湯湯婆(ゆたんぽ)のコポとこの世を眠らせる 久留島元

https://www.yomiuri.co.jp/kodomo/fromeditor/notice/20210205-OYT8T50020/ 【【俺はググらない】どうして人は夢を見るのか 久留島元さん「昔の人は夢を買ったり盗んだりした…?」】より

 夢と言えば、空想上のバクという動物。なんと夢を食べるという言い伝えがあります。これって、妖怪なんですかね? 妖怪の専門家と言えば、京都精華大学特任講師の久留島元さん(中世文学)。日本人がバクや夢のことをどのように考えてきたのかを久留島さんの案内でたどってみましょう。

 ちなみに今回のインタビューとは全く関係ありませんが、久留島さんは俳句にも精通しています!

 初夢になにかの店でなにか買う 久留島元

『和漢三才図会』三八巻獣類に描かれたバク。国立国会図書館デジタルコレクションより

 夢を食べると言われているバクはもともと、実在のバクをもとに想像された、中国の古典に出てくる動物でした。「鼻がゾウのようで、体がクマのようで、目はサイに似ている」と描写されていて、まあ一言で言うとよく分からない動物ですね。でも麒麟や獅子のような空想上の動物と一緒に描かれることが多く、バクの姿を絵に描いておくと魔除けになる、という言い伝えが中国にあったのです。中国では、バクは特別に夢と関連づけて語られることはないようです。

 バクのことを書いた中国・唐代の詩人、白楽天の詩が平安時代に日本に紹介され、日本でもバクの存在が知られるようになりました。で、どういうわけか日本ではバクが「夢を食べる」という話になったのです。たとえば後小松天皇(1377~1433)または後陽成天皇(1571~1617)が夢に宝船を見て、その絵を描いたとき、「獏バク」の字を宝船に書いたと言います。これは伝説に近いお話ですが、バクというのは縁起の良いものと見なされていたことがこうしたエピソードからも分かります。

 江戸時代にはバクのお札が売られていたのだとか。その様子が、井原西鶴の「好色一代男」に出てきます。江戸時代の人は初物を食べると寿命が延びると言うくらい、初物が大好きだったので、夢も初夢で縁起のいいものを見たいという風潮が生まれてきました。それがバク信仰と結びついて、「バクのお札を持っているといい初夢が見られる」と信じられていたようです。中国では単に魔除けの効果を持つと言われていたバクが、日本に渡ってきたときに、魔除けの種類が夢に限定されたのです。その中で、「悪い夢を食べてくれる」という話が広がったようです。中国には、初夢を重視する文化はあまりないと思います。

 では、夢そのものはどのようにとらえられてきたのでしょうか。日本では、神様、仏様からのメッセージが夢に出てくると言われていました。昔話のわらしべ長者も、長谷寺の観音から夢でお告げをもらい、そのお告げに従って行動することでお金持ちになる話ですよね。夢は自分でコントロールできないことから、死後の世界や前世とつながっていて、不可思議な世界と交流する場だと考えられてきました。自分たちの世界とは違う世界があって、自分たちを動かしている。そういう「裏側の世界」が夢とつながっていると言うのです。そういう場だからこそ、神仏とつながってお告げがもらえたのです。

 その一方で、いいお告げの夢は、実は見るだけでは成就しないという側面もありました。専門家に、夢の解釈を聞かないといけないのです。「宇治拾遺物語」には、ある男が都をまたぐ夢を見た話が残っています。その夢を奥さんに話すと、「股が裂けそうだね」と言われてしまいます。その後、専門家にみてもらうと、「世界を股にかけるという意味。すごく出世するけど、つまらない人にしゃべったので、最後には失脚するでしょう」と言われるのです。その男が、大納言まで上り詰めたのに応天門の変で失脚した伴善男でした。

 一般の人には夢の意味は解釈できないけれど、「裏側にある世界」のことを知っている陰陽師などの専門家の人なら解釈できる、というわけです。逆に言うと、むやみに他の人に夢の話をすると、つまらない解釈でつまらない結果になる、という戒めでもあります。いい夢について人に知られると盗まれてしまう、と考えられていたのです。

