自然界にある毒物について

https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1405 【自然界にある毒物について (1) 植物ときのこについて <犬>】より

どうぶつと暮らすメリットの一つは、散歩などを通して屋外で活動する機会が多くなり、飼い主さんの運動量も増えて健康的に過ごせることですね。

自然の恵みは素晴らしく、目で、鼻で、皮膚を通して自然を感じて・・・四季折々の楽しみも盛りだくさんです。

一方で、自然界には毒性のある物がたくさんあります。どうぶつや植物、きのこ、魚など、自然界の何に危険があるのかをあらかじめ知ることは、かけがえのないどうぶつを守るためにとても大切です。「自然界にある毒物」のうち、植物ときのこについてご案内しましょう。

1.毒性のある植物

多くの植物には、どうぶつや鳥たちに食べられることを防ぐためなのでしょうか、毒性があります。種類によって有毒な部分はさまざまですし、同じ植物でも部位が異なると毒性の強さが異なることもあります。

特に注意をしなくてはいけないのは、球根や白い樹液です。また、アンズやモモなどのように、種子や未成熟な実の中に有毒物質が含まれていることも多くみられます。

植物毒の多くは、アルカロイドという天然の有機化合物です。アルカロイドには動物由来の物もありますが、多くが植物由来です。アルカロイドには、その植物がどうぶつなどに食べられないようにする役割があることが知られています。アルカロイドの持つ生理作用は多彩で、人間はこの生理作用を利用して古くから薬として利用してきました。

植物には配糖体と呼ばれる糖と糖以外の分子が結合した物質が含まれていますが、その中にも毒性を示す物があります。ソテツに含まれるサイカシンという配糖体、バラ科や マメ科の種子に多い青酸配糖体などが例として挙げられます。

中毒症状の治療は、催吐処置、胃洗浄、活性炭のような吸着剤の投与や下痢などのそれぞれの症状に応じた治療を行います。ただし粘膜へ刺激が強い物質を摂取してしまい、それを吐かせる場合には、食道や口腔内の粘膜を傷めることがあるので注意が必要です。毒性が疑われる植物を食べてしまったら、まずかかりつけの動物病院さんに連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。食べてしまった植物は袋に入れるなど保管して、通院の際に持参するようにしましょう。

【毒性を示す成分の例】

◇アコニチン

トリカブトに含まれる猛毒成分で、嘔吐、痙攣、呼吸困難、心臓発作を引き起こします。適量であれば漢方薬の強心剤などとして利用されています。

◇アトロピン

ナス科植物に含まれる猛毒成分です。大量の摂取で、幻覚、昏睡、呼吸麻痺を起こします。副交感神経の作用を抑制し、胃腸の運動抑制、瞳孔散大、頻脈などを示します。アトロピンは硫酸アトロピンとして広く薬として用いられており、点眼薬として瞳孔を散大させたり、手術前の前投与薬として心拍数を上げたり、気道分泌を抑制する目的で使用されています。

◇リコリン

ヒガンバナ科の植物に含まれる有毒成分として知られています。リコリンには中枢神経を麻痺させる作用があります。

◇ソラニン

ジャガイモの芽やホオズキなどに含まれます。神経伝達のために働く酵素を阻害し、頻脈、嘔吐、下痢などの症状を示します。また、溶血作用を示します。

◇カフェイン

コーヒーやカカオなどに含まれています。中枢神経を興奮させる作用があります。

◇コルヒチン

イヌサフランの球根・種子に含まれます。中毒を起こすと下痢、嘔吐を起こし、呼吸不全により死亡することもあります。痛風の薬として利用されます。

◇トマチン

トマトの花、葉、茎、未熟の実に含まれます。害虫を忌避する成分だとされています。

◇ビンカアルカロイド

ニチニチソウから抽出される10種類以上のアルカロイドを総称してビンカアルカロイドといいます。ビンカアルカロイドの強い毒性は抗がん剤として利用されています。

◇タキシン

イチイに含まれているアルカロイドです。タキシンは心臓毒の1つで、心拍数減少、血圧低下などの症状が現れ、摂取した量によっては痙攣を起こし、呼吸困難で死亡することがあります。

【強い毒性を持つ植物の例】

◇ユリ科(オニユリ、チューリップ、ヒヤシンス、イヌサフラン、シュロソウ、オモトなど)

ユリ科の植物は強い毒性を持つものが多く、ネコちゃんでは特に感受性が高いため、ユリの花を飾った花瓶の水を飲むだけでも、中毒が起き、命に関わる事態を招くほどの危険性があります。

◇スズラン科(スズランなど)

誤って摂取すると、嘔吐、頭痛、めまい、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こして、重症の場合は死亡することもあります。スズランの花を飾った花瓶の水を飲むだけでも中毒が起きます。

◇キンポウゲ科(クルスマスローズ、オダマキ、福寿草、トリカブト、アネモネなど)

 キンポウゲ科の植物は毒性が強いものが多く、中毒を起こすと流涎(りゅうぜん)、嘔吐、運動失調、不整脈、痙攣を起こし、命に関わることもあります。

◇ヒガンバナ科(アマリリス、ヒガンバナ、スイセンなど)

球根の毒性は特に強いので少量でも危険です。中枢神経の麻痺、血圧の低下を引き起こし、命に関わることもあります。

◇ナス科(ジャガイモ、トマト、ナス、チョウセンアサガオ、ハシリドコロ、ホオズキなど)

家庭菜園などでお馴染みのトマト、ナス、ジャガイモは、どれも芽や未熟の実、葉などが有毒です。チョウセンアサガオやハシリドコロは全てが有毒です。

◇ドクウツギ科(ドクウツギ)

