ばれているのは、シオカラトンボの雌か、またはシオカラトンボの雄の若い個体です。
オオシオカラトンボ 大塩辛蜻蛉 トンボ目 トンボ科
子供の頃の僕の愛読書は、神話や民話、ファーブル昆虫記、そして植物図鑑と昆虫図鑑でしたが、その頃の、トンボの記憶の中に、シオカラトンボの姿はありますが、オオシオカラトンボに就いては、どうも記憶がありません。
目が黒いこと、尻尾の先端部分だけが黒いこと、等々。 見比べて見れば、明らかに違うのですが、飛んでいる所を見ても、見分け難い姿であることもたしかですが・・・
でも、今は見慣れて来たので、飛んでいる姿を見ても、何となく分かるようにはなりましたが・・・
アキアカネ 秋茜 トンボ目 トンボ科
アキアカネは、所謂「赤とんぼ」ですから、シオカラトンボと並んで、子供の頃から、馴染みのあるトンボの一つです。
東京の蒲田に住んでいた頃も、小学四年生の終わりに、今の場所に越して来た頃にも、台風が通り過ぎて、空き地に大きな水溜りが出来ると、赤とんぼの大群が、水溜りの上の空に現れました。
既に、遠い遠い記憶ですが、あの頃は、東京都でも千葉県でも、「公園」ではない原っぱが、あちこちにあって、そこで子供たちは、もっと自由に遊んでいたような気がします。
それが、今よりも良かったと言えるのかどうか・・・虫捕りは好きでしたが、それ以外には、外で友達と遊ぶよりも、一人で本を読んでいたかった僕には、どちらとも言えませんが・・・
この写真は、六月の終わりに撮ったので、まだ赤くない赤とんぼです。
赤くなれば、どの種類のトンボなのか、もう少し見分け易くなるのですが、この状態では、横から撮って見て、胸部の模様で見分けるしかありません。
胸の黒い線の内、左側の線の先が尖っているので、これはアキアカネのようです。
暑さの苦手なアキアカネは、もう八月になった今頃は、何処か涼しい山の中にいる筈です。
そして、やがて秋になる頃、赤とんぼとなって帰って来ます。
ノシメトンボ 熨斗目蜻蛉 トンボ目 トンボ科
これも、分類上はアカネと呼ばれる、赤とんぼの仲間なのですが、あまり赤くはなりません・・・ 通り掛かった建物の、少しひび割れた壁に止まっていました。
コシアキトンボ 腰空蜻蛉 トンボ目 トンボ科
コシアキトンボは、水辺で良く見掛けるトンボです。でも、なかなか止まってくれることはなく、いつも忙しなく、水の上を行ったり来たり、飛び回っています。
初めて、飛んでいる所を撮ることが出来ました。
たった一枚しか撮れなかったので、良くは分かりませんが、面白い羽ばたき方をしているものだと思います。
七月中にアップする予定でいたトンボの記事ですが、ついに八月になってしまいました。
それが、暑さのせいという訳ではありませんが、もう充分なほどに、暑い日々が続いています。でも、今日から漸く八月に入った訳ですから、より暑い日々が、これからも続くと思われます。
年齢に関係なく、熱中症は起こるようですから、改めて皆さんも、ご自愛下さいますよう、お願い致します。
https://jiten.info/dic/world/tonbo-dragonfly.html 【トンボ とんぼ 蜻蛉 (英語ドラゴンフライ dragonfly) 】より
極地以外、世界各地でみられる昆虫。 名前のついてるもので約6000種あり、熱帯地方に種類が多い。旧北区(主に熱帯以外のユーラシア)には一般に多くないという。 日本には亜種を含め約200種がしられる。
昆虫の種類は地球上の動物で最大多数といわれる。このトンボの種類も非常に多いといえるだろう。 それだけ人間の生活上で触れる機会も多く、独特の姿かたちは印象も強く、神話伝承を生み出したのだろう。
日本とヨーロッパで、共に地獄的なところと関連づけながら、意味あいが対称的なのはおもしろい。
