https://blog.goo.ne.jp/norihiko/e/0e9cd284b7b4babb6ce2a080b023e3e9 【【実印を作る雪女をやめる】(なつ はづき)】より
【実印を作る雪女をやめる】(なつ はづき)
9月19日に、「第四十四回現代俳句講座」(講師・池田澄子・第2部:池田澄子氏を囲んで・Web)に、なつはづきさんが出演されていました。
ここで、なつはづきさんの自選10句を紹介いたします。
ふきのとう同じところにつく寝癖 いぬふぐり聖書のような雲ひとつ
はつなつや肺は小さな森であり 夏あざみ父を許すという課題
薔薇百本棄てて抱かれたい身体 ふと触れる肘ひんやりと原爆忌
象も蝶も一頭分の涼新た 身体から風が離れて秋の蝶
古絨毯家族そろっていた凹み 今日を生き今日のかたちのマスク取る
さて本日の記事のタイトル【実印を作る雪女をやめる】、この句、去年11月23日かながわ県民センター(横浜駅側)で開催されました、第37回神奈川県現代俳句協会俳句大会(出席者95名)においての当日句において、まっさきにわたくしが選んだ句(当日句の「兼題」が「実」と「紙」)であり、「どなたなんだろう・・こんな面白い句作る方は」と思ったことでした。(わたくしはこの大会には初参加)
※尚、この句は得点が多く、当日入賞なさって、横浜市教育委員会賞を受賞されております
後でなつはづきさんの句と知りましたが、はづきさんは現代俳句協会神奈川の幹事、また横浜ブロック長、そして「会報誌の編集」(編集副部長)もなさっており、後日わたくし宛に、それへの「新人欄への原稿依頼」のお葉書を頂戴し、そのご縁で処女句集『樹木葬』を差し上げましたら、懇切丁寧な鑑賞、講評もしていただき、その折に句集『朱夏』を頂戴いたしました。※『朱夏』(しまや出版・2019年3月25日)
そこでプロフィールを読ませていただきましたら吃驚!
「こんにちは! なつはづきです。
まずはわたしの俳歴から。かなりがっつり。真面目なプロフィールです。
1968年 静岡県沼津市生まれ。現在は横浜在住。
2008年 「蛮」入会。並行してmixiのコミュニティや、「季刊芙蓉」の川崎の句会に参加。その後体調不良のため「蛮」「季刊芙蓉」は退会。(2014年)しばらくはネット句会「ヲの会」、神奈川県現代俳句協会ブロック句会(当時は東部ブロック、現在横浜ブロック)で細々と俳句を続ける。
2016年 「青山俳句工場05」参加。神奈川県現代俳句協会幹事。
2017年 「奎」入会(2018年退会)。現代俳句協会火曜教室参加。
2018年 神奈川県現代俳句協会横浜ブロック長就任。
第36回現代俳句新人賞受賞。
普段は住宅展示場で、ホームアドバイザー(展示場案内)の仕事をしている、ごくごく普通の会社員です。」
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※典比古
なんと、はづきさんは『詩あきんど』が主催しております「晋翁忌」の選者、宮崎斗士氏の結社『青山俳句工場05』に参加しておられるのでした!
尚、受賞されました第36回現代俳句新人賞は「からだ」というタイトルであり、現代俳句協会のホームページにはさらに詳しいプロフィールも紹介されておりますので、そちらを覗いてみてください。
https://gendaihaiku.gr.jp/about/award/newface_award/page-3260/
上掲の「自選10句」にも、俳句新人賞を受賞された『からだ』から5句ほどありますが、その他わたくしの好きな句を紹介いたします。
夕花野ことば何処へも飛び立てず 端っこの捲れる笑顔シクラメン
雨水とは光を待っている睫毛 ミモザ揺れ結末思い出せぬ恋
リストカットにて朧夜のあらわれる
どの句も大変ユニー句でありますが、その受賞のことば「何度でも」(『現代俳句』平成30年9月号より)というタイトルにおいて、「中略 どう俳句の中で表現していくのか。困った挙句辿り着いたのは、何かの形や固定されたイメージにはめ込むのでは無く『今の自分を正直に書く』という答えだった。自分の言葉でなるべく正直に書こう。・・・」と。
ここを読ませていただき、「今の自分を正直に書く」ということが、はづきさんのポリシーであり、この思いがあるから上掲のような句がおできになるんだな・・と、納得!これはわたくしにとっても自戒の言葉でもあり、すとんと腑に落ちました!
尚、大井恒行さんのブログ『大井恒行の日日彼是』には第一句集『ぴったりの箱』(朔出版・2020年6月)の紹介記事があります!
※はづきさんは2019年「第五回攝津幸彦記念賞准賞」も受賞され、そのご縁で「豈」にも参加。
大井恒行氏ブログ
http://ooikomon.blogspot.com/2020/07/blog-post_11.html
※ご本人のブログ
http://haduhaiku.blog.fc2.com/blog-date-20200918.html 【少しずつ裏話】より
(現代俳句講座出演のいきさつが書かれていて面白い!です。
2020年の9月19日から10月20日の期間限定ではあるんだけど、
現代俳句協会の「第44回現代俳句俳句講座(WEB版)」の第2部に出演することになってます。
出演、て! なんか、エライことしでかした感じもありますが・・・。
この講座を担当しているのが、現代俳句協会の事業部、というところで、実は今年からそこの部員になったのですよ。どんな組織もそうだろうけど・・・いわゆる人出不足、なり手不足、なのですわ。
部長さんと句会をする機会があり・・・何となくそういう流れになって・・気が付くと部員に。まあ、実際のところ、あまり仕事がない部門らしく、この講座の開催がわたしの最初の仕事になった、と言う訳です。この講座は収録にて行われました。
わたしもそうだし、現俳の事業部としても初めての試みで、当日まではまあいろいろありました。Zoom使ったり、youtubeで配信したり、そういう事に精通していないメンバーが運営しているので、リアルタイムだとそのあたりが不安だったのですよね。
通信状況を確かめるために、リハーサルもしましたよ。
講演会だから、声が聞き取りにくいとアウトなので、そのテストだったり・・・
あとは、画面に映り込む部屋の風景とか?(笑 それも結構チェックしたんですよ。真面目な話。もちろん、わたしも!!!!
