https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12674086896.html 【名を問われ「しらん」というて怒られる】より
名を問われ「しらん」というて怒られる( なをとわれ 「しらん」というて おこられる )
周辺を散歩していると、夏の花がどんどん開花してきて、いつの間にか春が過ぎ、だんだんと夏らしくなっていくことに驚かされる。
今日取り上げる「紫蘭(しらん)」も、季語としては夏に分類される花だが、4月半ばから咲きだし、春の花だったかなと勘違いするほどだった。
しかし、今になっても勢いは衰えず、プランターなどで育てられたものだけでなく、野生化して川端などで自生しているものも数多くの花を咲かせている。
本日の掲句は、そんな花を見ながら詠んだ戯れ句である。既に言い古された駄洒落の句だが、息抜きのため掲載することにした。
面白いことに、俳句の大先生である高花虚子氏も、以下のような句を詠んでいる。
吾知るや雑草園に紫蘭あり
君知るや薬草園に紫蘭あり
どちらを先に詠んだのかは分からないが、いずれも「しらん」を意識しての句と思う。もっとも、「紫蘭」が薬草だったとは知らんかった。鱗茎から取った漢方薬は白及(はくきゅう)と呼ばれ、血止め、痛み止め、慢性胃炎などに用いられてきたそうだ。
因みに、「紫蘭」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
①うなだれて紫蘭の花やこぬか雨
②知らぬ間に紫蘭の咲きぬ疎水べり *原句一部修正
①は、二人の若い男女が小雨ふる中、何やら言い合いをしていて、女の方がぷいと後ろを向き、うなだれて「知らん・・・」と小さくつぶやくというシーンをイメージしたものである。(この句から、そんな場面を想像できる人はいないと思うが・・・。)
②は、上五の「知らぬ間」と「紫蘭」をかけた駄洒落句。
「紫蘭」は、ラン科シラン属の宿根草。日本、台湾、中国などが原産地。花期は4月から5月。花は紫紅色で、花弁は細長く、あまり開ききらないような感じで俯いて咲く。観賞用に、花の色が白色のもの、斑入りのものもある。名前は、紫色の蘭であることから。
比較的よく見られる花なので、「紫蘭」を詠んだ句はままある。以下には、ネットで見つけた句をいくつか選んで掲載した。
【紫蘭の参考句】
いちにちの雨の夕澄む紫蘭かな (岡本眸) 紫蘭咲き軒端流るる水の音 (大堀鶴侶)
紫蘭咲く艶めきおりし屋根瓦 (榎本眞千) 紫蘭咲く雨上りたる石に觸れ (香下寿外)
紫蘭いま紅をふかめて雨の中 (雨宮抱星)
https://blog.goo.ne.jp/matukaze_2006/e/b77c746c387386fa4a1b8969290af3ba 【紫蘭 花鳥風月一葉一句】より
読んで字のごとく蘭の一種で多年草。庭にも植えられて良く見かける花。
葉は広針形をした縦に皺があり強靭な質を持っている。葉芯から一茎飛び出しその先に紅紫の花を数個つける。その花がなんとも愛らしい。葉の緑と相俟って紅紫の花をなおさら美しくさせている。森林公園でカメラを向けていると「何の花ですか」と通りがかりの人に良く聞かれる。「あ~紫蘭の花ってこの花ですか」と御返しされたりする。名前だけ聞くと案外有名な花だが、実体は案外、認識されていないのかもしれない。クローアップして見てみるとなお更分からなくなる。
多年草の花は、毎年咲いてくれるので、咲くと昔の今日の事を思い出したりする。紫蘭の花はそんな草花の一つかも知れない。
紫蘭咲き満つ毎年の今日のこと 高浜虚子
https://gptelemann.wordpress.com/2009/05/19/%E7%85%A7%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%82%93%E5%90%9B%E3%81%AE%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E6%AD%B3%E6%99%82%E8%A8%98%E3%80%80%E3%80%8C%E7%B4%AB%E8%98%AD%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%80%8D/ 【照れまん君の俳句歳時記 「紫蘭・シラン」】より
手入れせぬ庭に紫蘭の咲きにけり 照れまん
(1)
「この花の名前、何て言うのか知らん?」「知ら~~ん!」 もしもし、誰でも考えそうな詰まらん駄洒落は 止めなしゃれ。ごめんなさい。 シラ~~~ッ、 ん?? チャック
庭に咲いていても名前を知らなかったので、パソコンのフォルダ名には、「エビネランみたいな花」 と、書いていた。エビネランを知っているわけではないのですが、何となくそんな名前じゃないかなと言う感じで、当てずっぽうの名前を書いていた。 いよいよ、アップしようと名前を調べ始めたら、エビネランではなかった。 エビネランの下に、よく似た花 シラン というのがあった。ここをクリックしたら出て来た。ありゃりゃ!この花だは~~。ビンゴ~。 「 しらん・シラン・紫蘭 」インターネットというのは、実に便利で有難い。
子供の頃から庭に咲いているこの花を、「紫蘭」だとようやく知った。
(2)
被子植物門・単子葉植物綱・ラン目・ラン科・シラン属 学名 : Bletilla striata Reichb.fil
