https://www.nature-engineer.com/entry/2020/09/19/090000 【生き物は名前を知ってからが面白い!さらに日常も充実するという話】
この植物の名前って何ていうんだろう?その後、Webで調べたり、知ってる人に教えてもらう↓名前が分かってスッキリ!満足!こんな経験、ありませんか?
でも実は、生き物の名前を知るだけで満足してしまうのは、ちょっともったいないことなのです。"その生き物のことを知る"という点においてだけでいうと、名前はあまり重要ではありません。
名前を知るというのは「その生き物を知るための扉の鍵を手に入れた」という状態であり、この鍵を有効に使ってこそ、生き物の本当の魅力にたどり着けるのです。
実は僕も以前は、「名前を知ること」「珍しい生き物を発見すること」が目的化していたことがあります。
その結果、その生き物の本当の魅力を理解しないままになってしまったときも。
しかし自然観察を重ねて生き物の魅力を知るにつれて、僕の日常はより楽しく・充実したものになっていったのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、生き物は名前を知ってからが面白いという話、日常がどうやって充実するのかについて紹介します。
名前から始まる生き物の魅力へのたどり着き方
名前を知ること自体は重要ではない
冒頭で生き物の名前を知ることは「重要ではない」とお伝えしました。
なぜなら、名前自体にはその生き物の特徴や魅力、といった情報は含まれていないからです。例えば、以下はカネタタキという昆虫。
知っている人に教えてもらって、この昆虫の名前が「カネタタキ」であることが分かったとします。
しかし先述した通り、名前だけではこの昆虫の特徴は分かりません。
・どういう習性を持っているのか・いつ見られるのか・どういう環境に住んでいるのか
といった具体的な情報は、全く分からない。
このように、名前だけ知っていても、その生き物のことについて理解できることはほとんどないのです。
一方で名前には大事な役割があって、それは情報を引き出すための"重要な手がかり"となるということ。名前を「鍵」として使うのです。
名前をキーワードにして調べる
知った名前をキーワードにして、図鑑やWebで調べてみましょう。
関連: 見つけた虫を識別したい!虫の名前を調べる3つの方法
すると、その生き物の「名前以外の情報」を引き出すことができます。
例えばカネタタキなら、僕のブログでも紹介していますが、これらからは以下のような情報が得られます。
・カネタタキという名前は鳴き声が由来・コオロギの仲間である・成虫は秋の季節に見られる
このようにして名前から、「生き物のより詳細な情報」に辿りつくことができるのですね。
しかしながら、上でカネタタキのことをちゃんと理解できるのかというと、まだ十分ではありません。
写真や映像、文字情報など「机上の情報と実物の間には、大きなギャップがある」からです。
そこで、野外での自然観察です!
実物を観察することで得られるもの
野外で「実物を探す」「実物を観察する」をしてみると、Webや図鑑で知った通りにはいかないことに気付きます。
例えば、以下のような点。
・想像していたよりも大きい or 小さい・出会える時期がすごく限定されている
・想像していたのとは全然違う場所で暮らしている
具体例を挙げると、以下のハマベアワフキという昆虫。
ハマベアワフキ
上の写真ではずいぶん存在感があるように見えますが、その大きさは1cm程度。
1円玉の半径くらいのサイズ感なんです。
図鑑などを見て想像していたものとのギャップに、ビックリもするけど、それ以上に面白いんです!
「他にも図鑑に普通に載ってるけど、身近な場所で全然見つからない!」(※)なんて思っていると、特定の季節だけ見られる生き物だったり。
※地域によって発生時期が違ったり、図鑑に記載されている情報は平地〜山地を含めた期間だったりする
そんな風にして生き物に出会えた時はたまらなく嬉しいし、それからは毎年恒例のように観察に行っちゃいます。
このような「実物に出会うことで初めて分かる感動」というのが実にたくさんあるんですね。
だからこそ、名前だけではなく、さらに机上の知識だけでもなく、「実物に出会うこと」を体験する価値というのは大きいのです!
生き物を知ることで日常はどう充実するのか
特に身近な生き物をよく知ることができると、日常はとっても充実したものになります。
なぜなら、「日常生活の様々なシーンが発見の場に変化する」からです。
例えば、通勤路にある街路樹や生垣。
野鳥のことを知っていれば、街路樹や電線に止まっている鳥に気付けます。
電線に止まっているツバメ
ツバメ
関連: ツバメは青くて美しい夏鳥!昔の日本人にとってパートナーだった鳥
虫や植物のことを知っていれば、生垣の植物やそこにいる虫探しを楽しむこともできます。
生垣や庭木でよく見られるナミアゲハの幼虫
ナミアゲハ 終齢幼虫
関連: ナミアゲハ(アゲハチョウ)は最もメジャーな揚羽蝶。イモムシ幼虫もかわいい
さらに同じ場所でも、季節によって見られる生き物が変化することにも気付きます。
個人的には「生き物を楽しむこと=季節を楽しむこと」でもあると考えていて、
・赤トンボが色付いてきた=秋がやってきた
・冬鳥のカモたちがやってきた=冬が近づいてきた
・オオイヌノフグリが咲き出した=冬ももうすぐ終わる
のように、生き物たちの生態を知ることでリアルな季節の流れを実感することができるのです。
他にも、自然観察をきっかけに日常の充実度が大きく変化した例はたくさんあります。
以前は興味のなかった海外(現地の自然を見るため)にも目を向けるようになり。
関連: マレーシア ボルネオ島「キナバル山周辺」 自然と生き物を紹介
待ち時間も、付近の自然観察をすることでワクワクする時間に変化。
関連: 待ち合わせのヒマな時間を有効活用したい!待ち時間での自然観察
コロナの自粛期間中だって、ベランダからの自然観察を楽しむことさえできました。
関連: 自宅で樹木の変化を観察する!ベランダ植物観察
このように、身の回りの自然に興味を持って知ることで、日常の様々な場面がワクワクする場面に変化します。
デメリットとしては、観察に時間を費やしすぎてしまうことですね笑
おわりに:自然観察をしてみよう!