だってえええ~~~!!!片づけてないところが映ったら嫌じゃない?(爆
(部屋全体を片づける気がないことが、バレバレ・・・・)
風景をバーチャルに変えられるみたいだったけど、それはそれで「絶対に見られたくありませんっ!わたしの部屋は!」アピールみたいで何だかなあ・・・と思ったり。
わたしの部屋なんて、見てる人は誰も気にしちゃーいないのにね!!!(大笑)
・・・いいんですよ。そういうささやかなこだわりが、テンションに関わるんだからっ!!!
いや、実は、池田澄子先生の画面は結構いろいろとこだわったんですよ。
ご自宅なので、照明器具の問題とか。(映りに直結しますからね。)
バックの本棚の見え方、とかも。演出、という訳ではないけど、どうせならば見栄えよく、がいいですからね。一番長い時間映っているわけだし。
こっちの方がいい、あっちの方がいい、と皆でいろいろ言っていました。
今回の俳句講座の2部は池田澄子先生が皆さんからの質問に答える、というコーナーになっています。ご本人曰く、講演会は何度かやっているけど、当日質問を受け付けた事は殆どない、とのこと。だから、池田先生が質問に答えてくれるなんて超レアな事なんですよね。
質問は事前に募集もかけていて・・・そこそこの数の質問が集まったのです。
最初はあまりにも質問が来なかった、って事で「なつさんも質問考えて!」と言われ、用意はしていました。 しかも6つも! 6つですよ、6つ。結構考えたでしょう?
これって、「当日の講演を聞いての質問」とは別に、です。(段取りでは講演聞いての質問もすることになっていました)
なのに~~~!皆さんからの質問が沢山来て、結局事前に用意した6つの質問、ひとつも取り上げてもらえませんでしたー(笑 ひええええ~~~~!!!
まあ、皆さんからの質問が沢山来た、と言う事は喜ばしい事なので・・・
この、質問コーナーにはもうひとつオチ、というか裏話があって・・・。
発案当初は「集まった質問に【みんなで】答えよう」という事だったんですね。池田先生だけではなく、瀬間陽子さんとわたしも。だから、事前に皆さんからの質問をもらっていました。
それを見ながら、自分なりに一生懸命答えを用意したわけです。これも事前準備、ですよね。
しかーし!開催日前日になって、質問は一杯溜まっているから、わたしたちが答えるかどうかはその場の流れで、という事になり、実際はわたしがそれらの質問に答える事は一切なかったのです。池田先生がお答えくださるだけで結構いい時間に・・・・。
あれでも、全部には答え切れてないのですよ。質問の答え、せっかく考えたのに~~~~!!!!!!
まあ、わたしの答えなんて誰が聞いてためになるかは分かりませんが・・・
せっかく用意した答えたちの成仏として(化けて出るのか!!!)少しずつここで書けたらなあ、と。講座の公開中に徐々に追加していく予定です。あくまでも、予定!
いつものサボり癖が出るかもしれないし(それが一番心配)
https://saku-pub.com/books/pittari.html 【なつはづき句集『ぴったりの箱』】より
箱を開ける私。箱の中の私。
俳句を通して等身大の自分と向き合い「ぴったりの箱」を探し求める著者。森羅万象を「からだ」という器で表現するすぐれた身体感覚と、独特の観察眼で読者をひきつける264句。現代俳句新人賞受賞作家による注目の処女句集!
薔薇百本棄てて抱かれたい身体
自らを飾るものとしての「薔薇」を想起した。百本もの薔薇を棄てたあとに見えてくる丸裸の自分、自分自身という真実。そこには「抱かれたい」というピュアな情動のみが残る。 宮崎斗士(跋文より)
◆『ぴったりの箱』作品抄
梅真白母をフルネームで呼ぶ日 はつなつや肺は小さな森であり
ぴったりの箱が見つかる麦の秋 少女にも母にもなれずただの夏至
夏帽を足して完璧な青空 日傘閉じここに暮らしがあった海
記憶から出てゆく父のサングラス 象も蝶も一頭分の涼新た
背中からひとは乾いて大花野 ふと触れる肘ひんやりと原爆忌
身体から風が離れて秋の蝶 くすり指鵙がことさら鳴く夜の
沈黙の明るく置かれ晩白柚 今日を生き今日のかたちのマスク取る
白兎黒兎いて夜の嵩
<著者略歴> なつはづき
1968年、静岡県生まれ。2 0 0 8 年より俳句を始め、現在「青山俳句工場0 5 」「豈」「俳句新空間」等に参加。2 0 1 8 年、第3 6回現代俳句新人賞受賞、2 0 1 9 年、第5回攝津幸彦記念賞準賞受賞。現代俳句協会会員。超結社「朱夏句会」代表。
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