星の夜の底ひより夏薊咲く 五島高資
The thistle is flowering
from the bottom of a starry night Taka Goto
Facebook・中村 臣市郎さん投稿記事 生命力の探求
有毒植物 ニチニチソウ
ニチニチソウは中国でガンの治療に一時使われたが毒性、副作用が強く現在は使われていない。副作用としては白血球の減少、貧血、免疫低下などがある。
おそらくこれもキョウチュクトウ科の植物が進化の過程で過酷な生物間の相克を乗り越えるために産み出した液体免疫であった。
それはすべての草木、生命体が固有にもつ個体保全、種の保存と拡散するための自己防御物質である。有毒植物は生物生態系の特定の種が爆発的に増殖しないための自然の調節系でもある。
有毒成分はアルカロイドのビン、ドリン、ビンクリスチンである。
生き残るための毒はヴェニスの商人を連想させます。
https://plumkiw948.at.webry.info/201307/article_9.html 【ノアザミ (野 薊)】より
山野草の中からノアザミ(野薊)の花を除くことはできない。
艶やかで清楚な姿と、鮮やかな紅紫色の花が人目を引きつけて、蝶をはじめ多くの昆虫を呼び寄せて、生き生きと躍動させる。
上品な紅紫色の花と、光沢のある暗緑色の葉の色のバランスが、この野草の持つ特色を強調している。
見ていると紅紫色の花が、風景に溶け込んでおり、心が和む気がする。
ノアザミ(野薊)の名前は、野に咲くアザミ(薊)という意味である。
アザミ(薊)はその鋭い棘で名をはせてきた花である。名前の由来も、花に引かれて近づくと葉の棘にさされる、つまり「あざむく」から来た説と、アザは昔は棘の意で、棘のある実から転訛したと言う説、また、「アザム」の言葉に由来するという説もある。
「アザム」には「驚きあきれる」とか「興ざめする」の意味があり、花が美しいので手折ろうとすると、棘にさされて痛いので、「驚きあきれ、興ざめする」ということから、アザムが転訛してアザミ(薊)になった等、諸説あるが、何れも棘に関係している。別名は花の形を化粧に用いる眉刷毛に見立ててマユバキ(眉刷)、マユツクリ(眉作)と呼ぶこともある。
キク科アザミ属の多年草で、学名は「Cirsium japonicum」である。属名の「Cirsium(サーシアム、キルシウム)」は、ギリシャ語の古名の「cirsion」が語源で、「cirsos(静脈腫)」の症状に対して薬効を持つ植物があり、その植物にアザミが似ていることからこの名前になった。種名の「japonicum」は「日本の」を意味している。
アザミ(薊)の種類は色々あって、どれもよく似ていて分類が難しい。日本だけでも60種類もあるらしい。ノアザミ(野薊)の分布域は広く、本州、四国、九州の草原や河川敷に見られ、アジア大陸にも変種が分布する。高さは50~100cmほどである。葉は羽状に裂け、縁に棘がある。
草丈は50~100cmほどである。茎は真っ直ぐに直立して、上部で枝分かれしており、棘のある種子についた薄くて風を受けて飛ぶのに役立つ部分の著しい翼がある。茎葉は長さが幅より長く、葉のほぼ中央が最も幅が広い楕円形、羽状に深く裂けており、辺縁と上面に棘が密生、葉の基部は茎を抱く。葉の色は暗緑色をしている。
開花時期は5月ごろから8月ごろで、アザミ(薊)の仲間では春咲きの特徴を持つが、稀に10月ごろまで咲いているものも見られる。枝の先に花の集まり(頭状花)を1~3ツの花つけているが、頭状花を取り巻いている総苞(そうほう)にも、鋭いとげ(総苞片)が見られる。頭状花に見られる花は、紅紫色の筒形の花(管状花)ばかりある。総苞を開いて見ると、花筒のもとには白い毛(冠毛=かんもうーがくにあたる)がたくさん見られる。
