https://www.iken.ac.jp/column/column_28.html 【東洋医学と西洋医学の違いとは? それぞれの特徴について知っておこう】より
西洋医学の歴史と考え方について
西洋医学は、現在ほとんどの先進国で主流となっています。体の悪い部分に直接アプローチし、投薬や手術といった方法で原因を取り除いて治療していく医学です。
西洋では中世までは「病気は神からの贈り物」と考えられ、積極的に治療しないのが一般的でした。しかし、ルネサンス時代以降は人体の解剖がおこなわれ、さまざまな薬が開発されるといった医学の発展が起こりました。西洋医学は科学の発達とともに進化し、現在では最先端の医療機器を用いた診察や治療ができるようになっています。
東洋医学の歴史と考え方について
東洋医学は古代中国で生まれた考え方で、約2000年の歴史をもちます。東洋医学の考え方は7世紀頃、遣隋使や遣唐使によって日本にも伝わりました。その後、鎖国などを経て日本独自の東洋医学の考え方が確立されていきました。
明治期になると、政府が「西洋医学を学び、試験に合格した者のみ医師としての開業を許可する」という政策を打ち出したため、東洋医学の漢方医であっても西洋医学の免許がなければ東洋医学の治療ができなくなりました。これが、現在の日本で西洋医学の考え方が主流となった大きな要因と考えられます。
西洋医学と東洋医学の違いとは
西洋医学は投薬や手術といった方法で、体の悪い部分に直接アプローチして治療していきます。 これに対して東洋医学というのは体の不調を内側から根本的に治す治療法です。東洋医学の領域では、具体的には鍼灸やあん摩、漢方といった方法で治療を進めていきます。また、病気を未然に防ぐため、日頃から疲れを溜めず抵抗力をつけておくというのも、東洋医学の考え方です。
西洋医学と東洋医学は、どちらが良い悪いというものではありません。西洋医学には短い時間で病気を治療できるという良さがあり、東洋医学の治療は時間がかかるものの、体に負担がかかりにくいという良さがあります。
http://tamatani-clinic.com/herbal.html 【現代医療における西洋医学と東洋医学】より
現代の日本を含めた世界中の医療分野において最先端医療は西洋医学である事はゆるぎない事実です。
西洋医学はこの数百年で発展してきた医学であり、日本における西洋医学発展の幕開けは鎖国時代。かの有名な杉田玄白が日本に蘭学を持ちこんで以来、劇的に発展してきました。現代医療においては病気の診断、検査、治療(内科的、外科的)は主に西洋医学の手法を用いています。
一方で、東洋医学の歴史は大変古く中国最古の医学書(古典)である「黄帝内経(こうていだいけい)」は紀元前200年頃に書かれたと言われています。東洋医学は人類が何千年もかけて膨大な経験を元に発展してきた医学と言っても過言ではありません。レントゲンやCTが無かった時代に発展してきた医学であり経験的に使用されてきましたが、最近では西洋医学の体系の中で有効性や安全性が評価されている漢方薬も存在します。
西洋医学の強み、東洋医学の強み
西洋医学の強みは西洋医学が発展してきた経緯を辿れば見えてきます。西洋医学発展の幕開けとも言える19世紀末、当時のヨーロッパは戦争があちこちで起こっており、怪我人が続出していました。西洋医学式の解剖学から人体への対処法が理解され始めたその時代、応急処置が必要な怪我人を治せる外科的技術=西洋医学は高く評価されていました。時を同じくして、細菌やウイルスといった存在が発見され、これらを何とか対処出来れば感染症を防げるということで、これを科学的に追求する西洋医学が注目され始めました。西洋医学はそもそも外傷や感染症の治療が原点なのです。抗生物質が開発され感染症が減少したり、消毒や麻酔の技術が発展し外科手術の技術が飛躍的に向上し、それまで救えなかった命も救えるようになりました。現代ではその研究は細胞や遺伝子レベルにまで及んでおります。近年ではインフルエンザウイルスに対して増殖を抑制する抗インフルエンザ薬が開発され原因を根本から治療する新薬も出てきましたが、大部分の西洋薬は、病気によって起きている発熱、胃痛、咳きこみ等の症状を緩和したり消失したりする「対症療法」になります。
西洋医学は「対症療法」が主であるのに対し、東洋医学は本来生体が持っている内的・外的要因により生じた生体のゆがみを戻す事に主眼を置いています。病気から体を守る免疫力や抵抗力、落ち込んだ体力を戻す回復力、傷や骨折を治癒に導く修復力、細胞が生まれ変わる細胞再生力等の自然治癒力を助ける事を得意分野としております。
漢方
東洋医学では、たとえ体の一部分に起こった病気や症状であっても、体全体の異常と捉えてその改善を試みます。東洋医学的治療の際に用いられる漢方薬は、体にとって必要なものが不足した時はそれを補い、不要なものは取り除き、また冷えた状態は温め、熱した状態は冷ますというように、カラダ全体のバランスを整えることで治癒、健康の回復・維持を目指す、バランスの医学です。
漢方薬とは?