種子や実、茎、葉と広範に毒があります。毒空木と書き、ドクゼリ、トリカブトとともに日本の三大毒草とされています。摂食して30分くらいで中毒症状が出て、血圧が上昇、全身が硬直し、呼吸困難になり死亡することもあります。

◇ゴマノハグサ科(キツネノテブクロ)

キツネノテブクロ(ジギタリス)は葉、根、花の全てに毒性があり、中毒症状としては嘔吐、下痢、不整脈、めまいを起こし、重症になると死亡することがあります。

◇ヤマゴボウ科(ヨウシュヤマゴボウ)

葉、実、根と、毒は広範に及びます。摂食すると視力障害や呼吸抑制、頻脈、痙攣や昏睡を起こし死亡することもあります。

◇セリ科(ドクゼリ)

ドクゼリは日本の三大毒草の一つでオオセリとも呼ばれます。セリやワサビと間違えやすく、振(しん)せん(※)、痙攣、昏睡を起こし、死に至ることもあります。

※振せんとは、意思とは関係なく現れるリズミカルに起こる震えをいいます。

◇ツツジ科(アザレア、アセビ、サツキ、シャクナゲ、ツツジなど)

ツツジ科の植物に含まれるグラヤノトキシンなどの有毒物質には強い粘膜刺激作用があります。葉や花(花蜜)に有毒部分があり、摂取量によっては死亡することもあります。

◇キキョウ科(ロベリア、キキョウなど)

中毒を起こすと、溶血、血圧低下、呼吸困難、意識障害を起こし、死亡することもあります。

◇トウダイグサ科(トウダイグサ、トウゴマ、ポインセチア、ノウルシなど)

トウダイグサやポインセチアの茎から出る白い樹液は皮膚に炎症を起こします。

トウゴマの種に含まれる糖蛋白質のリシンは猛毒です。

◇センダン科(センダン)

実や樹皮に有毒成分があります。消化器系や神経系に作用して中毒症状を引き起こし、死亡する場合もあります。

◇キョウチクトウ科(キョウチクトウ、ニチニチソウなど)

葉、花、木、根、果実と、全てに毒があり、毒性の強さは青酸カリ以上ともいわれています。キョウチクトウの木を燃やした煙にも毒性があります。

◇イチイ科(イチイ)

果肉は無毒ですが、種子にはタキシンというアルカロイドを含んでいます。

中毒を起こすと痙攣を起こして呼吸器が麻痺します。

◇アジサイ科(アジサイなど)

アジサイの葉、つぼみ、根などに含まれています。誤食すると呼吸促迫、あえぎ、ふらつき、痙攣、麻痺などがみられ、重症な場合は死亡することもあります。

◇マメ科(フジ、キバナフジ、キバナハウチワマメ、スイートピー、ルピナス、エニシダ、トウアズキなど)

血圧の上昇、呼吸不全を起こし、死亡する場合もあります。

エンドウマメなどは家庭菜園でもお馴染みですが、生のままで食べないように注意が必要です。

◇ヒルガオ科(ヒルガオ、アサガオなど)

アサガオの種にあるファルビチン、コンボルブリンといった成分には毒性があり、摂取すると激しい下痢、嘔吐、血圧低下を起こします。

◇マチン科(イエロージャスミン、ランキンジャスミンなど)

香料などで使用するジャスミンはモクセイ科で別の種です。有毒成分のゲルセミン、ゲルセミシンはたいへん毒性が強く、痙攣、呼吸麻痺を起こし、死亡することもあります。

日々の生活を思い返していただき、「あそこは気をつけなくては・・・」という所には「柵をするなどして、物理的にどうぶつたちが近寄れないようにする」、「植物をどうぶつたちの手の届かない場所に移動する」など、事故が起きない環境を作るようにしましょう。お散歩時や山歩きなどではリードを上手にコントロールして、危険を事前に回避するようにしましょう。

2.毒性のあるキノコ

キノコは植物ではなく菌類に分類されます。日本に自生しているキノコのうち、毒性を有するものは約100種類あるといわれています。山歩きの時、外で遊ばせる時などにキノコをみつけたらどうぶつを近付けないようにしましょう。摂取した場合はまず、かかりつけの動物病院さんに連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。

催吐処置、胃洗浄、活性炭の投与や輸液、またそれぞれの症状に対して処置を行います。

【毒キノコの例】

◇ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、フクロツルタケ、コレラタケなど

人では食後10時間くらいしてコレラのときのような激しい下痢や嘔吐がみられ、24時間から72時間くらいで内臓の細胞が破壊されます。このため、肝障害や腎障害がおき、死亡することがありますので、どうぶつも注意が必要です。

◇テングダケ、ベニテングダケ、タマゴテングタケなど

テングダケ科に属するものの中には猛毒のキノコもあります。タマゴテングダケは、ドクツルタケやシロタマゴテングタケとともに猛毒キノコの御三家と呼ばれます。タマゴテングタケの毒性は、おもにアマトキシン類によると考えられています。アマトキシン類はキノコ毒の中では症状が出るのが15時間くらいと遅いのですが(遅効性)、毒性はたいへん強く危険です。アマトキシンは、細胞の遺伝子発現のプロセスのうちの一つであるDNAからmRNAの転写を阻害する作用があり、タンパク質の合成を妨げて、肝臓や腎臓などを形成する個々の細胞そのものが破壊されてしまいます。

テングダケ、ベニテングダケの毒性となる成分はイボテン酸で、人では食後20分から2時間ほどで痙攣、錯乱、昏睡などが起こり、意識不明に陥ることもあります。

◇カキシメミ、ツキヨタケ、クサウラベニタケ

人では摂取して30分から3時間くらいで嘔吐、下痢が起こります。これらは人間が食用としているキノコと似ているため、人ではキノコの食中毒の7割程度を占めています。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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