ウクライナ、地下壕から届いた俳句

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先週の16日(土)、滑川市俳句大会を開催しました!

一般の部160句、小中学生の部594句、計754句の応募がありました。たくさんの投句、ありがとうございました。

記念講演として、俳人の黛まどかさんに「ウクライナ、地下壕から届いた俳句」と題してお話しいただきました。

国際的な広がりを見せている俳句文化を紹介した上で、戦禍の中で俳句を詠み続けているウクライナ人女性の句集を監修したことに触れ、人々が苦境や苦しみにあるときこそ文化芸術活動が尊厳を持って生きる力になる、といったことを語られました。

その後、選者の先生による選評と表彰式が行われました。受賞者のみなさん、おめでとうございます!

黛さんの講演会や俳句大会については、ニュース等でも取り上げられましたので、こちらもご覧ください。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20231216/3060015173.html 【ウクライナ女性の句集監修 黛まどかさんが講演 滑川市】より

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中ウクライナの女性が詠んだ俳句集を発表した俳人の黛まどかさんが富山県滑川市で講演し、「戦禍でも文化芸術を通して人としての尊厳を保ち続けていると感じた」と、思いを語りました。

16日、富山県滑川市で俳人の黛まどかさんが「ウクライナ、地下壕から届いた俳句」というテーマで講演し、俳句の愛好家など約80人が参加しました。

黛さんは、ウクライナ東部ハルキウ出身で、故郷を追われて避難生活をするウラジスラバ・シモノバさんが読んだ俳句を翻訳、監修して、ことし8月に句集を発表しました。

黛さんはシモノバさんの句として、「引き裂かれし カーテン夏の 蝶よぎる」と、「いくたびも 腕なき袖に 触るる兵」という句などを紹介しました。

そのうえで「繊細な情景を切り取り、悲劇を悲劇で終わらせず、明るく美しいものに展開することで、より深い悲しみが伝わってくる」と話しました。

そして「戦禍で詠まれた俳句に言霊を感じた。俳句は余白を想像するので、においが立ち、温度が伝わり、戦争のむごさをいっそう浮き彫りにしている。戦禍でも文化芸術を通して人としての尊厳を保ち続けていると感じた」と思いを語りました。

講演を聞いた富山市の70代の男性は「ウクライナの戦禍が続く中でも自分の置かれた状況をしっかり見据えて俳句が詠まれていて感動しました」と話していました


https://www.chunichi.co.jp/article/473899?fbclid=IwAR1UKkgrmSa_2IxS0MWLlJmCK3Az3_guSj98RzUHmR7dgZMwtlsH9F6SbWg  【平和願いしHAIKU 黛さん企画、世界から詠み人】より 

 ロシア軍のウクライナ侵攻に対し「HAIKU」で平和を訴えよう−。俳人の黛(まゆずみ)まどかさんは、英語や母国語などで俳句を詠む国内外の愛好家らから作品を募集。集まった475句から特に心を動かされた10句を選び、本紙に寄せた。外国語の作品には自らの和訳を添え、「世界の人々が俳句でつながり、戦争が終わることを願っていることを知ってほしい」と力を込める。

 近国ウクライナの避難民を受け入れているブルガリアのサンカ・シーシコバさん(78)。「避難民が防空壕(ごう)で過ごす夜の長さに思いをはせて、浮かんだ」という戦場の朝の情景を英語で詠んだ。

 ウクライナの東、つまりロシアから吹く風が手のひらの折り鶴を飛ばす−。フランスのベルナール・ピケロエンさん(61)は、母国語で詠んだ俳句を「さまざまな意味があり得る」と解説する。「鶴は風に連れ去られるのか、それとも自由に向けて飛び立つのか」

 南アフリカのルネ・ボーネンさん(64)の英語の俳句は、花見の敷物の上のノートに風が吹き、ページが寂しげにパラパラとめくれる場面をイメージした。「平和が保障されない時、幸せはいかにはかないものなのか」を情景に重ねた。

 黛さんは2002年に山本健吉文学賞を受賞し、俳壇を代表する俳人のひとり。16年に本紙が一般から投稿を募る「平和の俳句」のゲスト選者を務めた。

 戦争を題材にした俳句は、ロシアの軍事侵攻後の3月19日にインターネットで「Haiku for Peace」と銘打つ企画を始め、国内外から募集。今月27日までに集まった475句は「戦争は絶対にいけない」(黛さん)との思いに呼応し、35カ国の10言語にわたる。

 黛さんは短詩型文学の俳句について「全てを言い切らず余白にあるものへの想像力をかきたてる。世界の人々が、遠い戦争の悲惨を自分のこととして受け止めるよすがになり得る」と強調。平和を願い、世界の人々が参加するオンライン句会を開きたい考えだ。

 (林啓太)

 外国語俳句 日本の俳句に着想を得た外国語の短詩型文学。例えば英語では「5・7・5」の定型に倣い、音節(母音などを中心としたひとつながりの音)の数が17の3行詩で表現することが原則。ただ、情感を簡潔に表すという俳句の本質を守りつつ、音節数の原則にこだわらない短詩も、外国語俳句として認められている。

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