花が咲いた後は、タンポポ(蒲公英)みたいな種子になり、 風に乗って飛んでいって子孫を増やしていく。
ちなみに、アザミ(薊)の名から受けるイメージは、「美しいけど棘がある」。ここまではバラ(薔薇)と同じだが、違うのはバラ(薔薇)が華やかな社交界の雰囲気なのに対して、アザミ(薊)は派手さこそないが意味深な感じがして魅惑的である。
話は変わりアザミ(薊)に関わるギリシャ神話。
シシリアの羊飼いダプニスは、神々の使者を務める神ヘルメスとニンフとの間に生まれた、とても美しい少年だった。彼は、神々やニンフ達からも愛されていたが、とても傲慢で、彼自身は誰も愛することができなかった。美の女神アフロディーテは、そんな彼に愛することを教えようとニンフのエケナイスを彼のもとへ遣わした。ダプニスも一時はエケナイスを愛したが、すぐに飽きてしまい、エケナイスを捨ててしまった。アフロディーテは、ダプニスの仕打ちに怒って、彼をを盲目にしてしまった。盲目にされたダプニスは、自分に訪れた不幸に耐えることが出来ずに、アナポス河に身を投げて死んでしまった。
美しく傲慢だったダプニスの死を、神々やニンフ達だけでなく、大地までもが悲しんだ。そして大地は、ダプニスのためにアザミ(薊)の花を贈った。アザミ(薊)の花には、悲しみの印の棘がついていた。
また、このようなギリシャ神話もある。大地の女神マーテルが、詩人であり、音楽家でもある羊飼いのダフニスに恋を打ち明けようとした。ダフニスはそれに気づかずに通り過ぎて行ってしまった。失恋した大地の女神は、自分の心の悲しみを表現するために、アザミ(薊)の花をつくった」と伝えている。
キリスト教では、聖母マリアが十字架から抜いた釘を埋めた場所から生えたといわれ、聖なる花とされている。
スコットランドの国花となったアザミ(薊)の話。
10世紀頃、スコットランドがデンマークと交戦したが、戦況は不利だった。或る日、敵兵は城の回りの堀を越えるために裸足になった。敵兵は城郭近くに忍び寄ったが、アザミ(薊)の棘で足を刺したので思わず声を上げてしまった。スコットランド軍は、その敵兵を捕らえて尋問し、敵の場所をつきとめることができた。そして、その情報をもとに逆襲して大勝利を収めた。それでスコットランドでは、アザミ(薊)を救国の花とし、国花とするようになった。
そのために現在でもガーター勲章に次ぐアザミ勲章があるそうである。
北欧では、魔除けや落雷除けにされていた。アザミ(薊)を身につけていると、雷神トールが守ってくれると信じられ、雷草とよばれていた。西洋では、古くから民間薬として用いられ、葡萄酒に入れて飲むと、憂鬱を体内から追い出す効果があると信じられていたそうである。
昭和25年には、国民の心情をアザミ(薊)に託して歌った伊藤久雄の「あざみの歌」が大流行した。
あざみの歌 (作詩 横山弘作詞 作曲 八洲秀章)
山には山の愁いあり 海には海の悲しみや まして心の花園に 咲きしあざみの花ならば
高嶺の百合のそれよりも 秘めたる夢を ひとすじに くれない燃ゆるその姿 あざみに深きわが想い
いとしき花よ汝はあざみ 心の花よ汝はあざみ さざめの径は涯てなくも かおれよせめてわが胸に
俳諧では、花の形が眉刷毛(まゆはけ)に似ていることから「眉つくり」という語で春の季語としている。また、「ノアザミ(野薊)」を夏の季語、「フジアザミ(富士薊)」などを秋の季語としている。
アザミ(薊)を詠んだ和歌
「口をもて 霧吹くよりも こまかなる 雨に薊の 花はぬれけり」 長塚 節
花言葉は厳格、独立、人間嫌い、報復などである。
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