 夢が盗られてしまうなんて、現代の感覚から言うととても奇妙ですが、夢をもらったり売り買いしたりしたエピソードも残っています。吉備真備が若い頃、夢の専門家に相談に行ったところ、次に相談した人の夢がとっても縁起の良いものだったので、「あの人の夢を買う!」と申し出ます。夢を買ったところ、大出世したのです。似た話として、北条政子が妹の夢をもらって出世したという話もあります。

 夢はただ見るだけではなく、その後夢をどう扱うかによって人生に良い影響も悪い影響も与えると考えられていたのです。いい夢でも悪い解釈で変な方向に転がるのと同じように、悪い夢でもポジティブに解釈されることでいい方向に転がることもあると信じられていました。もしかしたら、「言霊」のようにイメージを言葉にする時の力が人の心理に作用することを昔の人は経験則で知っていて、それが信仰レベルになっていったのかもしれませんね。

 「どうして人は夢を見るのか」他の人の回答は…

 ◇とにかく明るい安村さん(お笑い芸人)「夢で予行演習をしているのかも」

 ◇松田英子さん(心理学者)「夢は現実とリンクしている」

 ◇三島和夫さん(睡眠医学研究者)「夢を見ることで記憶が整理されている」

 ◇斎藤環さん(精神科医)「夢は心の健康のバロメーター」


https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/06/10.html 【【俳人インタビュー】久留島元さんへの10の質問 質問:西原天気】より

Q1 今週、何句作りましたか?

先週は0句でしたが、今週は黒岩くん接待句会に急に参加したのと、所属団体の会員作品に間に合わせるため6句ほど濫造しました。句会や締切がないと作れません。

Q2 俳句に似ているものといえば?

手前味噌のようですが、妖怪とかお化けとか、民俗にかかわる伝承は似ている気がしますね。創作家のオリジナルなものが残ることもあるし、それが一方でひろく民衆のなかで共有されていくようなところもあるし、学問対象でもあり、かるく楽しむこともでき、両者があいまいに混ざり合い、どんどん変化しながら続いている感じが好きなんだと思います。

Q3 今朝、起きてから2~3時間の行動をできるだけ詳しく(公表できる範囲で)教えてください。

起きたら顔を洗って歯を磨いて朝刊とって、洗濯機まわして、ニュース見ながら妻が作ってくれた朝食をたべて、ニュースやツイッターをネタにあれこれおしゃべりしてから洗い物して、出勤する妻を見送り「半分、青い」を観ながら洗濯物を干して、二度寝しました。オフ(というか自宅作業日)は、そんな感じです。

Q4 現在お住まいの町は、どんなところですか?

最近実家を出たのですが、うーん、ほどよく田舎という感じでしょうか。東海道線上で、場合によって終着駅なので新快速(関西の言い方ですね)も止まりますが、乗降はそれほど多くなく、市役所も郵便局も駅から徒歩圏内、個人でやってそうな田んぼもちらほら。

生活に必要なものはだいたいそろうが、ちょっといいものは遠出しないと手に入らない。住む前は車がないと大変だと脅されましたが、ペーパードライバーの私も自転車など使えばそこそこ快適。ちょっと遠いベッドタウンという感じで子持ちファミリーが増えている印象。

Q5 触り心地が好きなものってありますか?

触り心地といわれてぴんとこない(こだわりがない)のですが、そういえば食感はコリコリしたのが好きですね。タコの天ぷらとか。軟骨唐揚げとか。居酒屋行きたくなりますね。

Q6 どういうわけか、カメレオンを一匹飼うことになりました。名前を付けてください。由来があれば、それを教えてください。

すぐに思いついたのは「レオニ」ですね。カメレオンというと、幼いころに読んだレオ・レオニの絵本の印象が強いです。あとサイボーグ009の007の異名がカメレオンですね、本名グレート・ブリテン(イギリス人)。「ブリテン」でもいいですね。

Q7 一日一善を自分に課すことにしました。きょう、どんな善いことをしますか?