僕が当ブログの読者に自然の魅力を発信している理由は、身近な自然の素晴らしさに気付き、自然を大切にする人が増えてほしいからです。
そういう想いを持つ人が増えることが、未来でも素晴らしい自然を見られる社会が続くことに繋がると考えているからです。
当ブログのほか、アプリ、書籍などでも魅力発信していますので、こちらもぜひご覧ください。
https://www.nature-engineer.com/entry/2020/09/09/090000 【自然観察で季節を楽しむ!秋に注目すべき虫4選】より
暑さもピークが過ぎて、秋っぽくなってきたなあ。秋の季節ってどんな虫が面白いのかな?
こんな疑問に答えます。
生き物は季節に応じて、見られる種類や行動が大きく変化します。
つまり同じ場所でも、「季節が変わると全く異なる生き物が見られる」という面白さがあるんですね。これを知っていると、自然観察の楽しみは大きく広がります!
暑〜い夏の季節が過ぎると、次は過ごしやすい秋の季節。というわけで、今回は「秋の虫たち」が主役です。僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。
そんな僕が、「秋に注目すべき虫4選」について紹介します。
キリギリス・コオロギ類
秋の季節でまず押さえておきたいのは、「秋に鳴く虫たち」。
彼らの声は昼間でも聞くことはできますが、最もにぎやかになるのは"夜"。
寝る時に窓を少し開けておけば、秋という季節を存分に感じながら眠りにつくことができます。
例えば以下は、キリギリス類のリーダー的存在、キリギリス。
鳴き声は「ジーー、チョン」。
また、以下はコオロギに近い仲間、カネタタキ。「ピッピッピッ」と可愛らしい声で鳴く虫です。
またエンマコオロギは、外見に似合わず「コロコロリー」という鈴のような美声を持つ虫です。
彼らの幼虫の姿は秋以前でも見られますが、その美しい声を聞けるのは晩夏以降。
秋限定で美しい声を届けてくれる虫たちなのです。
赤トンボ
赤トンボも、秋に見られる代表的な虫。
実は彼らはすでに夏から行動しているのですが、真っ赤な姿になるのは"秋の季節になってから"なのです。
例えば以下のミヤマアカネは、7月の未成熟の頃はまだ赤くなく、秋になると赤い色に変化します。
また、季節に応じて見られる場所が変化するものも。
アキアカネは夏になると山に移動して避暑をし、秋になると平地に戻ってくる習性があります。
このように真っ赤な赤トンボをじっくり観察できるのは、秋という季節ならではなのですね。
ハチも秋という季節に観察しやすい昆虫。
真夏は背丈の高い草が生い茂り、目立つ花が少なくなってしまいますが、秋になるとまた目立つ花が姿を現し始めます。
そんな花に集まってくるハチたちは、やはり秋に注目すべき虫なのです。
例えば、ナミルリモンハナバチは春には見られず、秋に見られるハチ。
また、花に集まるハチ以外でも秋ならでは見られるものもいます。
例えばスズメバチ類には、秋だけオスが出現するという特徴があります。
セグロアシナガバチのオス(顔が白い)
オスはこの季節にメスと交尾を行い、翌年に世代を繋げるのです。
なおこの時期はスズメバチたちにとっては一年で最も大切な時期であり、神経質になってもいますから、観察する時は刺激しないように注意しましょう。
このように、秋の季節だからこそ見られるハチもいるのですね!
カマキリ
大型の肉食昆虫、カマキリも秋に観察したい虫です。
カマキリはペッカム型擬態(攻撃型擬態)で獲物を待ち伏せして狩る、ハンタータイプの昆虫ですね。
実は彼らも秋以前から活動していますが、成虫の姿を観察できるのは晩夏以降。
例えばオオカマキリは、ススキの葉に擬態して獲物を狙っている姿を観察できます。
また、ハラビロカマキリが、樹上を体を揺らしながら移動している姿を見ることも。
成熟したオオカマキリなどは大きいものでは10cm近くものサイズになり、大迫力の昆虫ですよ!
おわりに:秋ならではの自然観察を楽しもう!
今回、秋でこそ見られる虫たち・観察しやすい虫たちを紹介しました。
しかし他にも魅力的な虫たちは、他にもまだまだたくさんいます。
ぜひ秋の季節に彼らの世界に目を向けて、面白い「秋の虫たち」を観察してみてください!
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