古事記を元に桃太郎のお供はなぜ鷲でも鷹でもなく「キジ」かを考察する

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はじめに

日本人なら誰もが知っている桃太郎。

そう、彼の鬼退治成功談は、彼らなしでは語れない、そんな3匹の相棒がいた。

鋭い牙、唸る咆哮、そして何者にも負けぬ主人への忠誠心。人間の相棒といえばまずこいつだ。走ってよし、闘ってよし、訓練次第で指示の幅は無限大の万能型である。近年では強烈な右フックをぶちかます犬も発見されており、パワー系もいけることを証明した。

人間と同等の知力を持つことから、参謀のポジションで桃太郎を補佐したと思われる。二足歩行と握力が可能にした身軽なフットワークに、道具を自在に操れる手は戦略の幅を無限大に広げることができる。最近の猿は銃くらいなら余裕で扱えることから、現代で鬼が現れた場合はこいつ一匹で鬼ヶ島を制圧可能だ。

雉(キジ)………一匹だけ場違いな奴いるの気づきました?

はいそうです。皆さんも思ったことがあるのではないでしょうか。なんでキジ?

もっとさあ、大鷲とかさ、、、鷹とかさ、、、いるじゃん…。

そうなんです。キジだけ絶対鬼に食われるレベルで戦力外なんです。非常食か?と疑わざるを得ないレベル。

鳥っていうのはまあ分かりますよね。まあ陰陽五行説やらなんやらで。

桃太郎の御供である犬・猿・雉は鬼門と反対の方角を表す干支の動物であることはあまりにも有名ですから。ではなぜ「鳥」ではなく「雉」なのでしょうか。

諸説

初めに、「なぜキジなのか」の世間的な通説を知るためにググりました。

説は以下の通りです。

①キジが国鳥だから

②平安時代は天皇への献上品であったりと、日本と縁の深いものだから

なるほど。僕は納得がいきません。

その程度の理由でキジを鬼ヶ島に連れて行くな。そう言いたいです。

まず、キジが日本の国鳥として登録されたのは1947年です。

そして桃太郎の発祥は室町時代後期~江戸時代初期です。

(加原奈穂子 「昔話の主人公から国家の象徴へ―「桃太郎」パラダイムの形成―」 『東京藝術大学音楽学部紀要』 36巻 東京藝術大学音楽学部、51–72頁、2010年より)

つまり、桃太郎という物語が生まれたときに「キジは国鳥だから、物語にキジを取り入れよう!」とはなり得ません。

しかも日本鳥学会は桃太郎を下地に国鳥に選んでいるじゃあありませんか。

日本固有種の美しい留鳥で、民話や童謡でもなじみがあり、オスは勇敢でメスは母性愛の象徴であることなどから、1947年に日本鳥学会がキジを国鳥に選んだという。(日本の国鳥に「キジ」が選ばれた理由|日刊ゲンダイDIGITAL)

②はどうでしょう。「日本と縁が深いものだから」では、そもそもなぜ日本と縁が深いかが分かりません。てか思いっきり食われとるやんけ。旨いから縁深いってことですかね?MOCO`Sキッチンとも縁深いってことになります。

考察|古事記にキジが登場する

※ここからの文章は「正解」ではなく、あくまで一個人の見解だと思っていただけると幸いです。

なぜ桃太郎は「桃」?

そもそも、昔話の桃太郎はなぜ「桃」太郎なのでしょうか。その答えは、日本神話の代表的なエピソードが載っている『古事記』にあると言われています。イザナギが鬼女を追い払う際に投げつけたのが桃の木の実なのです。その後鬼女達があっという間に退散してしまったように、桃には鬼を追い払う力があると考えられています。

では、そもそもなぜ古事記において桃は神聖視されているのかという疑問になりますが、その理由は「道教」という中国由来の民間信仰にあります。道教の教えでは桃の実は長生きの薬であり、邪悪なエネルギーを体の中から追い払う力があるとされていたのです。

古事記を調べてみよう!

そこで僕は、桃太郎の「桃」由来が『古事記』にあるのならば、雉に関するヒントも『古事記』にあるのではないかと考えました。僕は、面倒くさくていやだなあという邪悪な気持ちを必死に桃の実で抑えながら『古事記』を読み始めました。

そしたら速攻で勝ちました。なんと読み始め数ページで「キジの使い」というお話がありました。はい終了。決定。

(「キジの使い」はこちらで読めます鈴木三重吉 古事記物語

〇キジの使い

天照大神が葦原(あしはら)の中つ国に降(くだ)った天若日子(あめのわかひこ)が帰ってこないので、キジを遣わしたというお話。

さらに、古事記においてキジはどういう扱いなのだろうと調べてみるとこのような記述がありました。

古代の人にとっては、葦・茅・桃は邪気を祓い、榊・エビカズラ・椿・ケヤキは聖樹として人々の生命の営みに意味を持ち、カラス・鵜・キジ・白鳥などの鳥は、天の神と地上の人間にメッセージを伝える霊なる動物でした。

古事記の宇宙(コスモス)―神と自然― | 氷室神社文化興隆財団

また、キジは中国においては「士」の象徴とされているという情報も判明しました。

つまり、日本の人々にとって闘う鳥といえば「キジ」が頭に浮かんでもおかしくないことが分かります。

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000170765

・桃太郎のルーツは古事記にある。

・古事記から、キジは日本人と縁の深い生き物であることが分かる。

・中国においてキジは「士」の象徴。

これらの情報を踏まえると、桃太郎とともに鬼ヶ島へ旅立つのはキジが妥当になってくるのかなと思います。誰だ、鷲とか鷹とか言ってたやつは。そもそもあいつらはもっと上空にいるから桃太郎と出会えんわ。

まとめ

・桃の由来は道教ひいては古事記にあり、キジも古事記に出演してる

・キジは中国で「士」の象徴

・キジの記事

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