東洋医学的に治療を行う上で主に用いられるのは漢方薬による治療です。その他、鍼灸、気功、指圧、整体、養生などもありますが、当院では西洋医学的診断に基づき適切な場合において漢方薬による治療を行います。
漢方薬は様々な生薬が一定の法則の元に配合されており、各種病態、症状、それから患者様の体質を考慮し、総合的に治療をする形を取っています。高齢者など多臓器に疾患が及ぶ方に対しては多剤を併用することなく単一の漢方薬で治療を行う事もあります。またも、「心身一如」の考え方のもと体(症状)に対して有効な生薬と心に対して配慮のある生薬を組み合わせて組成されているものもあります。また、患者様の自覚症状を重視して漢方薬を選択するので、検査で異常がないと言われたケースにおいても患者様自身に症状があれば、ここに着目し適切な漢方薬を投与し治療を行います。
昭和40年代以前は煎じ薬にて漢方薬が服用されてきましたが、医療用漢方エキス製剤が保険薬価収載されて以来、各社から漢方エキス製剤が発売され、現代においては細粒、顆粒、錠剤、丸剤、軟膏剤などの製品が医療の現場において処方されています。当院におきましても患者様のライフスタイルに合わせた服用しやすい漢方薬を保険医療の範囲内で処方します。
東洋医学の診断と治療
生体のゆがみは時として体の部位に異常として出現します。例えば、月経不順の場合、お臍のななめ下あたりを押すと痛みが生じ、微小循環不全(≒血行が悪い)が生じています。東洋医学では微小循環不全の事を「瘀血(おけつ)」といいますが、「瘀血」があるかないかを調べる為にお臍の左下の圧痛点を軽く押して診断を行います。また「瘀血」を持っている人の舌の裏側を診ると血管が怒張し紫色がかったいかにも血の流れの滞りがありそうな舌になっています。
また、肌トラブル(にきび)でご相談頂いた女性の方にお通じのある無しについて尋ねることがあります。西洋医学的診断と治療においては肌の状態(にきび)を確認し、その状態に至った原因(アクネ菌)を鎮める為の治療(抗菌薬)を行います。東洋医学的診断と治療においては、生体のゆがみを戻すという観点のもと、全身を総合的に診た上で治療方針を決定します。前述の通りお腹を押したり舌の状態を診たりすることもあります。一見関係なさそうな便秘と肌トラブルですが、便秘が解消すれば肌の状態が良くなることを多々経験しています。どんな些細な体の不調でも結構ですので、何でも教えて下さい。
東洋医学(漢方治療)が有効である疾患
漢方薬による治療は、現代医学では完治しない症状・疾病の治療に適しています。
例えば
(1)アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・関節リウマチなどのアレルギー・免疫異常
(2)月経困難・不妊・産後の体調不良・更年期障害などの女性特有の問題
(3)慢性の痛みやしびれ
(4)悪性腫瘍の補助療法として
(5)冷え性、疲れやすい、胃腸が弱い、風邪をひきやすい、などのいわゆる体質的問題
(6)ストレスが身体症状として現れている状態、など多彩な症状の方々です。
これらの患者様の症状が漢方薬で治る例は多々あります。 また、西洋薬で副作用が出やすい方や、虚弱で体が西洋医学的治療に耐えられない方にも漢方薬は効果的です。
漢方薬の副作用
薬剤には作用がある反面、副作用があります。漢方薬も例にもれず、薬効(作用)がある反面、副作用があります。漢方薬で一番出やすい副作用は、甘草(かんぞう)が配合されている漢方薬を長期間服用することによる、低カリウム血症です。漢方薬を長期的に服用していて倦怠感が生じた場合は、服薬を一旦中止し、主治医に相談して下さい。その他、薬剤アレルギーである肝機能値の上昇、間質性肺炎などがありますが、発生頻度はごく稀であり、新薬に比べると安全安心な薬剤と言えます。
当院が目指す西洋医学と東洋医学を融合させた治療
東洋医学は前述の通り2000年以上の歴史を持った医学です。漢方薬が生まれた中国(中医学)や、お隣の韓国(韓医学)では西洋医学の医師免許と東洋医学の医師免許が別々になっており、保険医療の中で西洋薬と漢方薬を同時に処方出来るのは日本だけです。
当院では、それぞれの良いところを生かしつつ、広い選択肢の中から患者様にとって最適な医療を提供していきたいと考えています。
『色々と検査をしたが異常が見つからない。しかし実際に辛い症状がある。』
このような悩みをお持ちの患者様も多いのではないでしょうか。いわゆる不定愁訴と言われるようなものや自律神経失調症、~症候群という病気、西洋医学では対処できず、困っているつらい病気や症状に対しても東洋医学なら緩和・治療できる可能性がありますので一度ご相談下さい。
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