電車に乗ったら席を譲るとかかなあ。続けようと思ったらあまり大それたことできないですよね。空き缶拾ってゴミ箱入れようと思ったらゴミ箱がなくて困る、というのが想像できますね。ゴミ持ち歩きたくないしなあ、うろうろ。

Q8 目が覚めました。何十時間も眠ってしまったらしく、おなかがぺこぺこです。何を食べますか。部屋でも外食でもかまいません。できるだけ具体的に詳しく教えてください。

「腹が・・・減った」というやつですね。起きたら、たぶんまずは水分補給ですかね。

で、普段の朝食だと手早くパンのことが多いですが、本気でお腹すいたらご飯食べます。白米。冷蔵庫あけて冷凍ご飯さがす。チンする。はやいのは卵かけご飯ですね。私は混ぜてからかける派です。醤油垂らして、あと意外に気にする性質なので葱入れたりなにか野菜的なものをまぶします。もたもた準備している間にレンジが鳴りました。

でもせっかくだから何か野菜足しますか。インスタントのお味噌汁とかないのかな。

もたもた探している間に時間がたちます。面倒になります。腹が減っている。もういいか、とあきらめてご飯を茶碗にあけて、よく溶いた卵を投入します。混ぜます。ずるずる。食べ始めたら一気ですね。水木しげるだと擬音は「ぞぞぞぞーーっ」かな。

ご飯がない場合は、たぶんあきらめて食べに出ます。むかし、西村麒麟氏と銀漢亭でさんざん酒を飲んだ翌日、ホテルで目が覚めたらものすごく腹が減っていて、朝から吉野家に駆け込んで、珍しく大盛りを注文したことがあります。

Q9 好きな自然現象について、教えてください。

月並みですが夕方、日の入りは好きです。あと台風が来る直前の、湿っぽくてざわざわした感じ。

Q10 ここ最近でいちばん笑ったことを教えてください。

笑うことが多い、というか、どちらかというと笑い上戸なんですが、一過性で結構忘れてしまいます。テレビ観てるときかな。

バラエティも好きですが、最近だと某大学の会見観ていて笑ってしまいました。

久留島元 近作十句

蕗の薹今日教室であったこと       天かすを箸追いかけて春浅く

名探偵だった男に春の雲         鳥肌のたつとき白玉つぶすとき

蝙蝠にいつかはなってしまうのに     ぶどうから種を取り出す舌動く

雨の庭ふあんふおんと茸生え       広東語北京語海鼠買うらしく

陰口の君よ湯豆腐真っ二つ        数え日を初めてこのひとと過ごす


https://note.com/hajime_kuri/n/n98c902f1be0e 【ブックガイド(83)「天狗説話考」久留島元】より

今回は年末年始用に読んだ本から紹介。

書名を見ただけで、私の脳内の稗田礼次郎先生と宗像伝奇教授が「読むべし」と囁いた本である。天狗とは妖怪なのか神なのか

 現代に伝わる鼻高天狗や烏天狗のイメージはどう形成されてきたのか。

 天狗関係の様々な説話を分析し、日本における天狗像の原型から、その変遷をたどるところが面白い。

 古代の「空を飛ぶ悪霊」から、中世の仏教的な魔物を経て、修験道等と結びつく。さらに江戸時代においては「娯楽的キャラクター」として定着していく天狗像をあぶりだす。

変遷のメカニズム

 天狗像の変遷は、時の仏教界や権力者、伝聞する者の思惑などが影響していく。そのメカニズムが作家としては実に面白かった。

 人間ドラマの核は「人の心情」なのだが、歴史ドラマを動かすのもまた「人々の心情」なのである。

 作家として、年の初めから、いいインプットができた。

内容紹介。目次を見るだけで読まなあかん気にさせてくれる。

序 「天狗」研究から「天狗説話」研究

第一章 天狗像の形成

第二章 天狗の中世

第三章 天狗銘々伝

第四章 天狗の行方

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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