日本では、あきつ(秋津/蜻蛉)、あきづ(秋津/蜻蛉)、あけず(蜻蛉)、だんぶり、かげろう、せいれい、とんぼう、などとも。
日本では縁起がよいとか良い意味の伝承がみられるようだ。また特定の種類のトンボに 特別な意味づけがされた。
一般にとることを忌み、殺すと罰があたるという。
秋の季語である。 「とどまればあたりにふゆるとんぼかな」(汀女) 以下のような神話伝承がある。
・アケズ(蜻蛉)
古事記・日本書紀に、 天皇の腕をかんだアブをアケズ(蜻蛉)がとったので トンボをたたえる歌を詠んだ物語がある。
・カミサマトンボ
オハグロトンボのことを言い、とることを忌む。田の神として尊ぶ地域もある。
・盆(精霊会)の時期のトンボ(とくにアカトンボ)
精霊の姿、精霊(しょうりょう)を送迎するものとする風習が全国でみられる。
(京都府北部) 7月1日を「トンボ朔日(ついたち)」と呼び、地獄の釜のふたがあき 赤トンボが生まれる日だとする。
(岡山県) 盆トンボとよび、アカトンボをとると盆がこないという。
・ハンクコッチャ hankucotcha (アイヌ語)
たくさんいるところに行き合わせると縁起がよいとか、もてあそんではいけない、といわれるという。
その他の世界のトンボ神話伝承
・ (ズニ族 アメリカ先住民族)
超自然的な力をもつので殺すのを忌むという。
・「蛇食い」 インディアナ州(アメリカ先住民族)
トンボは蛇の下僕として仕え、蛇を食うのでこの名前。また医者でもあり、南部では「蛇医者」と呼ばれヘビを生き返らせることもある。
・ヨーロッパ
トンボは悪魔的で、世の中に災いをもたらすため魔王から送られてきたという。
多くの国で「天秤 Libra」が語源の言葉で呼ばれる。トンボの形からきているらしい
libellule (フランス語)
Libelle (ドイツ語)
またフランス語でOdonataとも。ギリシャ語odonto- からで「歯」の意味だという。これも特徴的な口から きているようだ。
・ドラゴンフライ dragonfly (英語)
悪魔としてのドラゴン。flyは羽のある虫。古代、爬虫類や昆虫を大きく虫扱いすることは ヨーロッパでもアジアでもみられた。
ダムゼルフライdamselflyはイトトンボ。
・悪魔の縫い針 devil's darning needle (ヨーロッパ)
子供は嘘をつくと口を縫われる、と聞かされる。
・ニンフ nymph (ヨーロッパ)
トンボやカゲロウの水棲の幼虫を水のニンフになぞらえてそう呼ぶという。
古代ローマの、プリニウスの「博物誌」の昆虫の項には残念ながらトンボはなかった。 ミツバチについての記述が大半を占めていた。
・極楽とんぼ
『広辞苑』では「うわついたのんき者をののしっていう」とある。 ウスバカゲロウのことをいうとも。あまり「極楽」とは関係ないようだ。
トンボのことをカゲロウともいったので、昔はウスバカゲロウもトンボの類とされたのかもしれない。
里見弴氏の小説に、生涯のほほんと生きた武士の物語『極楽とんぼ』がある。
Tの字形を天秤にみたてた例は、既に書いたが、土のグラウンドを整地する道具を「トンボ」と呼んだり、印刷原稿の4つの角にトンボ上のしるしがあるのも「トンボ」と呼んだりする。
余談だが、「ドラゴンフライ」は、ウィザードリィやドラゴンクエストなどファンタジーゲームでモンスターとして おなじみである。
FF11/FFXIには「ガガンボの腹虫(ががんぼのふくちゅう/Damselfly Worm)」というアイテムがあるようだ。
参考資料
・広辞苑(資料は第六版)
・世界大百科事典 (執筆者:小島瓔礼(ネに豊) 平凡社)
・日本大百科全書 (小学館)
・大辞泉 (JapanKnowledge)
他
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