Bletilla はスペインの薬剤師 Blet さんにちなむと書かれています。 striata は縞模様がある ということだそうです。
和名 : 紫蘭 シラン 別名 : 紅蘭、 朱蘭、 プレティラ、 その他いくつもあり
原産地 : 日本・台湾・中国 と書かれています。地下にある 偽球茎 は 白及(びゃくきゅう)と呼ばれ、一年に一球づつ増えるそうです。
偽球茎は偽鱗茎(ぎりんけい)とも呼ばれ、漢方では止血・排膿に用いられる。
白及根は漢方では、ひび・あかぎれ の薬に用いるとあります。
(3)
蘭(らん)の花 はとても育てるのが難しい。
その昔、母が蘭に凝りはじめて、蘭を育てるので温室を作りたいと言い出した。そこで、父がビニールパイプをバーナーで曲げて、1坪くらいの温室を作った。棚を作り、小さな鉢植えの蘭を幾つか並べていた。どんな蘭を育てようとしていたのかは記憶にないのですが、鷺草 だけは、花を見た記憶があります。
温室を作った翌年、目出度くも大きな台風に襲われ、綺麗さっぱり温室は飛ばされ、全滅! その残骸のビニールパイプを拾い集めました。それ以後、母は 蘭を育てるのはあきらめ、手の掛からない樹木を植えはじめました。今はジャングルみたいになってます。
話を戻しますが、紫蘭 は温室を作った時の生き残りかと思いましたが、私が子供の頃、すでに庭に咲いていたように思いますので、それ以前にあったものと思われます。
紫蘭の説明を読むと、極めて丈夫で、育て易い宿根草の地生蘭。乾燥にも過湿にもよく耐え、栽培し易い蘭、と書いてある。だから、手入れをしない我が家の庭にも、枯れずに咲いているのですね。
(4) お隣の庭の 白花紫蘭
俳句では、「紫蘭」 は 夏の季語。初夏、5~6月頃に咲きます。「紫蘭」は、大きな俳句歳時記には載っていますが、小さい歳時記には載っていません。
大きな歳時記でも説明は簡単で、例句は僅か。その中から、二句紹介してみます。
君知るや薬草園に紫蘭あり 高浜虚子
紫蘭は観賞花。ところが、薬草としても、重要な植物。その事を踏まえて、ここでは虚子氏もちょっと言葉遊びをしていますよね。
シル(知る) と シラン(紫蘭) とを・・・・。(もしもし、何をニヤニヤしてるんですか?あんたはんと虚子先生とでは、ぜんぜ~~~ん、違います! 一緒にしたら、あきまへんで~!) そうですか。ゴメンナサイ。(^∪^) ペコリ!
紫蘭咲いていささかは岩もあわれなり 北原白秋
白秋氏の句。私の持っている歳時記の三冊に、この句が載っています。この句は、上六・中八・下五 の字余りになっています。そうなのかなと思い、インターネットで調べてみましたら、4件この俳句が出てました。「紫蘭咲いていささか岩もあわれなり」と、中七になっています。歳時記の三冊には、「~いささかは岩も~」の 「は」 があるのですが、インターネット検索で出て来た四つのうち、三つには 「は」 がありません。
一つには、「は」 はありました。何故、どうして?たった1文字ですが、大問題。
色々見てみるのですが、どちらが正しいのかは解らずじまい。
まさか、「日本大歳時記」やその他の歳時記が、三冊も揃って間違えるとは、考えられませんが・・・。 とりあえず、クエッションマーク ??? にしておきます。
(5)
インターネットで 「紫蘭の句」 を探してみたのですが、あまり多くは見付ける
ことが出来ませんでした。その中から、二句だけ紹介してみます。
鳩鳴けり八雲旧居に紫蘭咲き 長谷川史郎
西行の歌碑に紫蘭の影伸びる 伊吹 嶺
どちらも、いい俳句ですね。最初の句は、松江で詠まれた句でしょうか。
俳誌の中から一句。
紫蘭咲く母にもらひし帯の色 西島淺香
S H I R A N
紫蘭 の花言葉:「あなたを忘れない」・「お互い忘れないように」「変わらぬ愛」・「薄れゆく愛」上の花言葉は多くのサイトで見つけましたが、別のサイトで、たった一つだけ
見付けた花言葉 : 「不吉な予感」・「美しい姿」・「楽しい語らい」
(6)
紫蘭咲いて洒落が右脳をかけ廻る 照れまん
(しらんさいて しゃれが うのうを かけめぐる)
芭蕉さん、ゴメンなさい。夢がかけ廻る ならいいのですが・・・・。一度、駄洒落を思い付くと、もうそこから逃れられなくなってしまい、どう考えても駄洒落句しか出て来ません。
う~~ん、切腹!ではでは、最期に、今日撮ったばかりの取れ取れの、紫蘭の写真を 2枚。
紫蘭を撮ろうと庭に降りたら、モドキジュニアが付いて来ました。モデルにしてやるから、おいで、というのに言うことをきかず、廻りをうろうろしてばかり。ちっともじっとはしてくれません。 そこで、 パチリ
(7)
猫の来て紫蘭のにほひ嗅いでをり 照れまん
久しぶりに、ジュニアの写真。 上 ↑もうちょいと近かったらよかったのですが。 ちょっと小さすぎ。
ところで、今年の花は、少し色が薄いような気がします。もうほとんど枯れかけている、最期の花だからでしょうか。その僅かに残っている花を一枚。
(8)
エプロンにフリルの飾り紫蘭咲く 照れまん
これだけ 紫蘭 を書くと、もうこの花を 知らん とは言わなくて済みそうです。
今回は、夏の季語。
我が家の庭に咲いている、初夏の花 「紫蘭」 を載せてみました。
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